1.はじめに
冒頭に書きますが、誤解しないでいただきたいのは、日本への
カジノの誘致の是非を議論しているのではありません。
カジノについての私見を書くわけでもありません。
話の理論構成が、実務家の地に足がついた見解に基づいていて、
説得性があるな、という意味での紹介です。
2.カジノが成功しない3つの視点不足
https://times.abema.tv/posts/7033719
(1).顧客目線の不足
賭け金やゲーム時間によってポイントが貯まり、宿泊や飲食、飛行
機代などが無料になったり、キャッシュバックなどの優遇があった
りする「コンプ」という仕組みが、ある。
これが、カジノ管理委員会の検討結果次第で、禁止される可能性が
あるという。
また、日本居住者はマイナンバーカードで全プレイが記録され、
勝ち分が一時所得として課税、非居住者は勝ち分に対して源泉徴収
などの案がある点だ。
ある関係者は「業界内では、コンプがかなり規制されるので
はないかという話出ている。
やはり(主催者側の)利益を多くしたいというのが理由ではないか。 (中略)
海外から来た人にとって、日本のルールは全く魅力的なものでは
なくなる可能性がある。
やはり他国のカジノとの競争を考えれば、お客さんに対して何ら
かのメリットを示さないといけない」と指摘。
(2).ディーラー目線の不足
中でもラスベガスのディーラーはチップで稼ぐといい、優秀な
ディーラーを集める上で、
日本版ではチップが賄賂に当たるとして禁止されることに警鐘
を鳴らす。
(中略)
「ラスベガスに限っての話だが、チップが全体の収入の8割か、
それ以上になる。
お客様からいただいたチップをその日働いたディーラー全員で
割って、そこから税金を引いた状態で給料としてもらう。
チップがなければ、はっきり言って生活できないレベルになって
しまう。
(中略)
日本人で足りなければ、(ディーラーを)必ず外から連れてこない
といけなくなるが、人が集まるだろうか。
やはりチップは賄賂ではなく心付けだ。仲居さんに心付けとして
お金を渡したり、タクシーに乗って“お釣りはいい”というのと同じ
感覚だという考えが定着してほしい」。
(3).カジノ事業者目線の不足
日本では一つの区域にカジノが一つだが、遊び慣れた客は複数の
カジノを渡り歩くため、すぐに飽きてしまい、お金が落ちなく
なってしまう懸念があるという。
また、大阪は49万平方メートルでディズニーシーと等しい面積、
横浜は47万平方メートルで、東京ドーム10個分と、規模が大き
すぎるとも話す。
「また、競争が起きないということは、長い目で考えると投資
が集まりにくくなるということでもある。
お客さん目線でもあるが、やはり一つしかないと、毎年同じ部屋
に泊まって、同じ所でご飯を食べて、同じショーを見ることになり、
必ず飽きがくる。そうして離れたお客さんは二度と戻ってこない。
どうやって継続的に来てもらうかを考えると、複数のカジノを巡ら
せるのがいい。
最後にギャンブル依存症対策
・「筋を通すのであれば、現存しているパチンコなどのギャン
ブル依存症に対して手を打つべき」だと思う。
僕が最もダメだと思うのは、年齢確認をしないことだ。
ラスベガスで(中略)実際に僕が働いていたカジノでも、17歳の
男の子がスロットで遊んでいた。
彼が十数億当てたことで管理委員会が来て、罰金のほか、彼が遊
んでいた時にいた従業員60人くらいが全員クビになった。
3.上記見解へのコメントと私見
いかかだったでしょうか?
2の(1)から(3)まで、いわいる現役ディーラーの見解であり
そもそもカジノ事態に、拒否感、嫌悪感を持つ方もあるでしょう。
「理屈付けも一方的だ」と反感ばかりの方もいるでしょう。
私は、タイトルに書いたように、実務家ならではの地に足がついた
現実が「よく見えた」意見かと思います。
冒頭に書いたように、今日の趣旨は、話の説得性であり、カジノ
賛成・反対の議論ではありません。
②昔、竹内宏さんの「路地裏の経済学」というシリーズモノを
をよく読みました。
人間の本質のどろどろした部分、建前と本音の部分をよく理解し
て、現実的に対応していかないと、たとえば、一方的に上から
目線で、どんな賢い(と自認する?)方知恵を振り絞って考え
ても、うまくいかないことも、多いように思います。
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