中高年michiのサバイバル日記

世の中のこと、身の回りのこと、本のこと、還暦の中高年がざっくばらんに書きつける日記

21 Lessons  21世紀の人類のための21の思考(読書感想文もどき)3回に分けます その2

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過去の膨大な情報蓄積の上に、自己の新機軸を展開

21 Lessons 

21世紀の人類のための21の思考

原タイトル:21 lessons for the 21st century

ユヴァル・ノア・ハラリ/著  

柴田裕之/訳  

出版者    河出書房新社 2019.11

 1.概要

 (1)(裏表紙の表現かりると)

『サピエンス全史』で人類の過去を、『ホモ・デウス』で

人類の未来を描き、本書『21 Lesson』では、ついに人類

の「現在」に焦点を当てる。

   “知の巨人”といえるユヴァル・ノア・ハラリが、テクノロジー

政治をめぐる難題から、この世界における真実、そして人生の意味

まで、人類が直面している21の重要テーマを厳選。

正解の見えない今の時代に、どのように思考し行動すべきかを問う

ています。

 (2)目次に「はじめに」からの引用加え、概要を見てみます。

  第Ⅰ部 テクノロジー面の課題

 (テクノロジーの脅威と危険を際立たせる意図)

1 幻滅――先送りにされた「歴史の終わり」

2 雇用――あなたが大人になったときには、仕事がないかもしれ

  ない

3 自由――ビッグデータがあなたを見守っている

4 平等――データを制する者が未来を制する

第Ⅱ部 政治面の課題

(考え得る多様な対応を詳しく考察する)

5 コミュニティ――人間には身体がある

6 文明――世界にはたった一つの文明しかない

7 ナショナリズム――グローバルな問題はグローバルな答えを

  必要とする

8 宗教――今や神は国家に仕える

9 移民――文化にも良し悪しがあるかもしれない

第Ⅲ部 絶望と希望

(テロの脅威や、グローバルな戦争の危機、そうした争いをひき

 おこす偏見や憎しみに関して、何ができるかを詳しく調べる)

10 テロ――パニックを起こすな

11 戦争――人間の愚かさをけっして過小評価してはならない

12 謙虚さ――あなたは世界の中心ではない

13 神――神の名をみだりに唱えてはならない

14 世俗主義――自らの陰の面を認めよ

第Ⅳ部 真実

ホモ・サピエンスは自らが作り出した世界を理解できるだろうか?

現実を虚構から隔てる明確な協会は依然として存在するのか?)

15 無知――あなたは自分で思っているほど多くを知らない

16 正義――私たちの正義感は時代後れかもしれない

17 ポスト・トゥルース――いつまでも消えないフェイクニュース

  もある

18 SF――未来は映画で目にするものとは違う

第Ⅴ部 レジリエンス

(さまざまな糸を撚り合わせ、混迷の時代【「古い物語が破綻し、そ

れにとって変る新しい物語がまだ出現していない時代】における人生

を、さらに全般的に眺める。)

19 教育――変化だけが唯一不変

20 意味――人生は物語ではない

21 瞑想――ひたすら観察せよ

 2.ピックアップ

(これより以前の抜粋・引用は「その1」にあります。)

 

21世紀のグローバルな問題を煽り立てるのではなく解決するとなる

と、宗教が提供するものはほとんどないように見える。

多くの伝統的宗教は普遍的な価値を支持し、普遍的な正当性を主張す

るものの、今のところ、主に現代のナショナリズムの手先として使わ

れている。  (8宗教 から P185)

 

民主主義のメカニズムがどのような結論に至ろうと、心に留めておく

べき大切な点が二つある。

第一に、地元の人々が不賛成なら、どのような政府も大規模な移民の

受け入れを強制するのは間違いになる。

第二に、国民は移民に反対する権利を持っているとはいえ、外国人に

対する義務も依然として負っていることに気づくべきだ。

 (9移民 から  P206 )

 

 今日のテロがおおむね見世物であるのに対して、将来の核テロやサイ

バーテロやバイオテロは、はるかに深刻な脅威を与え、政府はずっと

思い切った対応を迫られるだろう。

まさにそうであるがゆえに、私たちはそのような仮定的な将来の筋書

きと、これまで目にしてきた実際のテロ攻撃とを、最新の注意を払っ

て区別するべきた。  (10テロ から  P221 )

 
今日、主要な経済的資産は、小麦畑や鉱山ではなく、油田でさえもな
く、技術的な知識や組織の知識からなる。
そして、知識は戦争ではどうしても征服できない。
(11戦争 から  P233 )
 
戦争は不可能だと決めつけるのは考えが甘い。
たとえ戦争はどの国にとっても破滅的な結果をもたらすとしても
人間の愚かさから私たちを守ってくれる神もいなければ、自然の法則
もない。
人間の愚かさの治療薬となりうるものの一つが謙虚さだろう。
(同 P236 )
 
ほとんどの人は、自分が世界の中心で、自分の文化が人類史の要だと
信じがちだ。 (12謙虚さ から  P238 )
 
あらゆる形の謙虚さのうちでも最も重要なのは神の前で謙虚であることかもしれない。
人間は神について語るときはいつも、卑屈なまでに控えめな態度を装
っておきながら、その後、神の名を使って同胞に対しては大きな顔を
するものだ。(同 P256 )
 
