宇宙と宇宙をつなぐ数学
IUT理論の衝撃
並列タイトル Mathematics that bridges universes:
The shock of IUT theory
著者 加藤文元/著
出版者 KADOKAWA 2019.4
1.概要
いろんな書評をみてみると、
「 フェルマーの最終定理、ポアンカレ予想などに続く数学の超難問
「ABC予想」。
日本人数学者望月新一教授が、この予想を解決に導く「IUT理論」
を公開する。
この望月教授と議論と親交を重ねてきた数学者加藤文元教授が、
理論の斬新さと独創性、その核心をわかりやすく伝える。」
とあります。
著者の加藤さんが「わかりやすく」解説してくれた、と思いますが、
私の頭で充分理解できたかどうか?
オマエの頭の中は、冒頭イラストの、とおりだろう。
本来「敗戦記」での紹介でないの?
と言われてしまえば、その通りかもしれませんが、長めの「ピック
アップ」含めて、書いてみます。
2.目次
第1章 IUTショック
第2章 数学者の仕事
第3章 宇宙際幾何学者
第4章 たし算とかけ算
第5章 パズルのピース
第6章 対称性通信
第7章 「行為」の計算
第8章 伝達・復元・ひずみ
3.ピックアップ
(IUT理論とは、一言で言うと・・・・と、以下望月さん本人の言葉ですが、
私はまず面食らってしまいます。)
「自然数」と呼ばれる「普通の数」の足し算と掛け算からなる「環」
と呼ばれる複雑な構造をした数学的対象に対して、その足し算と掛け
算という「二つの自由度=次元」を引き離して解体し、解体する前の
足し算と掛け算の複雑な絡まり合いの主だった定性的な性質を、一種
の数学的な顕微鏡のように、「脳の肉眼」でも直観的に捉えやすくな
るように組み立て直す数学的な装置のようなものです。
P7
(本社を通読したあと、再度読み直しても、悲しいかな私の能力では、
未だ、すっと理解できていない)
なぜ、
(第6章 対称性通信 第7章 「行為」の計算からのピックアップ
は割愛)
(IUT理論の特徴の説明)
ページ数自体は、300ページ弱、そんなに多いとは思えません。
著者は、解りやすく書いてもらっていると思います。
しかし、私が悪戦苦闘、普段の読書より相当時間がかかったたのは、
もちろんその内容です。
ある程度の地理感があるというか、書いてあることの7割から8割を
既に理解し知っていて、新規発見が2から3割くらいが、読みやすし、
面白いと思います。
これが、すでに知っていることが9割以上となると、あまり面白み
は・・
逆に、前提の素養がない、話の全体が半分も事前に理解していない、
ことには、苦労するものです。
本書は、当然、こちら後者です。
フェルマーの最終定理なのか、ポアンカレ予想なのか、忘れてしま
いましたが、ある人が証明したと主張し、その「証明」が正しいか
否かを判断できる学者が世界中に30~.40人ほどしかなく、しかも
検証に数ケ月かかる、という話を読んだのを、思い出しました。
人は誰しも、自分に無いものへの憧れがあり、私の場合、「知性への憧れ」はその一つ。
しかも、あまりに自分からかけ離れると、「憧れ」を通り越して
「笑ってしまいたくなる」のですが、上記のケースはそうです。
全く別件です。
ある知人のお父さんは、90歳代前半で亡くなる直前まで、病
院のベッドの上で趣味として数学の問題を解いていました。
知的好奇心に敬服です。