中高年michiのサバイバル日記

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「人類の起源、宗教の誕生」(読書感想文もどき) 「AIは人類に取って代わらない」との見解

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人類の起源、宗教の誕生


 人類の起源、宗教の誕生 
ホモ・サピエンスの「信じる心」が生まれたとき

山極寿一/著  
小原克博/著  

平凡社 2019.5

  1. 概要

「人類の起源、宗教の誕生」とは、考えてみれば非常におおきな

タイトルですね。

タイトルの魅力と、著者名に魅かれて、取り上げてみました。

小原克博氏はあまり存じ上げませんが、宗教学者と解説にあり

ます。

山極寿一氏は、著名な霊長類学者。

ゴリラの研究でつとに有名です。

京都大学の総長でもあります。

彼の学術的な本は、実はあまり知らないのですが、

雑誌やもろもろの会報で、講演、インタビュー等、短めの記事は

よく読んでいます。

 概要としては

文明の誕生以前の人類にも宗教的な思考は存在していたのか。

「神や仏を信じる力」はどのように生まれたのか。

これからの人類に、なにをもたらすのか。

人類史における宗教の存在をめぐり熱く議論することになります

が、詳細は「2.ピックアップと私のコメント」に書きます。

 

 まず、対談が5章に分かれ

第1章 人類は「物語」を生み出した

第2章 暴力はなぜ生まれたか

第3章 暴走するAIの世界

第4章 ゴリラに学べ!

第5章 大学はジャングルだ

 

そのあと、山極氏、小原氏がそれぞれ補論を書いてます。

補論  人間、言葉、自然

補論  宗教が迎える新しい時代

 2.ピックアップ と私のコメント

本文から私がハッとした部分を引用し、蛇足ながら( )に私が
コメントしています。太字も私です。
 
・食物を確かめるんじやなくて、仲間を信じてその食物をたべる。
信頼関係の変化がある(P17)
 (自分しか信用しなかったら、食べ物も限られるわけで、この信頼
   関係がリスクをグッと減らします)
 
・脳は集団の大きさが拡大することにより、
社会的複雑さに対応する社会脳として大きくなったという仮説あり。
(P22)
(言語を操り、道具をもっとうまく操るのは、もっと後ですね)
 
ホモ・サピエンスの言語の特徴は類推する、比喩の能力(P24)
(この類推する力こそ、体力に勝るネアンデルタール人を駆逐する力、
「想像力こそが他の動物との違い」(P26)と述べています。)
  
・動物は保守的(群れからはぐれても、死んでしまっても、いったん
 不在となると元の群れに戻れない、ということ)
一方、人間は、不在の者を受け入れる力を持つ(P29)
(つまり、仲間が帰ってくる可能性があるし、不在者の存在を意識
 し続けなければならない)
   
・長く存在している宗教集団は、ほぼ例外なく、多様な集団の
 形態を持つ(P32)
  
・人々の規律や共同意識を形成するのが宗教(の役割) (P69)
  
世界宗教は例外なく抵抗勢力P71)
(最初はまず抵抗視力、それがしだいに権力を持つようになると・・)
  
・平和主義や非暴力を掲げる集団はいつも傍流、権力から遠ざる
から(P89)
(また)ある宗教に特有の倫理が強化されたときに、それを受容
しない外部団体が排除される、(となります。)
 
・ 宗教が人々の共同幻想になり、そこに生きる意味を付与される
 と、力が必要になる。
その力を求めると、今度は逆に個人の犠牲を求める
 
・近代国家の時代になっても、集団が犠牲を求めるという構造は、
   基本的に変わっていない(P75)
 
アメリカのキリスト教は、成功哲学と結びついた資本主義化した
 キリスト教(P80)  (欧州のキリスト教とは、根本的に違う)
 
アメリカ的(宗教)とは
 変わっていかないと発展がない、発展がないと未来がない。
 宗教も科学技術も、である。
(換言すると)
キリスト教信仰レベルにおいても、未来志向で、終末論への強い
関心がある。(P84)
 
 ・科学は宗教と手を組むことをやめて、経済と手を組んだ(P91)
 
・ 遺伝子操作は、自然の選択を経ていないので
とんでもない能力を発揮してしまうかもしれない (P99)
 
 ・AIはデータを集めて処理する検索エンジン
全体的思考とか「可能性を見抜く」ことはできない
確率論で人と付き合うことが、本当に人間といえるか (P107)
 
・偶然性に対する耐性や、偶然性を受容する力を
 現代人はかなり失っている (P109)
 
・身体をもたないAIから主体性がでてくるかどうか (P114)
 
・(山極氏の言うグローバル人材とは)
   自己判断ができる
 危機判断ができる
 他者を感動させる
 の4つが必要(P126)
 
・(我々には。現代社会の情報構造を外部から批判的に見せて
  くれる視点が必要だが)
 これが、人間の意のままにならない自然とのやりとり(P128)
  
・人間が生きる意味についてAIは答えられない
 今ある特化型AIは、人間の設計したアルゴリズムのもとに
動いているから
(確かにその通り、ただ、特化型AIから、進化して汎用型AIと
 なったらどうなのか?)
(また)
「生きる」意味について
意識を切り離した知能だけでは、答えることは原理的にできない
(P210)
 
過去の不在者と未来の不在者を(つなぐのが) 宗教の役割であり
 過去と未来に対する倫理的射程を拡大し、これにより現代社会に課
せられた責任の喚起すること(P218
  3.まとめと感想
 まとめとしては、
・  農耕による定住生活以前から神殿を作っていたようだし、
  文明の誕生以前の人類にも宗教的な思考は存在していたようだ。

・「神や仏を信じる力」は、不在者をどう捉えるかから、

  生まれたようだ。

肉体から離れた意識は存在しないし、AIは、人類に取って

 代わらないではないか

といったところでしょうか。

 

総論賛成、各論反対でなく、大部分の主張に同調します。

ただし、汎用型AIに、どうも生身の人間がとって変わられそうな

一抹の不安が、私には、あるのです。