中高年michiのサバイバル日記

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「外国人労働者受け入れを問う」 (読書感想文もどき) 論点整理ができます

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新版 外国人受け入れを問う

外国人労働者受け入れを問う

 労働力ではなく人として受け入れへ

  外国人/移民とともに生きる社会に向けて、もはや先送りできない

 議論に正面から取り組む

  宮島喬/著  鈴木江理子/著   岩波書店 2019.10

 私がこのブログで取り上げたなかでは、古典でなく新しい本です。

 外国人労働者には、私は、じかに接し対応した経験もあるし、

何となく理解はしていたものの、系統だって整理しかつアップデ

イトした情報をいれていなくて、その意味では格好の本でした。

本の内容は、労働力ではなく、人として外国人労働者を受け入れる

にはどうすべきか。

2018年末に成立した改定入管法を踏まえ、外国人/移民と共に生き

る社会に向けて、もはや先送りにできない議論として、処方箋も

提言しています。

  まず、全体像を目次から捉えます。

第1章 外国人労働者はどう受け入れられているか

第2章 人口減少・超高齢社会と外国人労働者

第3章 移住女性の権利を守るには

第4章 社会的・文化的受け入れ態勢を整える

第5章 多文化社会を共に生きる

 以下論点を見ていきます。

 1.歴史と現時点を知ること

1989入管法改定により、日本は外国人労働者受け入れ国になります
「専門的能力や技術を持つ外国人は受け入れるが、単純労働者は
受け入れない」という建付けです。
一方日系外国人を、就労に制限のない資格で優遇的に受け入れ
また、93年には、外国人技能実習制度を設け
さらに97年には、最長滞在期間が3年に延長、実質就労するよう
になります。
つまり
「不可」と表のドアに記しながら、脇のドアからはこれらの労働者
受け入れるという、いわば二重基準が取られています。
 技能実習生については、人権侵害との国際社会からの批判も絶えず、
という著者の見解です。
直近、2018年12月の入管法改定で、特定技能資格の外国人労働者
受け入れがスタートしました。
この改定は、事実上、単純労働者解禁にあたるのでは、との報道が
あります。
2.日本の人口減少・超高齢社会の認識 
改めて認識できたのは
65歳以上を老人人口と定義し、その推移を見ていくと
1970年  老人人口7%を超え   高齢化社会
1994年  老人人口14%を超え   高齢社会へ
2007年  老人人口21%を超え   超高齢社会 へ 
直近 2018年10月データでは  老人人口28,1%  となっています。
筆者は「日本の産業を誰が支える」、「高齢者を誰が支える」と
指摘していますが、まさにその通り。
外国人労働者の受け入れも処方箋ですが、
この点に関しては
私見」というよりもう一般論でしょうが、老人=65歳以上の定義
を見直していくしかないでしょう
算数の話でしょうが四分の1,つまり25%以上を残りの人で支える
というのは、無理のような気がします。
 3.外国人を地域社会の担い手として
外国人を「問題」や「支援」の文脈でとらえるのでなく、
日本人住民の高齢化や地域の衰退が課題となる中
外国人住民の滞在長期化、エスニック・コミュニティの形成やエン
パワーメント、住民相互の交流などを背景に、
地域社会の担い手としての期待が大きくなる、と述べています。
4.移住女性の権利の問題
安倍首相は、2014年1月のダボス会議の演説で
女性の活躍の場を拡大するために、家事や介護の助けとして
外国人労働者が必要であると述べましたた。
「安価で安心サービス」を外国人に求める意図ですが、外国人の
ほうから見て権利侵害を防ぐ手立てが必要、と論じています。
5.受け入れ体制として
外国人も抵抗なく加入しうるような年金保険の制度設計
セーフティネットとしての生活保護を、あげています。
また、現在の「国の施策は限定的であり、自治体・NPOの外国人
の生活支援施策への、国の助成金は十分とは言えない。」と指摘し
企業が政府に要望する取り組みとして、「外国人人材に対する日本語教育の充実」をあげたことは示唆的と論じています。
 なお、
(日本は)永住を前提として人を受け入れる制度を持たない
ただし、在留期限があっても、本人が希望し、条件を満たせば、
滞在の更新が認められる」という制度運用を私がよく知りません
でした。
  6.移民について
「移民」という言葉に、に日本人が非常にナーバスになるのは私も
も感じているが
・10年以上日本に滞在
・労働度の他の活動の場が日本
・主な生活のベースが日本
上記の人々を「移民」ととらえるのは不自然ではない、
と論じていますが、この意見には、私は同調します。
  現在の法律では、
「出生地主義ではなく、血統主義に頼る日本では、日本生まれの
子供でも一外国人として扱われるに留まる」とのことです。
 これは改善していくべきでしょう。
 7.まとめは感想・私見
コンパクトなページ数の書籍でしたが、データは新しく、内容は濃
いものがある、と思います。
人口減少・超高齢社会という日本に枠組みのなか、外国人労働者
今後議論を継続すべき不可欠の課題であること再認識し、今後私
自身が情報のアップデイトをしなければならないと強く感じました。
私見としては、人口減少・超高齢社会に関しては、楽観しています。
どれくらい後かは明言しませんが、
私にとっては大先輩の、いわいる団塊の世代の方々の多くが去られ
ると、日本の人口ピラミッドはかなり変化し、
かつ相対的に日本は世界の中で魅力的地位(一人当たりGDPはそん
なに減っていないし、GDPで補足できない豊かさあり)を占め
日本にやってくる人は減らないと思っています。