中高年michiのサバイバル日記

世の中のこと、身の回りのこと、本のこと、還暦の中高年がざっくばらんに書きつける日記

コトラーのリテール4.0(読書感想文もどき)デジタル時代の小売業者指南です。

コトラーのリテール4.0

デジタルトランスフォーメーション時代の10の法則

フィリップ・コトラー/著  ジュゼッペ・スティリアーノ/著  

恩藏直人/監修  高沢亜砂代/訳  

出版者    朝日新聞出版 2020.4

 1.概要

マーケティングの神様コトラーと、イタリア人研究者スティリアーノ

が、小売業界で進行するデジタルトランスフォーメーションの実情を

あぶり出し、変化を好機とするための「10の法則」を提示していま

す。

 関係する業界の方々だけではなく、多くのリーダーの、自社の

デジタル戦略を考えていくうえで参考にしろ、とのコメントもあ

りますが、「難しい」のはなんでもそう。

前向きに生きましょう。

(前提としての理解)

リテール1.0   セルフサービス式店舗の誕生とともに始まった

リテール2.0   初期のショッピング・センターの誕生

リテール3.0   1990年代半ばから漸次進行した世界規模でのインター

         ネット普及と電子取引の到来

リテール4.0   近年のデジタル技術の加速に特徴付けられる

       ガイドとなる10の法則を以下に提案する。

  

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販売促進のイメージです。

2. リテール4.0における10の法則

1.不可視であれ

    技術と技術によるサポートは目的ではない。

    数種のフリクションを排除しつつ、購買行動と購買経験の

              簡素化を目指した手段なのである  

2.シームレスであれ

    マルチチャンネルはインサイド・アウトのアプローチである

              といえる。

    一方、オムニチャンネルはアウトサイド・インのアプローチ 

              で、顧客経験全体を優先して、活動計画を立てる。

 3.目的地であれ

               世界観に陶酔できるような魅力的な来店目的とブランドの価

    値を生み出すためには、単にブランドを提示・展示するだけ

    でなく、顧客に主体的に体験させる必要がある。

    成果は、販売量の増加としてではなく、顧客に語られるスト

    ーリーとして表れる。

4.誠実であれ

    ロイヤルティ・プログラムは、人々に価値を経験してもらう

    エコシステムになるべきであり、小売業者はブランドや企業

    と人々とのエンゲージメント、人々の親近感を育むために

    そのシステムに経験を付加していかなくてはならない。

5.パーソナルであれ

    パーソナライズされたオファーを受ければ、時間とお金の節

    約になり得るケースもある。

    顧客の好みと予算に合致する製品に絞り込まれていることで

    購買プロセス単純化されるからだ。

6.キュレーターであれ

    ・リアル店舗にとっては、広いスペースの維持にかかるコス

    ト負担が日増しに厳しくなり、次第にスペースを小さくして

    いかざるをえないだろう。

      ・豊かな製品とサービスのオファーリング・システムを管理

    し解釈し、伝える。

    システムは、ユニークなストーリーの枠組みのなかで発展し

    ていく。

    そのストーリーにおいて、ブランドは”機械仕掛けの神”とな

    る。

7.人間的であれ

    「人間的であれ」とは、技術とデジタルの進化は改革の強力

    なツールであるが、どのように使用・適用するかは人間が

    決定するのだと心に留めておくということである。

8.  バウンドレスであれ

    リテーリングは壁で区切られた一か所に収まっているリアル

    店舗であるという意識を決定的に超越せよ、という意味。

9. エクスポネンシャルであれ

    ・サードパーティ(第三者機関)との協力によって、持参の

    オファリングの限界を超えよ、という意味。

    ・自社のオファリングとのシナジーを得られる商業パートナ

     ーシップ、共創と協業という形態、また一般的には、オー

     プン・イノベーションの採用も含め、いずれも企業のエク

     スポネンシャルな成長にとって重要な源泉となる。

10.勇敢であれ

    人と企業は、リスクを敵視する傾向にある。

   そして、そうあらねばならない。

   さもないと、安定と繁栄の条件が整わない。

   しかし、現在の競争環境とデジタル時代の動乱の中にあって、

   よりオープンで、よりアジャイルな理論に基づき、改革のプ

   ロセスに関する考察を深めることが不可欠となっている。

 

3.経営者の視点

 なるほど、考えていそうだな、と読者が思いそうな23の企業のトップ

や実務家にヒアリングしています。

肩書はCEO,地域CEO,カントリマネージャー、デジタル・バイ

ス・プレジデント、ナレッジ・デビジョン・チーフ・オフィサー、

創業社等様々です。

2社ほど紹介します。(肩書、人名は割愛)

アマゾン

・完成を目指して注力している取り組みの一つが、即時性と瞬時の満

足に対する顧客ニーズへの対応である。

・今後数年のアマゾンを私がイメージするなら、外部由来のイノベー

ションにも門戸を開放することが一層中心的なテーマとなるはずだ。

資生堂グループ

・日本にある当社の研究開発センターを一般公開しているのだ。

社秋で展開している活動に関する透明性を開放性を示すとともに、マ

ーケットとするコミュニティで目立つ存在になることを意図している。

・(今後3から5年の進化は)複数のタッチポイント間で一貫性のある

経験を発信していくことが重要である。 

 

4.最後に

 末尾の「デジタル自体の小売業者は、オムニチャンネルを取り入れる

必要がある。そして、人々のニーズ、ウォンツ、期待を基に自社の資

源とプロセスと価値提案のミックスを再定義しなくてはならない。」

(P289)との指摘については、まさにその通りかと思います。

しかし、具体的にどうやってとなると、発想が極めて貧弱な自分を感

じるところです。