中高年michiのサバイバル日記

世の中のこと、身の回りのこと、本のこと、還暦の中高年がざっくばらんに書きつける日記

銅の商品市況の「誤謬」との記者解説から、私が思うこと

f:id:xmichi0:20200720133400j:plain

先物のトレーダーのイメージです

1.銅の商品市況について

世の中を映す鏡、として、相場動向には、全般に興味があります。

相場は、赤裸々な人間の欲望、感情のぶつかり合いを映していると

私は思っており、世界の株式市場、債券(金利)市場は、とりわけ

注意深く見ています。

商品市況は、変動要因・取引実務含め、株式・債券ほど詳しくは

ませんが、大豆、トウモロコシ、砂糖といった食品関係に加

え、金銀等の貴金属も、見ています。

今回、日経の記事で、少し気になることがあったので、その紹介と、

若干の私見を書きます。

 

2.記事紹介

2020/7/20の日本経済新聞 電子版からで、タイトルが

世界経済のドクターが「誤診」? 

強すぎる銅相場

 というもの

新型コロナ:世界経済のドクターが「誤診」? 強すぎる銅相場 :日本経済新聞

(1)先ず要約

銅の国際相場が急回復している。

指標になるロンドン金属取引所(LME)の3カ月先物は7月13日に

一時1トン6633ドルまで上昇し、2年ぶりの高値をつけた。

電力インフラや家電製品、自動車など幅広い分野に使われる銅の

相場は世界経済を映し、「ドクター・カッパー」とも呼ばれる。

素直に受け止めれば、世界経済は新型コロナウイルスの影響を

受ける前の状態に戻ったことになるが、今回は「誤診」の可能性

がある。

f:id:xmichi0:20200720130041p:plain

過去2年半くらいレンジの銅相場推移

(2)市況推移のコメント

銅相場は年初から下げ基調が続き、3月19日には4371ドルと安値

をつけた。

中国当局は4月8日、新型コロナの感染拡大が世界で初めて確認

され、多くの犠牲者を出した湖北省武漢市の封鎖措置を解除。

その後、欧米の経済も動き始めたことで銅相場の上昇は加速し、

3月の安値からの上昇率は5割に達した。

米中の貿易摩擦が銅相場の下押し圧力となっていた2019年の

高値も抜いた。

 各国政府は、なお続く感染と闘いながら経済を回そうとして

おり、最悪期は脱している。

ただ、2年前の水準まで戻してしまう銅相場は「強すぎでは」

との疑問がわく。

米中関係に目を向ければ、香港問題をめぐって対立が再び激

しくなっている。

銅相場を世界経済の実体以上に押し上げた要因はおもに3つ

考えられる。

(3)3つの「誤謬」の説明

世界経済の鏡とはいえ、銅相場が映す主体は中国経済であ

ることだ。

年間およそ2300万トンある世界の需要のうち、中国は半分を

占める。

中国の製造業が主要国でいち早く再開し、中国政府が景気

てこ入れを狙ってインフラ投資などを刺激した影響がうか

がえる。

商品やそれを運ぶ「中国銘柄」は軒並み高騰している。

 

②中国政府が環境対策で、銅スクラップの輸入を規制した

影響だ。

スクラップから製造していた銅を地金や精鉱(中国国内での

精錬)での輸入に切り替えている。

住友商事グローバルリサーチは「これまで月120万~130万トン

ほどだった中国の銅精鉱輸入は4月に200万トンを超え、44万~

45万トン前後だった地金輸入も6月に60万トンを上回った」

(本間隆行チーフエコノミスト)と指摘する。

 中国の景気刺激策や製造業の回復に加え、同国の規制が精鉱

や地金の需給を引き締め、国際指標の先物相場を押し上げた

側面がある。

 

チリなどの資源国で感染拡大の影響が深刻になり、供給に

支障が出てきたことだ。

銅生産量で世界屈指のチリ公社コデルコも6月下旬に同国北部

にあるチュキカマタ鉱山の操業を一部停止すると発表した。

 企業に価格変動のリスクヘッジ手法を助言するマーケット・

リスク中国や欧米、日本といった消費国は北半球に集中し、

人口も多い。

一方でブラジルやチリ、オーストラリア、南アフリカ共和国

などの資源国は南半球に多い。

 

(4)編集記者によるまとめ

中国を中心にした消費国の経済が戻り始める中で、南半球の

資源国では新型コロナの感染拡大で供給不安が強まっている。

新村氏は、そんな状況の違いが実体経済以上に銅相場を上昇

させたと考える。

中国の需要が強い中で、ブラジルなどの供給不安が相場を押

し上げ構図は鉄鉱石も同じだ。

 北半球が夏に入っても感染が続いていることを考えれば、

気温の変化が感染に影響するかどうかは不明だ。

ただ、冬に向けて「北半球で再び多くの国が都市封鎖を強い

られて経済が停滞し、逆に南半球の資源国が立ち直る可能性も

否定できない」(新村氏)。

そうなれば、現在の銅相場は反動安を迫られることになる。

 

3.私が思うこと

私見と言っても、銅の相場見通し述べるわけでなありません。

編集記者の相場過熱気味要因として、

①中国政府景気テコ入れ、②中国のスクラップから地金や精鉱

への切り替え、③資源国の供給不安

を上げており、妥当な分析と思っています。

ただし、何事にも、「想定外」はつきもの。感染症の場合、

ほかの政治軍事問題より一層読みにくい、気候変動、地震

に匹敵する不確実さがあるように思えます。

半年後のコロナ感染症の世界は、現在の想定をまぅたく違う

かもしれません。

株式市場債券市場が、商品市況に大きな影響もあり得ます。

「不確実性は、一層高まっている」と思った次第です。