1.株価変動要因としての需給関係
標記の件は、過去2回取り上げています。
(1)5月31日アップの「株式投資の基礎第6回」で
〇金利が下がると、おカネは広範囲にあふれ、その一部は株式市場
に向かう傾向蟻
〇コロナ影響下の株高は、「政府支出のおカネ」が、米国株式市場に
あふれているから。
(2)6月15日の「株式投資の基礎第11回」で
➀FRBが、資金を大幅に市場に要求し、金利を意図的に下げているのに
呼応し、PERが上がってきている。(米国市場)
(私見ではS&P500の適正PERは、20倍未満、直近の23倍は過熱気味)
②日本の市場のPER13倍は、妥当かと思うが、来期収益予想が、これ
からどう変動するかはわからない。(下に行く可能性も)
2.今度は個人投資家観点から
今回の需給関係の再論は、個人投資家の「臨時収入」観点から見て
みます。
結論から先に言うと
(1)相場を動かす主人公には変遷がある。
(日本に事例で)、昔は、富裕層の大口の個人投資家が中心から
また、外国人投資家の存在が、大きな流れを作ってきたこと
今日、昔とは違った小口で膨大な人数の個人投資家の存在がある
(2)新型コロナ感染症対応で、政府支出が、個人の投資資金に
流れたきっかけはある。
個人の投機色の強い取引傾向があり、相場が大きく振れる一要因と
なりそう。
(3)投資目的は、誰しも収益拡大、資産形成のはず。
長期投資視点は必須。
冷静な目で プレイヤーの動向を見ていくことが、投資の基礎
勉強となる。
3.記事の紹介とコメント
本日参考にしたいのは
2020/6/20 23:00日本経済新聞 電子版の
巣ごもり投資家、世界で急増 給付金元手に相場動かす
巣ごもり投資家、世界で急増 給付金元手に相場動かす :日本経済新聞
(1)概要
世界で個人投資家が急増している。
コロナウイルスの感染拡大で外出を自粛、自宅でスマートフォンを
使って株式を売買する。
休業補償や給付金も元手となっており、投資家層の広がりにつな
がっている。
短期的な値上がりを期待した投資など一部に投機色もみられ、活発
な売買で相場を動かす存在になりつつある。
(2)米国事例
➀ 米国で若者を中心に人気なのが、売買手数料が無料の新興イン
ターネット証券、ロビンフッドだ。
(michiコメント:
仲介の手数料なしで、どうやって設けるの?
手数料によらない収入源として、自己投資等は昔からありますが、
広告収入なのでしょうか。
早晩日本にも、「表向き手数料ゼロ」が広がるでしょう。)
1~3月に300万の新規口座が開設され、3月以降に取引額が急増した。
米ネット証券大手TDアメリトレード・ホールディングの5月の1日
平均の売買高は327万枚と約4倍に膨らむ。
② 投資対象
業績不振企業(フォード、GE、,アメリカン航空等)に投資する
傾向あり。
6月に特別買収目的会社と合併し上場した米ニコラ・モーター。
によると、保有者は15万人を超える。
約230億ドル(約2兆5000億円)と一時、米フォード・モーターを
上回った。
(3)日本事例
➀ 日本でも口座開設が急増している。
ネット証券大手5社の新規口座開設数は新型コロナ前の2019年
12月は12万件だったが、3~5月は18万~31万件になっている。
② 日本では日経平均株価に連動して2倍の値動きをする金融商品
の人気が高い。
SBI証券で8~12日に買いが増えた銘柄にはこういった商品や、新薬
開発中で業績がまだ伴っていないバイオベンチャーなどが上位だ。
(4)中国事例
➀ 個人投資家が約8割を占める中国でも、外出できない個人が
「暇つぶし感覚で」(中国の国都証券)株式売買に乗り出した。
上海、深圳の両市場を合わせた売買代金は2月に20兆元(300兆円強)
にのぼり、3月も19兆元を上回った。
中国株バブルが崩壊した直後の15年秋以来の規模だ。
②中国でも好業績で値動きが軽い銘柄に集中する。
白酒を手掛ける貴州茅台酒の株価は1400元を超えた。
時価総額は1兆8千億元超と中国工商銀行(約1兆4千億元)を上回り、
中国本土株では首位に躍り出た。
(5)要因分析
➀ 個人の投資熱の背景にあるのが、「巣ごもり」と「臨時収入」だ。
スマホで取引できるアプリも増え、外出制限などで時間を持て余した
個人が自宅で投資している。
米フロリダ州に住む29歳の女性は「小遣い稼ぎの感覚」と話す。
個人の増加は市場を活性化するが、現状は「元手の資金が少なく、
リスクをとり早く利益を出そうとする」(LINE証券の米永吉和
・共同最高経営責任者)傾向もある。
資産運用でなく、閉鎖しているカジノなどの代わりという面も透ける。
②経済下支えで各国が打ち出す政策も後押しする。
米国のクレジットカード決済状況では、4月22日までの1週間で個人
投資家の決済額が前年同期比約3倍になった。
アーネスト・リサーチはこのタイミングで政府から最大1200ドルの
現金給付があったことで、売買が伸びたと分析する。
③日本でも1人10万円の特別定額給付金の支払いが始まり、マネー
フォワードの調査では13%の人が「投資資金」を使い道に挙げた。
もともとは税金である給付金の一部が投資に回っている。
(6)日経記者の感想
足元では3月の急落時に投資を始め、株高で得た資金を他の銘柄に
回す好循環が続いている。
ただ投機色の強い取引が続くと、損失に転じた個人マネーが逆回転
を始め、相場のさらなる混乱につながる可能性もある。