どこの神殿も訪れず、どんな神も信じないというのも有力な選択肢
だ。
過去数世紀を振り返ればわかるように、道徳的な生活を送るために
は、神の名を持ち出す必要はない。
必要な価値観はすべて、世俗主義に提供してもらうことができるの
だから。 (13神 から  P264 )
 
世俗主義の教育は子供たちに、真実と信念を区別したり、苦しんでい
るいっさいの生き物に対する思いやりを育んだり、地球に暮らすあらゆる人の叡智と経験の進化を理解したり、未知を恐れず自由に考えたり、自分の行動と世界全体に対する責任を引き受けたりすることを教える。  (14世俗主義 から  P272 )
 
 どの宗教やイデオロギーや信条にも陰の面があり、どの信条に従おう
と、自分の陰の面を認め、道を誤るようなことは「私たちには起こる
はずがない」などという甘い考えを抱いて安心するのは避けるべき
だ。   (同 P277 )
 
 私たちがこれから生命の歴史の中で最も重要な決定を下すに当たっ
て、私としては、無謬性を主張する人よりも無知を認める人を信頼し
たい。   (同 P278 )
 
(これ以降の抜粋・引用は、「その3」に記載します。)
  3.感想その2

感想は、前回類似です。

一部の学者や研究者限定とは言いませんが、ある書籍を読み、これを

ヒントに新発見や、当該書籍を上回る論理展開ができる人は、多数で

はありませんが確かにいます。

大きく出ると、知的財産を一つ増やした方でしょう。

勿論私は、全くその部類ではありません。

そのため書籍について、要約や感想、私見は付け足し程度にして、

原文そのままになるべく多く引用・紹介する方が、意味があると

思っています。

引用を目次に沿って3回に分け、今回はその2回目です。 

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株式投資の基礎 12回目 上場審査の基準 合格しないと株式市場にデビューできない IPO(新規公開)はデビュー手段

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世の中(株式市場)に出るための審査基準の話です

1.IPO銘柄の上場審査とは

5月24日アップの株式投資の基礎 第3回でIPO銘柄の話を、少し書い

ています。

本日は、「審査を経て市場に出てくる」までの話の一部。

上場会社を目指して、集積を負うことと、企業体としての体制整備に、

邁進しているのですが、最終関門とも言える、上場審査基準の話を、

 

書きます。

形式が整わないと、上場の申請ができません。

東証JASDAQ国内株のスタンダード基準を例にとります。

 2.形式要件(JASDAQ内国株(スタンダード)

標準的な対象です  2014年3月31日現在のものが2020年5月末

現在もそうです

(1)株券等の分布状況

(上場時見込み)というのは、一連の手続きを経て、             

a.公募又は売出し株式数が1,000単位又は上場株式数の10%いず

  れか多い株式数以上

b.株主数 200人以上

になっていることです。

(2)流通株式時価総額

(上場時見込み)              5億円以上          

上場した日の引け値の株価に、発行済の株式数を乗じたものが、

時価総額ですよね

全く不人気で、時価総額が5億円に満たないと、要件満たさず、

ということです。

(3)純資産の額

(上場時見込み)              2億円以上          

(4)利益の額又は時価総額

(利益の額については、連結経常利益金額に少数株主損益を加減)

              次のa又はbに適合すること

a.最近1年間の利益の額が1億円以上であること

b.時価総額が50億円以上

ご存知に用に、創薬ベンチャーに限らず、急成長のなか旺盛

な投資需要を反映し、「しばらく赤字続き」の企業もあります。

それでも・投資家が「投資して大大丈夫」と判断して、ある程

度の株価がついていることは利益要件を満たすことになります-

 下記(5)は、まだ、数値基準ではないのでは、と思われるか

もしれませんが、極めて重要、監査法人監査に合格」すること

が、必要な基準になります。

(5)虚偽記載又は不適正意見等    

「上場申請のための有価証券報告書」に添付される監査報告書

最近1年間を除く)において、「無限定適正」又は「除外事項を

付した限定付適正」「上場申請のための有価証券報告書」に添付さ

れる監査報告書等(最近1年間) において、「無限定適正」

上記監査報告書又は 四半期レビュー報告書に係る財務諸表等が記載又

は参照される有価証券報告書等に「虚偽記載」なし

新規上場申請に係る株券等が国内の他の金融商品取引所に上場されて

いる場合にあっては、次の(a)及び(b)に該当するものでないこと

(a)最近1年間の内部統制報告書に「評価結果を表明できない」旨

 の記載

(b)最近1年間の内部統制監査報告書に「意見の表明をしない」旨

 の記載

 (6)上場会社監査事務所による監査

              上場会社監査事務所の監査を受けていること             

(7)株式事務代行機関の設置

         東京証券取引所(以下「東証」という)の承認する株式事務

  代行機関に委託しているか、又は当該株式事務代行機関から株式

  事務を受託する旨の内諾を得ていること      

(8)単元株式数及び株券の種類     単元株式数が、100株となる見込み

のあること

 新規上場申請に係る株券等が、次のaからcのいずれかであること

a.議決権付株式を1種類のみ発行している会社における当該議決権

付株式

b.複数の種類の議決権付株式を発行している会社において、経済的

利益を受ける権利の価額等が他のいずれかの種類の議決権付株式

よりも高い種類の議決権付株式

c.無議決権株式

(9)株式の譲渡制限        

新規上場申請に係る株式の譲渡につき制限を行っていないこと

又は上場の時までに制限を行わないこととなる見込みのあること          

(10)指定振替機関における取扱い             

指定振替機関 の振替業における 取扱いの対象であること又は

取扱いの対象となる見込みのあること          

 3.上場審査の内容

 (企業の存続性)

