中高年michiのサバイバル日記

世の中のこと、身の回りのこと、本のこと、還暦前の中高年がざっくばらんに書きつける日記

日本列島回復論(読書感想文もどき) 「山水郷」との壮大な主張に、私見は少したじろぐ

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日本列島回復論

日本列島回復論

この国で生き続けるために

 井上岳一/著

新潮社 2019.10

  1.概要と主張

 「山水郷」という言葉を真ん中に据え、これが究極のセイフティ

ーネットであり、未来への無二の足掛かりだと主張しています。

よく聞く「里山資本主義」でなく「山水郷」をこの国の人が信頼を

寄せ委ねるに足る、この論考に相応しい言葉として使っています。

自然災害や限界集落に不安が募り、既存の価値観の無意味さに気づ

いた者が動き始め、通信・AIの革命の波をかぶりつつある時代、

本稿が「理想論」ではなく「解決策」となるかの今後の展開を待つ

ことになります。

 著者は、

(株)日本総合研究所創発戦略センターシニアスペシャリスト。

1994年東京大学農学部卒業。

Yale大学修士(経済学)。

林野庁、Cassina IXCを経て、2003年に日本総合

研究所に入社。

森のように多様で持続可能な社会システムの実現をめざし、官民

双方の水先案内人としてインキュベーション活動に従事。

とあります。

説得力ある文章は、このビジネスキャリアに、基づくものかと

思います。 

  2.目次

第1章 この国の行く末

 第一節 今、何が起きているのか

 第二節 なぜこんなにも不安なのか

 第三節 これから起きること

第2章 求められる安心の基盤

 第一節 資本主義の本質

 第二節 セーフティネットの空洞化

 第三節 稼ぎに貧乏が追いついた

第3章 山水郷の力

 第一節 天賦のベーシックインカム

 第二節 多様性と自立を促した山水郷

 第三節 ”強い国づくり“を支えた山水郷

第4章 動員の果てに

 第一節 捨てられた山水郷

 第二節 里山は「野生の王国」になった

 第三節 このまま撤退を続けていいのか」

第5章 山水郷を目指す若者達

 第一節 山水郷の復権

 第二節 会期の風景

第6章 そして、はじまりの場所へ

 第一節 山水郷の合理性

 第二節 引き受けて生きる

 第三節 次の社会の物語

3.ピックアップ

「 第6章 そして、はじまりの場所へ」から。 

山の中での暮らしが不便と思ってしまうのは、消費者としてしか
生きられない自らの不自由を棚に上げた一面的なものの見方
でしょう。(P240)
 
本社機能は、営業のような外との接点ではなく、総務、財務、人事
などのバックオフィスだろうと言います。
バックオフィスがわざわざ地価の高い東京にある必要はなくなく・
(P247)
 
移転事例
慶応義塾大学先端成形科学研究所・・・山形県鶴岡市
コマツ本社・・・・ 石川県県小松市
 
イノベーションを生み出すための現場
  大きくとも中核都市(人口20万人以上50万人未満)、
  本当はそれ以下の市( 人口5万人以上20万人未満)が理想的 (P256)

 4.まとめと私見

 情報が集まるから人が集まってくる、というのは、古今東西
歴史を振り返ると納得できます。
ファイス・ツー・フェイスでしか、伝わらない情報というのは、
なくなりませんが、従前と状況が変わってきたことはあります。
なぜなら、これだけ情報インフラが整備されてくると、一般的な
情報をとるために、無理して東京にいる必要はなくなってきます。
私も、このブログで東京五輪を契機に、テレワークが一層進むだろ
うと書きましたが、地方分散型社会は、一層広がると思います。
ただし、「山水郷」まで広がるかは、生活インフラも問題になる
と思います。
 生まれてこの方住んでいる人でなく、外から人を呼び込むとなれ
ば、上下水道の整備、温水が使える、ウォシュレットが使える環境
とかが、大きいと思います。
ヒトは、生活習慣に対して、きわめて保守的かと思います。
一度手に入れた快適さを手放すのは難しいでしょう。
 本文中には、触れていませんが子供の教育の点もあります。
 私見は、折衷論で、「山水郷」の大きな繁栄は、難しくて、
「地方中核都市」への集中化が進むとみています。