中高年michiのサバイバル日記

世の中のこと、身の回りのこと、本のこと、還暦の中高年がざっくばらんに書きつける日記

落日燃ゆ(読書感想文もどき) 広田弘毅の一切の弁明をしない生き方 城山三郎筆です。

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戦争のイメージ、戦争継続も政治の一形態です。

1.広田 弘毅の評価 

広田 弘毅(ひろた こうき)をwikipediaでみてみると

1878年2月14日 - 1948年12月23日)

日本の外交官、政治家。勲等は勲一等。

旧名は丈太郎(じょうたろう)。

 外務大臣(第49・50・51・55代)、内閣総理大臣(第32

代)、貴族院議員などを歴任した。

第二次世界大戦後の極東国際軍事裁判で文官としては唯一

A級戦犯として有罪判決を受け死刑となった。 

  となります。

広田弘毅 - Wikipedia

実際どういう人物だったのか。

 いわいる「大物」になるほど、人物評価は分かれるものです。

軍部大臣現役武官制を復活させた総理大臣として、

非常に辛口の養家をする人もいます。

当該「落日燃ゆ」の城山三郎製「広田弘毅像」を、強く否定する人

もたくさんありです。

無論私には、詳細を検証し、判断する、時間も能力もありません。

「たかが小説じゃないか。」と開き直ることもしません。

歴史の評価は、現在との対話、つまりその時の人がやる、よって

刻々変わる、と大きく構えることもしません。

私には、当該「落日燃ゆ」の広田弘毅像が、

「自ら計らない」がキーワードであり、「真摯」とか「さわや

かさ」が、浮かんでくる「好みの人物」という範疇です。

以下、抜粋の方向ですが、

読み通しても、ストーリーや一貫性があるわけではありません。

論説でないし、見解要約や比較検証もありません。

「読み返す中で、私が気に入っており目をつけた部分から、引用」

というものです。 

2.文中からの拾い書き 

「風車、風の吹くまで昼寝かな」

もちろん、これも広田のダジャレであって、オランダへ「昼寝」

に行くつもりでもなければ、お座なりに過ごすつもりもなかった。

( P76 )

 

自分にとっても、もはや死はおそろしいものではない。

母と同様、いつでも自ら選び取って見せることができる。

そう思うことで、母が死後も自分を励ましてくれているのを感じ

たりもした。  (P94)

 

広田は彼等(いわいる革新官僚のこと)をきらった。

「目先ばかり見て、勢いのいいところにつこうとする。ああい

う軽率な連中に告示を任せては、日本はどこに行くかわからん」

と、憂えた。  (P190)

 

広田は、生涯ただ一度だけ資金集めを手伝ったが、それは福岡

にアジアの留学生の寄宿舎をつくる動きが出たときで、広田は

初めて自分の名刺を持たせ、めぼしい実業家を廻らせた。

このとき、たとえば三井では、すぐに希望する金額の倍額を出

した。

「広田さんから、お金のことを無心されたのは、はじめてだから」

といって。 (P227)  

 

真珠湾までは何とかやるが、それ以降は知らない」

山本はそんな風にもいったという。

広田はうなずけない。

武人として命令に従い、死を覚悟して出て行くーー葉書にも、

その気持ちは出ている。

だが、日本はどうなる。

なぜ、その前に、海軍をあげて、戦争に反対

してくれなかったのか。

御前会議で、海軍がどうしてもだめだといい張れば、開戦は

見送られたのではなかったのか。  (P314)

 

キーナン自身としては、広田を死刑にまで追い詰める根拠は

考えられなかった。

また「自ら計らわぬ」という生き方を理解できるほど、東洋的

な心情についての知識もなかった。(P345)

 

「かんじんの連中は、みんな自殺したりしてしまったからね。

無責任だよ、みんな」

そのあと、他人事でも話すように、いい足した。

「この裁判で文官のだれかが殺されねばならぬとしたら、ぼく

がその役をになわねばなるまいね」  (P353)

 

 広田は 断乎として死を選び死に急ぐ肉親たちに取り囲まれ

ているのを感じた。

そして、その落ちていく日輪の中で、かんじんの広田一人が

取り残されている。 (中略)

死刑を恐れぬどころか、むしろ望むところであるーー。 (P370)

  3.最後に

 私はこのブログで「小説」は、ほとんど取り上げていません。

特に広田弘毅は、評価の割れる人でしょう。

この小説を単なる城山三郎エンターティメントと呼ぶには、私には

少し軽すぎます。

彼の真実の姿は、私には解りません。

ただ、この「落日燃ゆ」の広田弘毅像が、私はとてもお気に入り、

ということです。

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