日本列島回復論
この国で生き続けるために
井上岳一/著
新潮社 2019.10
1.概要と主張
「山水郷」という言葉を真ん中に据え、これが究極のセイフティ
ーネットであり、未来への無二の足掛かりだと主張しています。
よく聞く「里山資本主義」でなく「山水郷」をこの国の人が信頼を
寄せ委ねるに足る、この論考に相応しい言葉として使っています。
自然災害や限界集落に不安が募り、既存の価値観の無意味さに気づ
いた者が動き始め、通信・AIの革命の波をかぶりつつある時代、
本稿が「理想論」ではなく「解決策」となるかの今後の展開を待つ
ことになります。
著者は、
Yale大学修士(経済学)。
林野庁、Cassina IXCを経て、2003年に日本総合
研究所に入社。
森のように多様で持続可能な社会システムの実現をめざし、官民
双方の水先案内人としてインキュベーション活動に従事。
とあります。
説得力ある文章は、このビジネスキャリアに、基づくものかと
思います。
2.目次
第1章 この国の行く末
第一節 今、何が起きているのか
第二節 なぜこんなにも不安なのか
第三節 これから起きること
第2章 求められる安心の基盤
第一節 資本主義の本質
第二節 セーフティネットの空洞化
第三節 稼ぎに貧乏が追いついた
第3章 山水郷の力
第一節 天賦のベーシックインカム
第二節 多様性と自立を促した山水郷
第三節 ”強い国づくり“を支えた山水郷
第4章 動員の果てに
第一節 捨てられた山水郷
第二節 里山は「野生の王国」になった
第三節 このまま撤退を続けていいのか」
第5章 山水郷を目指す若者達
第一節 山水郷の復権
第二節 会期の風景
第6章 そして、はじまりの場所へ
第一節 山水郷の合理性
第二節 引き受けて生きる
第三節 次の社会の物語
3.ピックアップ
「 第6章 そして、はじまりの場所へ」から。
4.まとめと私見
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