1 ノーベル化学賞
ございます。
いろんなメディアで、学術的解説から吉野さんの個人情報まで、
それこそヤマのように、情報が流れていますので私が書くこと
ではないでしょう。
たとえばリチウムイオン電池とは、と書き始めたところで、私に
学術的素養があるわけでも、新情報を持つわけではありません。
2. 本来の意味のノーベル賞
いかを「独断と偏見」といわれると、それまでですが、
本来の意味のノーベル賞は生理学・医学賞、物理学賞、化学賞
の3つでしょう。
今年のノーベル賞受賞発表も無事終了、というのが私の感覚です。
歴史的経緯も、よく調べていませんが、
どうも文学賞、経済学賞、平和賞は、当時の世相というか、
政治・経済・国際情勢等々をいやおうなしに反映していて、主観的
要素が強いように思います。
(もちろん、どの賞も審査基準は公表していませんが・・・)
「文系理系」というのは日本的表現ですが、
いわいる「理系の3賞」とは、どうも意味合いの違いを感じます。
3. 吉野さんの研究態度と、歴史観
➀ 研究開発では「ねばり強さ」「楽観的な姿勢」
「時代の流れを読む嗅覚」の3つが必要、
と吉野さんは述べています。
そっくりそのまま、ビジネス全般にも言えそうですね。
「ねばり強さ」、「時代の流れを読む嗅覚」は良く解りますが、
私が取り上げたいのは、「楽観的な姿勢」です。
天でも、神でも、何超自然的な「何か」でもなけでは、「結果」
を知ることはできません。
それこそ「人事を尽くして天命を待つ」べきですが、
「やるべきことをやって、悲観しても楽観でも結果同じ」と開き
直ることが、つまり精神的には楽観の方が得、と私は思います。
研究開発では、私は「ねばり強さ」「楽観的な姿勢」「時代の流れを読む嗅覚」の3つが必要だと考えています。ごく単純化して言えば、研究開発とは世の中のニーズと技術のシーズを合致させることですが、ニーズもシーズも常に動くからこそ、難しい。研究開発というものは、そもそも失敗が多いのですから、必要に応じて軌道修正して、仮説と検証を繰り返す。私は、80年代の初頭より、「いずれ電子機器を持ち歩く世の中がやって来る」と確信していました。
2018年10月31日に公開した「週刊ダイヤモンド」の同氏へのインタビューより
②歴史観
過去数十年という短いスパン、千年から二千年という長いスパン
の双方で過去視点から未来を想定するべし、と述べています。
「人間の本質は変わらない」という言葉は、いたるところで
聞きますが、それこそ歴史を学ぶ意味の一つかと、思います。
「現在から」、ではなく、「過去から」、未来を見ることです。
今、世の中でトレンドと言われている情報をたくさん集めて未来を予測しようと試みても、変化のスピードが早く、情報が溢れている状況下ではピシッとした照準を絞ることができない。IT革命で、時代はめまぐるしく動いている。
将来の予測をする上で重要になるのは、(1)過去数十年という短いスパンで人類の歴史を眺めて、過去から現在までの変化をたどってみることです。もう一つは、(2)過去1000~2000年という長いスパンで人類の歴史を捉え、大きな流れをつかむことです。私は、長短のスパンで時代を読むのが大切だと思う。
技術というものは、日進月歩で変わります。しかし、次々に便利なITツールが登場しても、“人間の本質”というものはそう大きく変わりません。
世の中は、なぜ今日のように変化してきたのか、どうして人々の意識は移り変わったのか、過去の歴史で似たような事例はなかったか、現代の変革で参考になる出来事はなかったか。過去からの歴史の延長線上で、5~10年の近未来と20~30年の中長期の未来を想像する。自ずと、照準は絞られてくるはずです。
同じく、2018年10月31日に公開した「週刊ダイヤモンド」の同氏へのインタビューより
4.企業のおおらかさについて
次は10日の日経新聞新聞(019/10/10 11:30日本経済新聞
電子版) からの引用ですが、
➀ 今回の吉田彰氏、2002年の田中紘一氏、2014年の中村修二氏
は企業研究者であり、当時、企業内に「おおらかな雰囲気」が
あった
吉野彰・旭化成名誉フェローのノーベル賞受賞は、企業の研究者としては2002年に化学賞を受けた島津製作所の田中耕一シニアフェローに次ぐ。14年の物理学賞を受けた中村修二・米カリフォルニア大教授も日亜化学工業在籍時の成果が対象だった。3人に共通するのは、企業が研究者に相応の時間や裁量を与え、おおらかな雰囲気があったことだ。吉野氏は「商品開発のスピードが昔に比べて速くなり、研究者は工夫を迫られている」と語った。リチウムイオン電池がそうだったように独創的なアイデアが製品に結びつくまでは最低10~20年かかる。開発サイクルが短くなり、研究者も時間をかけてアイデアを温めている余裕がなくなり、イノベーションが生まれにくくなっているのは事実だ。発明報奨などの対価も研究者にとって手厚いとはいえず、研究者の動機付けや意欲をそいでいる面も否定できない。
② おおらかな環境を取り戻すため
・基礎研究への投資を増やす
・小粒でも若くて生きのいい企業を増やす
と述べています。
どうすれば独創的な成果を生み出せる、おおらかな環境を取り戻せるのだろうか
アイデアを育む基礎研究なら設備投資は少なくてすみ、吉野氏も「1テーマにつき研究者1人、2人ででき、そんなにお金はかからない」と話す。日本企業の業績が回復し潤沢な手元資金があるなか、基礎研究への投資を増やす余力はあるはずだ。
もうひとつは小粒でも若くて生きのいい企業を増やすことだ。人工知能(AI)など先端分野の若い研究者は昔に比べると大企業志向が薄れ、スタートアップ企業などに活躍の舞台を求める人材が増えている。「スタートアップなら大学に戻りたくなったときに認めてくれる」と話すのを聞いたことがある。失敗を恐れずに挑戦する若い頭脳を後押しする社会の雰囲気づくりも大事になる。
まさにその砦、もろ手あげて賛成ですが、
具体論というと、そう簡単にはいかない「経営判断」や「社会の雰囲気」もある
でしょう。
私見としては、当事者(経営サイドであり、研究者サイド合わせて)の判断に任せて、
つまり「公」は、支障となっていると当事者が要請する部分を
結果としてノーベル賞3賞の受賞が今後減ったとしてもそれは
お上の判断で、お金と時間を使い「国策」として「ノーベル賞3賞
5. 地球環境
もう一つは、ぼーっとテレビを見ていて
(よって引用は、ありません。)
リチウムイオン電池のニーズが、パソコンから、携帯電話、電気
自動車と出てきて、
これから地球規模での環境問題を考える際に、欠かせないツール
となってくる(現在もそうだし、今後一層)という時代の要請
が受賞背景にあったのでは、
というコメントは、なるほどと思ったものです。