事業活動の存続に支障を来す状況にないこと             

(健全な企業統治及び有効な内部管理体制の確立)

企業規模に応じた企業統治及び内部管理体制が確立し、有効に

機能していること             

(企業行動の信頼性)

市場を混乱させる企業行動を起こす見込みのないこと             

(企業内容等の開示の適正性)

企業内容等の開示を適正に行うことができる状況にあること

その他公益又は投資者保護の観点から東証が必要と認める事項             

 (上場審査基準等の詳細については、「新規上場ガイドブック」

及び「有価証券上場規程」を参照のこと)

4.最後に

投資家サイドにとって、「上場する会社の内部管理はどうでもいい」

と思われる向きもあるかもしれないし

「ナンダ、基準となる利益は案外低いんだ」と思われたかもしれません。

「上場審査の内容がコトバばかりで、よく解らない」という向きもあろ

うかと。

最低限知っておいてほしいのは、

〇一定の基準を満たして、世の中に出てくること(未公開株とは、

違います。)

〇市場に出たあとも、3ケ月ごとに数字を公表しなければならない

(流通開示、継続開示と言います。)

こと。

投資家を守ること、引いては市場全体を守ることにもなります。

6月半ば、世界規模では「ピークアウト」や「コロナ後」ではなく感染拡大中

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新型コロナは世界規模ではいまだ一日当たり新規感染者数拡大中

1.久しぶりに新型コロナについて

直近では、5月28日の私のブログで、以下(要約)に書いています。

コロナ以降の変化 今日は「大予想」でなく足元の話 実体験から考えること - 中高年michiのサバイバル日記

少しずつ変わりそう

(1)関東でも、「緊急事態宣言」が解除され、経済も再度

動き出しじわじわ加速する感じ。

(少し意地悪に書くと)メディア報道も長らく使えた「恐怖

心を煽るネタ」も、少しづつ変わってきて、次のネタ探しの

様相です。

しかしながら、「オオカミが来る」じゃなかった「第二波が

来る」「第三波が来る」は、継続して、使えそうですね。

(2)コロナ以降のビジネスを取り巻く変化は、議論が花盛

りです。

このはてなブログでも、幾多かいらっしゃるし、なるほどと

思う話が多々あります。

たとえば「減る事例」として

通勤電車による満員混雑(リモートワークの普及により)

出張、会議、会食、接待をあげる方。

また「営業が画期的に変わる」を力説する方ほか、様々

本日は、普段の私の日常生活から、感じたことを少し書き

ます。

 といった書きぶりです。

2.現時点世界的には、拡大中の様相

ところが現時点世界的には、タイトルの通り拡大中の様相

2020/6/17 0:02更新の日経新聞からですが

新型コロナ感染806万人に ペース加速、1日13万人

との見出しです。

新型コロナ 南西ア・オセアニア 北米 中南米

 (要約すると)

新型コロナウイルスの感染者が15日、世界で800万人を超えた。

感染の中心地は欧米から中南米や南アジアに移り、8日間で100万人

増えるなど感染ペースも増している

ピークを超えた地域でも感染の「第2波」が問題となっている。

 (データ)

米ジョンズ・ホプキンス大の集計によると、米東部時間16日午前

11時(日本時間17日午後0時)時点で、累計感染者数が806万人を

超え、死者数は43万7千人になった。

国別では米国が感染者・死者数とも世界最多で、ブラジルが続く。

 (焦点)

感染の震源地は新興国に移っている。

現在、新規感染者が多いのはブラジルやパキスタン、インドとい

った国が中心だ。

米国も経済活動の再開を機に増加傾向にあり、世界全体の1日あた

りの新規感染者数が過去最多を更新する日も多い。

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累計ではありませんよ、一日あたりの新規感染者数

格差が大きい新興国では低所得層での感染拡大が続いており、各国政府

とも有効な手立てを打てていない。

加えて中国や韓国など、ウイルスの抑え込みに成功したとされる国でも

経済活動の再開により第2波が問題となっている。

 ワクチンが開発されて新興国の人々に行き届くまで時間がかかるとみら

れており、事態収束への道のりは遠い。

(michiコメント:私は当該記者より、もっと慎重というか悲観的

 そもその「ワクチン開発」と言っても、ヒトに投与できるまでの数々

 のステップ考えると膨大な時間がかかる、と思われる。

 変異している宇宇留守に、ぴたっと効くワクチンを本当に開発できる

 のだろうか・・・・・)

