中高年michiのサバイバル日記

世の中のこと、身の回りのこと、本のこと、還暦の中高年がざっくばらんに書きつける日記

「古典の裏」 (読書感想文もどき) 確かに私の知らない裏話でした

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古典の裏(「みんな知らない」ウラ話)

古典の裏

「知ってるつもり」の有名古典「みんな知らない」ウラ話

 松村瞳/著  

すぎやまえみこ/マンガ  

 笠間書院 2019.10

  1.概要

著者は、長らく国語指導を担当し、

生徒の「書けない、続かない、つまらない」の三大「ない」に

向き合っています。

本書は、「春はあけぼの」で書かれていない時間帯は?

 「源氏物語」で一番あざといいのは誰?

  兼好法師徒然草を書いた本当の理由は?

といった、素朴な疑問に応えています。

「有名古典文学のウラ話を紹介」といった建付けけでしょうが、

私には「裏話」でなく、納得のいく正論に思えます。

ものごとの「実態」を知ることは楽しいことで、生徒も

「なるほど」と興味を持つのでは?

 原文や現代語訳はそのまま勉強に役立ちますし、「背景知識」

や「4コマ漫画」も知の体系を自分の頭の中で、関連付ける際に、

多いに役立つと思えます。

  

2.目次

1 枕草子         2 源氏物語 

3 徒然草         4 平家物語

5 竹取物語        6 方丈記

7 土佐日記        8 伊勢物語

9 更級日記        10 大鏡

 

 3.ピックアップ

➀ 清少納言が人前に出たがらなかったのはなぜ?

   (答)人にみられることが恥ずかしかったから。

 なぜ、そこまで恥ずかしかったのか

   (答)痩せていたから。

なるほど! 

 お米を十分を食べられるから、太ることができる。

  それゆえ太ってることことは裕福である証左。

  当時富があることとが「美しいに直結」

  清少納言は、「醜かった=痩せていた」であり、宮中で一緒

 に食事をしていたら、ちゃんと「美しく=太く」なれる。 

女性の美しさの基準も、時代や環境により様々ということですね。

実は、十分食べられることが富の象徴、ということは、古今東西

よく聞きます。

というか「十分食べられる」というのが庶民含め一般的になった

方が、歴史では、最近のこと(そうでない人も世界にたくさん

いますが・・)

 

② 源氏物語の中で、いちばんあざといのは誰?

  (答)桐壺の更衣

 なぜ彼女はあざといのか?

  (答)わざといじめられたから。 

 こちらの方は、「人間の心理は昔も今も変わらない」ことの

 証左ですね。

   身分という絶対の価値観のなかで勝ち上がっていくには?

   絶対権力者者である帝の継続的な寵愛が必須。

   そのため帝が自分だけを愛し、他の女性に一切目移りしない

   状況を作り出したい

    いじめが、とても都合がいい道具

   女性たちは、いじめることで、「帝に愛される機会を失う。」

 文中の表現を引きます

 心ない周囲からのひどいいじめに泣き崩れながら、着物の袖に

 涙を吸わせているその裏側で、こっそり微笑んでいる

 「あざとい」桐壺の更衣が想像されてならない、

 のですが・・・・・。

 

 平安時代、女性の顔を直接見ることを現代で例えると?

  (答) 全裸を見ることと同じ。 

 源氏物語が人気作品だった理由は?

  (答)性的な場面や問題のある場面が書かれていたから

この辺の話も、良く解ります。

 

③ 兼好法師徒然草を書いた本当の理由は?

 (答)友達にかまってほしかったから。

現在社会のSNS流行も、「自分のつぶやきや考えに友人や多くの

人から反応」があるからで、反応がない文章を書いても心が折れる

だけ。

 徒然草の中の兼好法師の(当時の世相からすると)過激な文章も

炎上してもいい から話し相手を欲している、という著者の解釈

です 。

 

兼好法師がお坊さんの悪口ばかり言っているのはなぜ?

  (答)お坊さんの権威を失墜させたかったから。

なぜ兼好法師はお坊さんの権威を失墜させたかったのか?

  (答)朝廷や幕府のスパイだったから。

 民衆に対しての温かい視線に対して、坊さん相手の底意地悪さ。

 時は鎌倉から室町への動乱期。兼好法師は、幕府や朝廷から

仏教界の権威を貶めるという依頼を受けていた、スパイだった

という説。

 兼好法師の兄が大僧正(お寺のトップ)だからこそ、個人的な

近親憎悪も手伝い辛辣な文章になった、と著者は解説しています。

 

4.まとめ

 冒頭からの枕草子源氏物語徒然草をピックアップしました

 が、全編「なるほど」と思うこと多々でした。

 あとがきで著者は、 

   古典を読んでいるといつも思うことなのですが

   科学や文明がどれだけ進化しても「人間の考えことって、

   あんまり変わっていないのだな」

 と述べていますが、同感です。

歴史の本を読んでいても、

 人間は、いい加減だし、歴史から学ばないし、考え方や感情の

移り変わりには もう数千年以上、変わっていないのではないか

、と私も思っています。  

 

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