世界の神話
著者 沖田瑞穂/著
出版者 岩波書店 2019.8
1.概要
神話は、地域違うのに、なんとなく似てるな、
というのが従来からの素朴な疑問。
とはいえ、神話といっても私は、日本、ギリシャ、インドの神話を
少し知っているくらいで手っ取り早く、グローバルに比較して、
解るものがないかな、と探してで岩波ジュニア新書に見つけました。
神話には、 古代の人々の交流の痕跡や共通の心理の反映、印象的
な自然現象等が反映されているものですが、
例えばソポタミアのギルガメシュ叙事詩、パレスチナの旧約聖書、
ケルトのアーサー王伝説、日本の古事記だけでなく、インドネシア、
オセアニアの神話もあり、楽しい初体験でした。
ギリシャ神話他、過去に読んでいて忘れてしまっていたもの、断片的だった関係が有機的に結び付き、なるほどと納得する部分も多々ありました。
神々は、個性豊かであり、美しい話、恐ろしい話、現代の衛生感覚
から眉を顰めそうな話など、たくさん出てきます。
まとめに、「なぜ世界の神話は類似?」の回答例を書いています。
2.目次
はじめに
1 インドの神話
バラモン教の神話
ヒンドゥー教の神話
2 メソポタミアとその周辺の神話
メソポタミアの神話
*コラム 武器としての雷
パレスチナの神話
3 エジプト・アフリカの神話
エジプトの神話
*コラム メジェドさま
西アフリカ・ベナン・フォン族の神話
4 ギリシアの神話
*コラム 英語の月名とローマのユリウス暦
5 ケルトの神話
6 北欧の神話
7 インドネシアの神話
8 中国の神話
*コラム 「富を移動させる怪異」
9 オセアニアの神話
オーストラリア・アボリジニの神話
ニュージーランドの神話 天地分離/マウイの神話
10 中南米の神話,北米の神話
中南米の神話
北米の神話 セドナ
付録・古事記
あとがき
3.ピックアップ
いつものように「( )部分」は、調節引用でなく、私の補足。
(インド神話では、もともと神は不死ではなく)
4.まとめと私見
冒頭の、なぜ、世界の神話は似ているのだあろうか?
に素朴な疑問に対して、著者は以下の4点を上げます。
1. 伝播による
古代の世界は孤立していたのではなく,相互に広く、関連を持って
いた
2. インド=ヨーロッパ語族の場合
ギリシャとインドが同じ語族もともと持っていた古い神話
著者は、「神が、戦争を起こし多くの人間を殺して大地の負担
を軽減する」
類似事例を、ギリシャとインドの神話であげています。
(私も先人の人口問題意識として、12月26日にこのブログでコメントしました。)
再び人口問題、今度は視点を変えて、世界の人口について - 中高年michiのサバイバル日記
3.人間の同一の心理に由来する
また引用します。
「女神は、命を生み出すと同時に、その生み出した命の責任を
持たねばなりません。つまり死を与えることによって命を
回収するのです。」
4. 同じ現象が同じ神話を生む
偉そうに言いますが、私の推測通りでした。
太古の昔から、人々の交流は続いていたのですね。
どんなに、危険を伴おうが、知らない人と交流したい、それが、
経済的理由であれ、軍事的目的であれ、どんどん広がっていく
のが、人間の本質の一つのよう気きがします。
また、「同じ現象」も想定がつきます。
氷河期がいよいよ終わり、地球が暖かくなると。
それに伴い、恐ろしい現象としての「洪水伝説」が、世界中で、
人々の脳裏に焼き付いて、後々まで伝えられていった、のでしょ
うね。
iti