3.改めて感想

(1)人間だれしも、自分の見たいものしか見ないし、自分が納得のいく

ように、勝手に解釈をしがちです。

私も皮肉を込めて、何度も指摘したように、マスメディアも数字の隠ぺい、

勝手解釈、あえて数字比較しない等々、困ったものです。

日本のメディア報道は、相対的に国内、東アジア、米国の報道時間が多く

あたかも世界規模でも「感染者増加一服」と誤認しかねません。

特有の「空気」を創り出そうとしていることもあり、日本では特に「さあ、

感染一服、「コロナ後」対応だ」の雰囲気。

(2)私は「奇をてらう」つもりは、全くなく、主張は一貫して変わって

いません。

「経済をストップ」させた各国政府の責任は重く、やるべき対応はしっかり

やりつつ、「仮死状態」から、いち早く抜け出す諸方策は当然と思っています。

本日は「一日あたりの新規感染者数のグラフ」を見せたかっただけ。

常に、妄想でなく、信頼できる情報ソースからの直近の正確な筋を認識して

おこう、というものです。

21 Lessons  21世紀の人類のための21の思考(読書感想文もどき)3回に分けます その1

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過去を踏まえて、新境地を開くのが学者の役割

21 Lessons 

21世紀の人類のための21の思考

原タイトル:21 lessons for the 21st century

ユヴァル・ノア・ハラリ/著  

柴田裕之/訳  

出版者    河出書房新社 2019.11

 1.概要

 (1)(裏表紙の表現かりると)

『サピエンス全史』で人類の過去を、『ホモ・デウス』で

人類の未来を描き、本書『21 Lesson』では、ついに人類

の「現在」に焦点を当てる。

   “知の巨人”といえるユヴァル・ノア・ハラリが、テクノロジー

政治をめぐる難題から、この世界における真実、そして人生の意味

まで、人類が直面している21の重要テーマを厳選。

正解の見えない今の時代に、どのように思考し行動すべきかを問う

ています。

 (2)目次に「はじめに」からの引用を加え、概要を見てみます。

  第Ⅰ部 テクノロジー面の課題

 (テクノロジーの脅威と危険を際立たせる意図)

1 幻滅――先送りにされた「歴史の終わり」

2 雇用――あなたが大人になったときには、仕事がないかもしれ

        ない

3 自由――ビッグデータがあなたを見守っている

4 平等――データを制する者が未来を制する

第Ⅱ部 政治面の課題

(考え得る多様な対応を詳しく考察する)

5 コミュニティ――人間には身体がある

6 文明――世界にはたった一つの文明しかない

7 ナショナリズム――グローバルな問題はグローバルな答えを

  必要とする

8 宗教――今や神は国家に仕える

9 移民――文化にも良し悪しがあるかもしれない

第Ⅲ部 絶望と希望

(テロの脅威や、グローバルな戦争の危機、そうした争いをひき

 おこす偏見や憎しみに関して、何ができるかを詳しく調べる)

10 テロ――パニックを起こすな

11 戦争――人間の愚かさをけっして過小評価してはならない

12 謙虚さ――あなたは世界の中心ではない

13 神――神の名をみだりに唱えてはならない

14 世俗主義――自らの陰の面を認めよ

第Ⅳ部 真実

ホモ・サピエンスは自らが作り出した世界を理解できるだろうか?

現実を虚構から隔てる明確な協会は依然として存在するのか?)

15 無知――あなたは自分で思っているほど多くを知らない

16 正義――私たちの正義感は時代後れかもしれない

17 ポスト・トゥルース――いつまでも消えないフェイクニュース

  もある

18 SF――未来は映画で目にするものとは違う

第Ⅴ部 レジリエンス

(さまざまな糸を撚り合わせ、混迷の時代【「古い物語が破綻し、そ

れにとって変る新しい物語がまだ出現していない時代】における人生

を、さらに全般的に眺める。)

19 教育――変化だけが唯一不変

20 意味――人生は物語ではない

21 瞑想――ひたすら観察せよ

 2.ピックアップ

人々が古い物語への信頼を失ったものの、新しい問題はまだ採用して

いない、幻想と怒りに満ちた虚無的な時期に、私たちは依然としてあ

る。

では、次にどうすればいいのか?

最初のステップは、破滅の予言を抑え込み、パニックモードから当惑

へと切り替えることだろう。

パニックは傲慢の一形態だ。

それは、私は一体世界がどこい向かっているかを承知している(下へ

と向かっているのだ)という、うぬぼれた感覚に由来する。

当惑はもっと謙虚で、したがって、もっと先見の明がある。

(1幻滅 から P37)

 

人間のための新しい仕事が出てきても、新しい「無用者」階級の増大

が起こるかもしれない。

私たちは実際、高い失業率と熟練労働者の不足と言う、二重苦に陥り

かねない。

多くの人は、19世紀の荷馬車の御者(彼らはタクシーの運転手に鞍替

えした)ではなく、19世紀の馬(次第に雇用市場から排除された)

と同じ運命をたどる可能性がある。 (2雇用 から  P52 )

 

権限が人間からアルゴリズムに移ると、私たちはもうこの世界を、自

律的な個人が正しい選択をしようと悪戦苦闘する場とはみなさなくな

るかもしれない。

その代わり、私たちは全宇宙をデータの流れと捉え、生き物を生化学

的なアルゴリズムに過ぎないと見て、宇宙における人類の役割はすべ

てを網羅するデータ処理システムを創造し、それからその中に溶け込

むことだと信じるようになるかもしれない。(3自由 から P84)

 

 ビッグデータアルゴリズムは、自由を消し去りかねないばかりか、同

時に、かってないほど不平等な社会も生み出しかねない。

あらゆる富と権力が、ほんの一握りのエリートの手に集中する一方で

ほとんどの人が搾取ではなく、それよりもはるかに悪いもの、すなわ

ち存在意義の喪失に苦しむことになるかもしれない。(同 P103)

