1.台湾への関心
(1)以前も書いていますが、台湾は私にとり、最も関心のある
外国であり、ニュースも、それなりに、追っています。
直近のブログでメインに触れているのは、1月23日の下記です。台湾には思い入れがあり、好きです。選挙後の今後にさらに注目 - 中高年michiのサバイバル日記
(2)直近では、やはり新型コロナウイルス対応で、興味深い記事
を見つけましたので紹介します。
台湾のコロナ対策が爆速である根本理由「閣僚に素人がいない」 ポストを実力本位で振り分けている | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
新型コロナウイルスへの対応の速さで、台湾政府は世界的
に評価を高めている。
なぜそこまでスピーディなのか。
台湾の政府系シンクタンクで長年顧問を勤めていた藤重太
氏は、「日本は論功行賞などで素人でも大臣になってしま
うが、台湾はその分野のプロでなければ大臣にはならな
い。
この政治システムが最大の理由だ」と指摘する
台湾の「大臣」に国会議員は少なくて、いわいるテクノクラート
のようです。
(3)なお、政治からみは、コメント難しいですが、事実関係だけ少し引用します。
台湾 12月末にWHOに送った文書公表“武漢で非定型肺炎” | NHKニュース
台湾 12月末にWHOに送った文書公表“武漢で非定型肺炎”
2020年4月11日 22時33分
をめぐり、台湾当局は、去年12月にWHOに送った文書を
公表し、中国でヒトからヒトへの感染が疑われる事案が起
きていると警告していたと強調しました。
WHOの対応を批判するアメリカに歩調をあわせた形で
す。
2.「台湾研究入門」の具体的紹介
さて、今日の話は、
多数の学者が参加して、書いている、台湾分析の書籍紹介
それぞれの切り口が、とても面白いです。
実は、3月28日に
新型コロナのなか 地元の図書館が1年2ケ月ぶりにオープン いい天気 となりの公園では子供が遊ぶ - 中高年michiのサバイバル日記
の中で、「早速拾い読みしてみる」と書いていますが
本日は、2,3、ピックアップし紹介します。
改めて書くと
台湾研究入門
著者 若林正丈/編
家永真幸/編
出版者 東京大学出版会 2020.2
重層的な移民が作り上げた活気に満ちた社会、台湾。
日台の幅広い年齢層の研究者が、政治・経済・社会・
文化・歴史など、それぞれが得意とする台湾理解のキー
ワードを解説する。
内容とタイトルを列挙すると
(1)日本の植民地統治が台湾社会に与えたインパクト
・統治構造 新田龍希∥著
・台湾法制 浅野豊美∥著
・近代国家による可視化と台湾、台湾原住民 松岡格∥著
・学校教育 駒込武∥著
・在台日本人 顔杏如∥著
・ジェンダー・階層・家族 洪郁如∥著
・「平穏」な籠の中で歌う 陳培豊∥著
・日常生活史 陳文松∥著
・台湾ジャーナリズムにとっての帝国経験 谷川舜∥著
・脱植民地化の代行 森田健嗣∥著
(ここから一つ引用)
P125
国民党統治下の台湾に生まれた人々、すなわち「中華民国に生まれ、
国語で教育を受け、国民党式の民族精神教育を受けた」世代の林瑞明
も自身の経験として、いつの間にか末尾に「来年は南京で中秋節を迎
えたいものだ」・・・(中略)・と語っている。
この世代にとり、国民党政治に反感を覚え、植民地期の「日本」経験
を自己アイデンティティ防衛のツールとする人々は理解不可能と映った。
対して、植民地期を経験した世代は、「台湾の戦後教育は失敗した」
「子どもたちは中国人だから」など、」国民党支配下の教育により」
自分たちの子女が「異民族」の子どもになったしまったと驚嘆した
のである。
(2)「中国」との距離
・中華民国憲法 吉見崇∥著
・国籍と戸籍から見る中華民国台湾の境界 鶴園裕基∥著
・中華民国の国歌 三澤真美恵∥著
・国定記念日・祝祭日 周俊宇∥著
・分断国家の正統性 家永真幸∥著
・一国二制度 倉田徹∥著
(ここから二か所ほど引用)
P203
「一国二制度」には50年の期限が設定されており、香港・マカオは
中国建設100周年の前後に相次いで「期限切れ」を迎える。
その後「一国二制度」を延長するのか、或いは何らかの新たなアレ
ンジが選択冴えるのかという「前途問題」も、時を追うにつれて重要
さを増していくことになるであろう。
P205
2019年10月10日の国慶節での演説で、蔡英文総統は中国の香港統治
は失敗であると述べ、「一国二制度」を受け入れれば中華民国が生
き延びる余地はない(と述べ)、国民党は、台湾独立に反対する一方
「一国二制度」は受け入れないことも堅持」
新党は、一つの「中国」のも音での「一国二制度」は、むしろ現状に
近いとの立場。
・台湾と中国の経済関係 佐藤幸人∥著
(3)台湾の民主化以降の社会・文化
・台湾人アイデンティティ 何義麟∥著
(ここから一つ引用)
P223
台湾の住民はいつごろから「我々が台湾人だ」という自覚を持ち
始めていたのか。
それは、間違いなく日本統治下に芽生えた植民地人としてのアイデン
ティティだといえよう。
これは差別を受けた土着住民が反発し、外来統治者の日本人を他者と
して形成された自己認識だと言えよう。
1895年以降、日本は台湾を植民地として約50年間統治してきた。
それがもららした最大の変化の一つは、台湾人という自称の定着
だと言えよう。
・台湾語映画 魏逸瑩∥著
・まちづくり(社区営造)の担い手のゆくえ 星純子∥著
・慰安婦問題 劉夏如∥著
・移行期正義 平井新∥著
(4)台湾の学会から見た日本の台湾研究
・「台湾史」と「日本史」の交錯 呉密察∥著
・ 台湾における「若林台湾学」の受容 許佩賢∥著
(5)台湾研究序説のために
・ 「台湾という来歴」を求めて 若林正丈∥著
3.現時点はやはり新型コロナ対応に注目
個人的には、タイトルの件の各国政府対応の違いに関心があります。
過去国事情が違うのだから、対応が違うのは当然ですが、それぞれ
時の為政者の能力による対応の差異は否めません。
私は日本語情報しか読み解けませんが、台湾政府も継続ワッチです。