中高年michiのサバイバル日記

世の中のこと、身の回りのこと、本のこと、還暦の中高年がざっくばらんに書きつける日記

それでも人生にイエスと言う 「夜と霧」のフランクルの解りやすい講演です。

それでも人生にイエスと言う

V.E.フランクル/著  

山田邦男/訳   松田美佳/訳  

出版者    春秋社 1993.12

 1.概要

(1)フランクルは「夜と霧」の著者として有名であり、本来は精神

科医です。

夜と霧は昨年10月11日に取り上げており、

「夜と霧・フランクル」(読書感想文もどき)視点を変えて 人生はあなたに絶望しない - 中高年michiのサバイバル日記

ことにの6月2日にも、「自己啓発」観点から引用しています。

自己啓発の観点から書籍通じて先人に学ぶ その2 今回は沢山の視点あり すべては本人の受け入れ方 - 中高年michiのサバイバル日記

このブログから一部抜粋しますと

人間は「人生から問われている者」である

 というのがこれがフランクルの基本テーゼです。

なんで、こんな人生なのかと嘆くのが私みたいな凡人

ですが、フランクルは、視点を見事に180度変えます。

主体は我々自身でなくて、「人生」の方であり、我々は

答えねばならない立場にあるのです。

 (2)さて、本書は自身のナチス強制収容所の体験などから得られ

た人生哲学を講演した内容です。

講演の文字起こしゆえ、割と平易な、語りかけるような文章で、繰り

返しもあります。

理解の捕捉になるのは、東洋思想や、カント、タゴール、キルケゴー

ル、ニーチェ等の思想が、解りやすく、かみ砕い出て記載されていま

す。

全体理解の、大きな助けになります。

 

 2.ピックアップ

Ⅰ.「生きる意味と価値」から

生きるということは、ある意味で義務であり、たったひとつの
重大な義務なのです。
確かに人生にはまたよろこびもありますが、そのよろこびを得ようと
努めることはできません。 

よろこびをそのものを「欲する」ことはできません。

よろこびはおのずと湧くものなのです。
帰結が出てくるように、おのずと湧くのです。  P25
 
その転換を遂行してからはもう、「私は人生にまだなにを期待できる
か」と問うことはありません。
いまではもう、「人生は私に何を期待しているか」と問うだけです。
P27
 
人間というものは、もし飢えに何かの意味がありさせえするなら、
きっとまた進んで飢えを忍ぶものだ、と私は身をもって経験したから
です。 P34
 
それが可能なら運命を変える、それが不可避なら進んで運命を受け入
れる   P39
 
人間は、息をしているうちは、そもそもまだ意識があるうちは、人生
が出す問いにそのつどそのつど答えていくという責任を担っているの
です。 P43
 
自殺する人も、人生のルールに違反しています。
人生のルールは私たちに、どんなことをしても勝つということを求
めていませんが、決して戦いを放棄しないことは求めているはずで
す。 P46
 
生きるとは、問われていること、答えること
ーーー自分自身の人生に責任を持つことである。  P57
 
Ⅱ.「病を超えて」から
生きているとは、問われているということ。
生きる意味を問題にするのは間違っている。
生きる意味はそのときどきに応答することにあるから。 P110
 
一方の考え方の可能性を手に入れるということは、たんに一つの考
え方の可能性を選ぶことではないのです。
たんに考え方の可能性にすぎないものを実現することなのです。 P113
 
 Ⅲ.人生にイエスという
精神的な支えをなくし、とくに将来を支えにすることができなくな
って心理的に落ち込むと、身体的にもなえてしまう。 (中略)
そうした心の治療について第一に重要なのは、いうまでもなく、精神
的な支えを与えること、生きていることに内容つまり意味を与えること
でした。
P133
 
(収容所において)
心の治療は、生き延びようという意志を奮い起こしてほしい人に、そも
そもとにかくまず、生き延びることが義務であり、生き延びることに
意味があることを示すように努めなければならなかったのです。 P134
 
ひとりひとりが、とにかくどこかにだれかがいて、見えない仕方で
自分を見ていて、ドストエフスキーがかつていった意味で「立派に
苦悩に耐える」ことを求め、「死を自分のものにする」ことを期待し
ているとわかっていたのです。
 P137
 
これほど失望した人のそのような悲哀は、最後には、二つのことによ
って克服されます。
それは、謙虚さと勇気です。
収容所の囚人だった人ならだれでも、この二つを携えて、新し生活に
入ることになります。 P155
 
人間はあらゆることにもかかわらずーーー困窮と死にもかかわらず、
身体的心理的な病気の苦悩にもかかわらず、また強制収容所の運命
の下にあったとしてもーーー人生にイエスと言うことができるのです。
P162
 
ニヒリズムを通り抜け」て「新しい人間性」へ「到達」するという
課題がまさに本書の(さらにはフランクルの実存思想全体の)主題に
他ならない。  (訳者解説 P171)
 
3.最後に
  今回は、私の下手なコメントはありません。
ただ、上記を読んでもらえば、結構です。