 

 私たちはこの難問、すなわちデータの所有をどう規制するかかという問題に注意を向けるようにもとめたほうがいい。
これこそおそらく、私たちの時代のもっとも重要な政治問題だろう。
(4平等 から P113)
 
人類は何百万年にもわたって、数百人未満の小さな生活集団での暮ら
しに適応してきた。
今日でさえ、ほとんどの人は150人以上を本当によく知ることはでき
ずにいる。 (5コミュニティ から P119)
 
将来どんな変化が私たちを待ち受けているにせよ、それらは異質の文
明どおしの衝突というよりむしろ、単一の文明内の兄弟喧嘩を伴う可
能性が高い。
21世紀の大きな難題はみな、本質的にグローバルだ。
(6文明 から P146)
 
どの国も独力では解決できない。
一連のグローバルな実存的脅威を生み出すことによって、テクノロ
ーがすべてを変えてしまったからだ。
共通の敵は、共通のアイデンティティを作り上げるための最善の触媒
であり、核戦争、気候変動、技術的破壊の3つ。
(7ナショナリズム から P168)

 3.感想その1

よくご存じの大著です、読み応えがあります。

一部の学者や研究者限定とは言いませんが、ある書籍を読み、これを

ヒントに新発見や、当該書籍を上回る論理展開ができる人が確かにい

ます。

前提として、膨大な情報の蓄積があります。

無論私は、全くその部類ではありません。

そのため書籍は要約や感想、私見は付け足し程度で、原文そのま

なるべく多く引用・紹介する方が、意味があると思っています。

引用を目次にそって3回に分けます。

まず1回目です。


 

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今週のお題「傘」 幼稚園児、唐傘小蔵、強風とビニール傘等々思い出すまま本日も雑多

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傘と言えば雨傘、日傘は思いつきませんでした

今週のお題「傘」です。

個人的には、傘に対して強烈な思い入れはなく、また造詣も深くなく

 本日も、傘にまつわる寄せ集め情報を、書き足してまいります

 1. 幼稚園児の黄色い傘

 子どもが、幼稚園児だったころの話です。

幼稚園児が使うのですから、小さくてかわいいのですが、傘はなぜか

いつも黄色の印象です。

目立ちやすいという安全上の理由ですかね。

その傘には、黒いマジックでフルネームがひらがなで書いてある

どこも、母親が書いたのでしょう。

2.コンビニで買うビニール傘

 安価なビニール傘が、登場したのはいつ頃でしょうか。

私には、コンビニエンスストアとリンクしたイメージです。

自分が大人になってから、「こだわり」の傘を持つことはありませ

ん。

たいていが、ビニール傘

 強風で、骨が折れてダメになることは、よくあります。

気象も建築も全く不案内ですが、都心の部分的強風は、建物の高さ、

構造や位置関係によると、思います。

自然の力だけではない気がします。

強風も程度問題でしょう。

ビニール傘が、すぐ折れてしまうのは困りものですが、あまりに頑丈

で、どんな強風にも大丈夫、となれば、かえってコワイことにもなり

そうです。

私は移動に電車を使うことが多いのですが、電車内の置忘れも何度

かあります。

「意識が足りない」と言われるとその通り、言い訳には窮しますね。

3. 良く解らないこと

 ➀女性の「日傘」

 強い紫外線から肌を守ること、その対応として、成人女性の

「日傘」 は「常識」の世界かもしれませんが、私にはよく解り

ません。

 男性用に日傘を、大々的に売り出したがったようですが、あまり

成功して いないようですね。

 ②ソーシャル・ディスタンス 

 今回の「コロナ後」の頃でしょうが、ソーシャル・ディスタンスを

取るのに傘利用が向いている、というニュースあり。

なるほど、お互い傘を持っていると、一定の距離間は保てそうです

が、個人的には違和感が先行します。

 どこまで、広がるのでしょうか。

 そもそも、ソーシャル・ディスタンス の距離感が、世界各国で大き

な差異がありそうです。

新型コロナが医学的に解明されていうわけではないので、仕方がない

と思います。

4. からかさ小蔵

一つ目、一本足のあの傘のお化け、です。

wikipedia解説では

大変有名な妖怪である反面、地域などに即した具体的な伝

承はほとんど残されていないとも言われており、妖怪関連

の書籍によっては「絵画上でのみ存在する妖怪」として分

類されてたり、伝承を伴わない創作話のみに登場する妖怪

 たしかにゲゲゲの鬼太郎でも、存在は解りますが、

強烈な個性が印象的、というキャラクターではありませんよね。

5アールルド・パーマーの傘マーク

若い人には「それなに?」でしょうが、昔は皆知っていました。

またwikipedia解説ですが

時代性を反映した日本独自のブランド、アーノルドパーマ

ーは、瞬く間に人々の心をとらえて、大ヒット。

戦後最大のブランドとして大成功をおさめた。

まさに飛ぶ鳥をおとす勢いで、傘のマークはあらゆるアイ

テムとなって、日本中に溢れた。

 ライセンス展開も拡大する一方で、あまりにも氾濫しすぎ

アーノルドパーマーは、やがてブランドとしては飽和状

態を迎えてしまう。

一世を風靡したブランドは、いつしか大衆ブランドと化

し、やがて過去のものとなっていった。

 「一世を風靡した」と行く言葉が当てはまるでしょう。

インターネットがなかったころは、テレビ媒体や雑誌媒体は、相当

力がありました

6.雨傘運動

香港の反政府デモですね。

今度はコトバンクから引くと

香港で2014年9月28日から79日間続いた民主化要求デモ。

2017年の香港行政長官選挙をめぐって、中国中央政府が民

主派の立候補者を実質的に排除する選挙方法を決定したこ

とに抗議する数万人の学生・市民が銅鑼湾(コーズウェイ

ベイ)・金鐘(アドミラルティ)・旺角(モンコック)

