「人類700万年の進化」が教えて
くれる理想の食事術
NHKスペシャル「食の起源」取材班/著
出版者 主婦と生活社 2021.1
1.概要
体にも心にもよい究極の「幸せな食」とはについて、 糖質、塩、脂質、酒、美食と
いう5テーマで、「人類の進化」の歴史から“理想の食事”を探ります。
NHKスペシャルの取材内容に、朝の生活情報番組「あさイチ」の情報を盛り込んで
いる、とのことです。
解り易い内容でした。 冒頭に、なかなか良い記述があり引用します。
「健康に良い食べ物は、ブームによって移り変わりものではありません。
祖先が選びとり、命をつないできた食べ物には、きっと意味があるはず。
私たちは食べ物に生かされ、ここまで反映することが出来たのですから。」
2.本文から
これまで、遺伝子は何千年、何万年もかけて変わるものだと考えられてきました。
しかし「食」はわずか数百年という短い期間で、遺伝子まで変えてしまう力を持
っているのです。 P55
健康長寿効果が高いのは、1975年の日本の食事
食材が豊富・・・・1960年10.5種類 1975年18.8種類
1990年17.4種類 2005年16.9種類
健康長寿成分の事例
野菜に含まれるβカロチンやビタミン類、海藻のミネラルやアルギン酸、魚
に含まれるDHAやEPAなどの脂質、大豆に含まれるイソフラボン、出汁
やみそ汁などの発酵食品に含まれるアミノの酸 P81
細胞が活動するエネルギーは、基本的にはナトリウムとカリウムを細胞の中と外に
出し入れすることで生まれる電気の力です。それがなければ、私たちは生きていく
ことができません。
細胞レベルから、塩がないと動けないような体の仕組みになっているのです。
P116
強いアルコール分解遺伝子を期せずして手に入れた祖先は、発酵した果実を食べ
ても酔っぱらうことなく、栄養を得ることができたに違いありません。こうして
幸運にも「酒酒になった果実」を食べられるようになった祖先だけが生き延びて、
数を増やしていったと考えられるのです。 P178
遺伝子の突然変異というのは、いつも突然おこります。でも、その遺伝子がなくな
らずに現在の我々にまで伝わっているということは、強いアルコール分解遺伝子が
生きるうえで何らかの役に立ったからに違いありません。 P179
少量でも酔える「アルコール度数の高い酒」を造る技術を生み出した人類が、今で
は逆に「酒からアルコールを抜く」技術を開発しているという面白さ。
それは、酒が時代を超えて「人と人を結び、社会を築く力」であり続けているから
こそ。人類がアルコールの有害性を知ってもなお、知恵を尽くして「酒がもたらし
てくれる恩恵」を守り続けようとしているのかもしれません。 P213
舌で感じる味の情報より桁違いに多い「香り成分の情報」が脳の「情報司令部」に
押し寄せます。その結果、人類は味よりも、食べているものの香り、つまり「”風味”
をおいしさと強く結びつけて記憶する」ようになったと考えられるのです。 P226
何かを我慢するのではなく、まずはもっと「食を楽しむ」ことに目を向けることが、
私たちにとって理想の食生活に近づく第一歩になるかもしれません。
「理想の食」とは何か。その問いの答えは、ただ「何を食べるべきか」ではなく
「人間にとって食とは何か」を知る先に見えてくるはずです。 P239
3.読書感想と私見
読もうとする本の内容の7~8割を知っていて、2.3割が新しい知識、というのは、
読みやすいです。もちろん私に理解可能という前提。
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