中高年michiのサバイバル日記

世の中のこと、身の回りのこと、本のこと、還暦の中高年がざっくばらんに書きつける日記

哲学と宗教全史(読書感想文もどき)出口さん著です ソシュールからレヴィ=ストロースまで現代哲学に絞って抜粋

 

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それぞれの英知が詰まったたくさんの書物の集積のイメージ

哲学と宗教全史

著者       出口治明/著  

出版者    ダイヤモンド社 2019.8

 1.概要

  ライフネット生命創業者で、立命館アジア太平洋大学学長の出口治明さんの著作です。

日本人最大の弱点「哲学と宗教」を世界史を背景に解説、と裏表紙に

ありますが、同感です。

著名な本であり、私には、昨年出版のベストブックのひとつです。
出口治明さんの解釈は、どれも私の好みです。
本書、冒頭の問いも魅力的です。
はるか昔から人間が抱いてきた問いかけは、次の二つに要約されます
・世界はどうしてできたのか、また世界は何でできているのか?
・人間はどこから来てどこへ行くのか、何のために生きているのか?
「大枠ではほぼ最終的な回答を導き出している」と出口さん
(P13,14)
2.全体の構成
はじめに
第1章 宗教が誕生するまで
第2章 世界最古の宗教ゾロアスター教がその後の宗教に残したこと
第3章 哲学の誕生 それは”知の爆発”から始まった
第6章(1) ヘレニズム時代にギリシャの哲学や宗教はどのような
                変化を遂げたか
第6章(2) ヘレニズム時代に中国では諸子百家の全盛期が訪れた
第6章(3) ヘレニズム時代に旧約聖書が完成して、ユダヤ教
       始まったた
第6章(4) ギリシャ王仏教徒になった?
        ヘレニズム時代を象徴する「ミリンダ王の問い」
第7章 キリスト教大乗仏教の誕生とその展開
第8章(1)イスラーム教とは?
     その誕生・発展・挫折の歴史
第8章(2)イスラーム教には、ギリシャ哲学を継承し発展させた
     歴史がある
      との関係
第8章(4)仏教と儒教の変貌     
第9章 ルネサンス宗教改革を経て哲学は近代の合理性の世界へ
第10章 近代から現代へ 世界史の大きな転換期に登場して哲学者
    たち
第11章 19世紀の終わり、哲学の新潮流をヘーゲルの「3人の子
    ども」が形成した
第12章 20世紀の思想界に波紋の石を投げ込んだ5人
3.ピックアップ
(第12章 20世紀の思想界に波紋の石を投げ込んだ5人 から)
膨大な情報が詰まっている本書ですが、その中で、「上手く整理がで
きない現代哲学」部分に絞って抜粋と、私なりのコメントを綴りたいと思います。
ソシュールの考え方を三段論法で表現すれば、次のようになります。
・言語という記号大系はシニフィアン(文字と音声)と、シニフィエ
(概念、イメージ)で成立している。
・しかし、シニフィアンシニフィエの間に必然的、本質的な関係
はない。
・それゆえ世界にさまざまな実体があって、それに人が逐一名前を
つけるのではなく、人が世界をどう区切るかで、事物についての認
識が成立するのだ。   P424
自分の中には自我がある。
他人の中には他我がある。
自分の脳は外の世界に出られない。
だからペットボトルの実在を立証することは不可能である。
しかし脳の反映である自我と同様の他人の他我が、ペットボトルを
確信した。
自我と他我が確信している対象物が同一であるということは、人間
が客観的世界の実在を確信できることを証明している。
フッサールは、このように理論づけました。  P428
言語を分析することこそが哲学の本質的な役割であるというウィト
ンシュタインの発想は、世界の哲学界に多大な影響を与えました。
それまでの哲学界の中心的な命題は「神とは・歴史とは・善とは」
などの認識論でした。
しかしウィトゲンシュタインは、人間の意識の中身など探りようがな
いと考え、哲学の中心的な命題を言語の分析に置き換えててしまった
のです。
要するに世界の客観的存在などあり得ない。
あるのは言語だけであるという、近代的な発想であり唯物論的な考え
方でした。 P433
サルトル実存主義無神論実存主義と呼ばれています。
もしも神が存在するとすれば、世界を創造し、世界の本質や人間の本質を決定するのは神です。
しかし神が存在しないとすれば、人間の赤ちゃんは、まず物体として
この世に現れます。
そして成長するに従って、人間はさまざまなことを学び人間の本質に
ついて、あれこれと考え始めます。
このようにして人間は、「自由な実存として存在している 」とサルト
ルは考えました。  P435
 レヴィ=ストローズ
レヴィ=ストローズは、それとは真逆に日本人の本質を否定したので
す。
それぞれの時代の構造が、それぞれの時代の日本人を創っただけであ
って、どの時代にも通底する日本人の本質のようなものは一切ないの
ですよ、と。
自由な人間も人間の主体的な行動も実は存在しない。
人間は社会の構造の中で、そこに染まって生きるのであると、彼は考
えました。
常に進歩があるわけではない。
先進国ばかりではなく、未開の社会もあるし、人間は社会に合わせて
生きていくことしかできないという考え方です。
このような思想は、「構造主義」と呼ばれています
ちなみに、構造主義の本質は方法論にあって、研究対象の構造、すな
わち構成要素を取り出し、その要素間の関係を整理統合することで研
究対象を総合的に理解しようというものです。 P441
 
レヴィ=ストローズは、「人間は自由な存在ではないし、主体的にも
大した行動はできない」との認識を示しました。
この徹底的な唯物論の割り切った思考が登場したことて、人間の思考
パターンはほとんど出尽くしたように思われます
これからの時代、大学の哲学科に進もうと考える学生がたくさんいる
のかな、そんなことも心配になります。 P443
 4.「おわりに」から
AIそのものが人類の知能を超えるという
シンギュラリティの発想には、僕は同意することができません。
なぜなら、人間にとっての脳はまだまだ未知の領域が多く、脳の活動
についてほとんど何もわかっていないからです。
わかっていない脳の仕組みをAIに置き換えることは、かなり難しいと
僕は思うのです  P448
 ニーチェの哲学とストア派の哲学に共通していることは、自らの運命
を受け入れ、そのうえで積極的に、力強く生きるという姿勢です。
 P453
 振り返ってみると、神の存在を考え出した人間が、やがて神に支配さ
れるようになり、次に神の手からもう一度人間の自由を取り戻したと
ころ、その次には自らが進歩させた科学には左右される時代を迎えて
います。
それでもこの時代に、人間が招きいれた科学的で冷厳な運命を受け止
め、それを受け入れてなおかつ「積極的にがんばるぞ」と考える人
たちが少なからず存在したいるのです。
そのような意志や意欲のある人間の存在が、巨人の肩の上に21世紀の
新しい時代を見通せる哲学や思想を生み出してくれるのかもしれませ
ん。
僕たちは今、次代の哲学や宗教の地平線の前に立っているのかな、
考えています。
 P453
 
 紙の書籍版と電子書籍版の双方を載せます。
 
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