などの繁華街を占拠た。

名称は、催涙弾催涙スプレーで排除しようとする警察

に、デモ参加者が雨傘をさして対抗したことから。

雨傘革命。香港反政府デモ。

 と言うわけで「徒然なる」思い出を書きました。

終わります。

株式投資の基礎 第11回 コロナ後の景気動向とNYの株価 おカネの受給バランス観点から

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本日は株式市場取り巻くニュースから考える

1.本日の「株式投資の基礎」は、足元市場コメント

とはいえ、6月10日の日経やロイターの記事を基に、書きますので「足元の

ホットな話題渇望」という方からすると、すでに陳腐化している、かもし

れません。

そうはいっても「投資の変わらない原則」はあるはずで、私のブログでは、

投資の原則と言われていること、「先人」のウォーレン・バフェット

の言葉も、取り上げてきました。

本日言いたいことは、再度「需要と供給の話」です。

(1)5月31日アップの「株式投資の基礎第6回」で

金利の話として、

金利が下がると、おカネは広範囲にあふれる、その一部は株式市場にも

向かう

 〇コロナ影響下の現在の株式市場が、なぜ高いか?

 

いわいる「政府支出のおカネ」が、米国株式市場にあふれている

と、書いています。

(2)今回、下記の記事で言いたいのは

FRBが、資金を大幅に市場に要求し、金利を意図的に下げているのに

呼応し、PERが上がってきている。(米国市場)

私見ではS&P500の適正PERは、20倍未満、直近の23倍は過熱気味

②日本の市場のPER13倍は、妥当かと思うが、来期収益予想が、これ

からどう変動するかはわからない。(下に行く可能性も)

 以上です。

2.株式相場「コロナバブル」の足音 ヘッジファンドも変心

 

2020/6/10の日本経済新聞 電子版記事 からです

 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60201110Q0A610C2EN1000/?n_cid=NMAIL007_20200611_A

 (1)要約

新型コロナウイルスの感染拡大で世界経済に戦後最悪の不況が迫る中、

株式相場は先行きの景気回復期待を頼りに意外高を演じてきた。

さすがに足元は株価上昇に一服感が出ているが、次に相場が動くとすれ

ば上なのか下なのか。

米金融政策の動向次第では、相場がさらに過熱していくとの見方も出

てきた。

さながら不況下の「コロナバブル」の到来だ。

 

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PERと金利が逆相関関係

(2)大物ヘッジファンド運用者ドラッケンミラー

「株価上昇が私を謙虚にした。米連邦準備理事会(FRB)を過小評価

していた」。

大物ヘッジファンド運用者のスタンリー・ドラッケンミラー氏は8日、

米CNBCでこう話した。

 ドラッケンミラー氏が講演で「(米国経済の)V字回復は空想だ」と

話したのは約1カ月前。

だが3月の安値から米S&P500種株価指数が40%上昇する中、同期間の

同氏のパフォーマンスはプラス3%にとどまっているという。

 経験則では、買い遅れた投資家が強気に転じて株を買い始めたタイミ

ングが相場の天井になりやすい。

だが今はそうした経験則が通じにくい金融相場でもある。

市場の関心がFRBの金融緩和スタンスに向かうのは必然だ。

(3)金融緩和は継続せざるを得ないか

➀「パウエルFRB議長は2013年のテーパー・タントラム(金融

緩和縮小をめぐる市場の大混乱)のような事態は招きたくない

はずだ」。

SMBC日興証券の圷正嗣チーフ株式ストラテジストは指摘する。

 足元ではPER(株価収益率)が23倍を超えてきた米国株の高い

バリュエーション(投資尺度)は、ひとえに低位の長期金利

支えている。

13年は当時のバーナンキFRB議長が量的緩和縮小を示唆し、世界

の株価は急落した。その反省からFRBは緩和姿勢を維持するとの

見方が多い。

 だが金融緩和の維持は、株価を実力以上に過熱させる危険と隣り

合わせだ。

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来期の収益予想は、これから大きく変動するかもしれません

 

 ②米景気は最悪期を脱し、回復局面へと向かい始めているようだ。 

ただし、5月の米雇用回復は3~4月の大幅な減少の一部を取り戻した

にすぎない。

失業率はなお大規模な金融緩和が求められる水準だ。

株式市場は景気回復と緩和の併存でバブルが醸成されやすい局面に入る。

 圷氏は「景気が底を入れたことが確認できれば、投資家は来期予想

ベースのPERを使うようになる」と指摘する。

TOPIXの予想PERは今期ベースでは約17倍だが、来期ベースでは13倍

台に下がる。

 だが、来期どこまで企業業績が回復するのか、現段階では誰にも分か

らないことだ。

株が来期業績の回復を前提に買われていけば、多くの人の目には株価は

バブルと映るに違いない。

3.米最長景気、コロナで終幕 回復の道筋、前例なし

 株価変動の大きな要因の一つが、景気動向です。

上記の日経記事では、 雇用統計等の数字を前提に米景気は最悪期を脱し、

回復局面へと向かい始めているようだ。

とのコメントです。

ロイターの違ったコメントを記載しておきます。

新型コロナ:米最長景気、コロナで終幕 回復の道筋、前例なし (写真=ロイター) :日本経済新聞

(1)要約

10年8カ月に及んだ米景気最長の拡大局面は、新型コロナウイルスパンデミック

(世界的大流行)という過去に例をみない災厄が降りかかり、突然終わりを迎えた。

戦後12回目の後退局面に入り、米当局はコロナ禍がもたらす危機を克服すべく、

財政・金融両面で政策を総動員する。

代償として国や企業の債務は一段と膨張する。

今後も前例のない回復シナリオづくりが迫られる。

(2)やや詳説

➀金融ショックではなくウイルスショックが招いた景気後退だけに、過剰債務

など金融面のゆがみが自然と収まるわけではない。

むしろ米政府とFRBはあらゆる企業の資金繰りを支えようと動いている。

危機回避へやむを得ないとはいえ、企業の債務は一段と膨らむ。

 ②米株市場は経済活動の再開に沸いたが、「経済が危機前の成長軌道に戻る

には、少なくとも4年かかる」(米運用会社)との声も多い。

企業にとっては経済の正常化が遅れるほど、債務の返済の原資も稼ぎにくく

なる。

 ③今回の危機対応は大規模な財政出動を伴い、回復シナリオでも財政の役割

が高まりそうだ。

急激な財政悪化は、将来の米金利の上昇リスクやドルの不安定化など、大きな

かく乱要因を抱える。

④景気後退を短期で収束させ、力強い回復に向かうためにも、政策当局のかじ

取りには細心の注意が求められる。

「露店商」報道から中国の権力闘争を垣間見る 生き残りニーズから、ふと米・日のキッチンカーを連想

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コロナ後の中国経済と、政治局内の権力闘争をイメージ

少し前の日経(2020/6/10 0:00日本経済新聞 電子版)ですが

コロナ失業救う露店で混乱 透ける「習・李」権力闘争 

がありました。

いつの時代の権力闘争を外から眺めるのは、面白いものです。

舞台が中国で、役者が習近平李克強、話題となったのが郷愁誘う

「露店」とあっては、記事に惹かれました。

生きる庶民の逞しさの点で、ふと、リーマンショック後に隆盛した

米国に誕生、日本で、もはやビジネス街の昼の一風景、「コロナ後」

の動向が注目される『キッチンカー』を連想しました。

まず記事の紹介から

1. コロナ失業救う露店で混乱 透ける「習・

李」権力闘争

新型コロナ:コロナ失業救う露店で混乱 透ける「習・李」権力闘争 :日本経済新聞

世界的な新型コロナウイルス禍で中国は就職難の大失業時代にある。

職を失って農村に戻った農民工を計算に入れると失業率20%という民

間試算まである苦境を乗り切る手段は何か。

それを提示できる救世主は誰か。

中国の庶民が今、水面下で熱い議論を交わしている。

(1)露天商

習近平政権は治安対策、ガバナンス強化の面からここ数年、露店を厳

しく取り締まってきた。

だがコロナ失業の深刻さを知る首相の李克強が一転して露店を奨励す

る動きに出た。

 李克強は1日、山東省の港町、煙台の露店を視察し「『露店経済』は

雇用を生む重要な源であり、中国の活力だ」と持ち上げた。

先の全国人民代表大会後の記者会見でも李は露店などの雇用創出力

を訴えており、「露店経済」は中国で最もホットな経済新語として

流布されている。

(2)北京主要紙が李克強首相に反旗

北京の共産党委員会機関紙、北京日報が論評で李克強の露店経済奨励

の方針に正面から反論。

経済で「米国超え」をめざす中国の首都、北京の風格に露店ごときは

ふさわしくない――。そう言いたげな論調。

また、すぐさまこれに続いた国営中国中央テレビによる同趣旨の論評

だった。

 (3)現場混乱と庶民の声

➀コロナ失業が深刻な中国東北部では既に大混乱が生じている。

李克強が1日、露店経済を持ち上げた山東省煙台から渤海海峡を挟ん

だ北部対岸にある遼寧省大連。

ここでは翌2日から一部で夜市の露店が解禁されたが、すぐに当局か

ら停止が言い渡された。

②「ただごとではない。末端経済の大問題を知る人は(李克強方針

に)大賛成の人が多かったのに……」

「この大混乱は理解できない」

「(共産党の)宣伝部門が『露店経済』をむやみに使うなという指令

を発したようだ」

 一般庶民の日常生活に関わる身近な話題だけに交流サイト上で人々

は色めき立った。

一体、何が起きているのか。

(4)習近平側近

➀一時、流行した北京の地下防空壕(ごう)を利用した安価な貸部屋

も減りつつある。

大都市の底辺で経済を支える低収入の外来人口の多くが、北京から追

われたのである。

 その政策を大々的に進めたのは、北京のトップである共産党委員会

書記、蔡奇だった。

習近平に寄り添う有力な側近で、25人の党政治局委員のひとりだ。

習は珍しく人前で蔡奇の人柄を褒めたことさえある。

②もう一人、メディアを動員した突然の李克強批判の裏にいると

見られるのが、共産党中央宣伝部である。

そのトップもまた習側近である黄坤明だ。

 (5)アリババ、ファーウェイも露店から

 ➀不効率な公営企業が幅をきかせていた中国で市場経済が芽生えたの

は、そもそも露天商からだった。

仕事がなくなった企業の勤め人らが小さな資本を元手に道端で商売を

始め、その中から桁違いの成功者が出てくる。

1980年代から90年代までの話だ。

 今をときめく中国通信機器最大手、ファーウェイの創業者である任正

非、アリババ集団の創業者、ジャック・マーも一時は露天商を経験

し、そこから身をおこした。

「改革・開放」初期の失業者問題を解決した一つの手段だったのが、

露店経済だったのである。

 ②これは90年代後半、当時の首相、朱鎔基が断行した国有企業改革で

失業者が出た際も同じだった。

民間に転じることを指す「下海」では、露店など零細な商売も雇用

の受け皿になった。

こうした経緯を知る李克強の師である著名な経済学者、厲以寧も露店

の役割を評価していた。

 ③逆にいえば名のある大企業ばかりが14億人も中国の人々を養って

いるわけではない。

多くは自営を含む中小零細企業で働き、全人口の半数は農村部に住

む。

この社会構造はすぐには変わらない。

実態を明かした指導者の指摘があった。

「中国には月収千元(約1万5千円)の人が6億人いる。中規模の都市

で家を借りることさえできない」。

これも李克強の記者会見発言である。

 我々はまずコロナ禍で打撃を受けた自らの足元を見るべきだ、という

趣旨だ。

(6)権力闘争

➀庶民からは「総理(李克強)はよくぞ言った」と好意的な反応が多

かったものの、政治的に考えれば、来年の共産党結党100年の大イベ

ントに向けて実績が欲しい習近平への"嫌み"にも聞こえる。

 ②空気を読まない率直な李発言には中国の統計発表を担う国家統計局

も慌てた。

「6億人の中には収入のない老人、子供も含む。月収が千元よりかな

り高い人もいる」という釈明をホームページに載せたのだ。

李が直接指揮する政府組織の微妙な動きである。

 注目を集めた「6億人が千元」発言に続く「露店経済」への言及で

李が目立ったのは確かだ。

習近平サイドには嫉妬もあり、おもしろくない。

「露店経済」にはある種の懐かしさが漂う。

それは「改革・開放」で自由を得た社会が持つ匂い。

鄧小平時代から胡錦濤時代までの雰囲気への郷愁でもある

 ③そこには政治的な危険性も潜む。

習時代の締め付けへの反発につながりかねないのだ。

だからこそ習側はすぐに反撃した。

経済政策論争に名を借りた政治的な意図を持った闘いが裏で始まっ

たのだ。

 (7)劣勢でも庶民人気の李首相だが

李克強には思った以上の庶民人気がある。

地方都市に住むある知識人は「特に一般人には総書記(習近平)より

総理の方が自分たちの暮らしを考えてくれているとの思いがある」と

みる

 しかも李克強は2年後の秋に開く共産党大会の時点でまだ67歳だ。

党の年齢に関する内規に従えば最高指導部に残る権利がある。

そこが問題を複雑にしている。

②だが現在の情勢なら、李は第一線から退き、習が残るとの見方が多い。

習は国家主席の任期制限を撤廃する憲法改正までしたのだから。

 そうなると今後、政治家や役人は誰も李の命令を聞かなくなる可能性

がある。

レームダック(死に体)化だ。

露店経済を巡る大混乱の結果次第では、この動きに拍車がかかる。

李克強に肩入れするのかを測る一種の踏み絵になるのである。

(8)この夏がヤマ場

 なぜ今なのか。この夏が政治闘争のヤマ場になるからである。

2年後の党大会人事の大枠に関わる流れが固まるのは来年ではない。

今年である。

この夏、河北省の保養地、北戴河に集って現役指導者と長老らが意見

交換する場も極めて重要になる。

 (9)中国社会の活力を示す露店。

そこには長い歴史がある。

北宋の都だった開封の様子を細やかに描いた有名な「清明上河図」に

も様々な露店に集う庶民が活写されていた。

国家的な宝は北京の故宮博物院に収蔵されている。

中国の繁栄の象徴としての露店経済が権力闘争のある種の道具に

成り下がるとすれば少し悲しい。

2.ふと思うこと

(1)長い、抜粋要約は以上です。

はたから見ていて、興味は惹かれますが、私自身がなんの情報を

持っているわけでもなく、今後の政治日程や闘争の動向のコメントは

できません。

(2)ふと思い出したのがキッチンカー

➀もともとは、リーマンショック後の米国、不況を何とか乗り切る

べく安いコスト(店舗構えるより、車利用が安上がり)と顧客回転率

の良さをメインお武器に、大きく成長したキッチンカー

②日本に置いても、味や価格はもとより「スピード」感が評価され、

 都心ビジネス街のランチ風景の一角を占めているように思います。

 今回の「コロナ禍」対応で、テイクアウトが一層進展、」これまで

 の店舗内販売では、生きていけないこともあり・・・

「コロナ後」のキッチンカーにも、少なからぬ影響かと思った次第

です。