中高年michiのサバイバル日記

世の中のこと、身の回りのこと、本のこと、還暦の中高年がざっくばらんに書きつける日記

未来への大分岐(読書感想文もどき) 自分と違う意見をしっかり聞くことが必要

未来への大分岐

資本主義の終わりか、人間の終焉か?

著者マルクス・ガブリエル ,マイケル・ハートポール・メイソン  

斎藤幸平/編  

出版者    集英社 2019.8

1.概要

一般的な解釈は以下の通り

『我々が何を選択するかで、人類の未来が決定的な違いを迎える

「大分岐」の時代です。

多くの人々が団結できるような新しい社会にするにはどうすれば

いいのかの検討に際し、世界最高峰の知識人たちとの対話を通じて、

未来をつくる方法を探る。』

私の考えは、時代認識はその通りですが、処方箋の考え方は

違います。

とはいえ現代の知識人であることは、間違いではなく、自分と違

う意見を広く聞く「寛容さ」は必須と思っています。

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分岐点のイメージ、熟考のち決断です。

 2.ピックアップ

マイケル・ハートベーシックインカムに関する見解)

でも、権力側が実際にそれをやってくれたらいいと思うんです。

大きな改革につながりますからね。

相当程度、貧困をなくすことができるでしょう。

それ自体、良いことですよね。

もちろん、ベーシックインカムが革命の代役を果たすとは考えて

いません。

今の社会が抱える病理をいくぶんかでも解消することのできる手

段である、というだけです。

(これに対して斎藤氏は反対意見)

労働者が固定資本や生産手段を取り戻さなければ、「構想」と

「実行」が分離したままです。  P111

 

マルクス・ガブリエルの部分から、2つ引用

(編者の斎藤が、MGを評して)

「蔓延する相対主義に反対し、事実そのものを擁護すべきだ。そう

いう議論を立てているのが、あなたの新実在論です。

だからこそ、あなたの本が世界中でこんなに人気を博しているん

じゃないでしょうか。」   P161

 

(MGがニーチェに対して)

「彼の哲学は保守的な思想家の最たるものじゃないですか。

ニーチェは、不平等を正当化し、奴隷制に賛成していたのです

から」  P164 

(michiコメント:読書感想文的には、「どうも私にはしっくり

こない」といったところ。)

 

グレーバーの指摘と、あなたの言ったことを合わせるなら、1%
の特権階級が富だけなく情報をも独占し、レントを徴収する「デジ
タル封建主義」が生まれつつあるのかも知れません。  P268
 
福音派、外部からの批判・反論に耳を傾けることもなく、自分たち
の「現実」を生きる。
福音派に異議を唱える人々も、彼らとわざわざ議論を重ねる必要
はない。
互いを罵ることはあっても、議論はしない。
それぞれ、別々の島宇宙のなかで生きているのです。 P287
 
 ガブリエルは、人々の投稿に対するファクト・チェックを行う
専門委員会を設置するまで、フェイスブックツイッター
シャットダウンするように主張していました。
言論の自由は、それが今のレベルのあらゆる種類の嘘やヘイト
スピーチを許容するなら、ナンセンスであると。  P289
 
(斎藤)
人間を人間たらしめるものとして、何が考えられるでしょうか。
(ポール・メイソン)
それは、人間の自由です。
だからこそ、人間が機械を活用する必要があります。
人間を必要性から解放し、できうる限り少ない労働で済むように
するためです。  P305
 
 (ポール・メイソンの主張を斎藤がまとめる)
①独占とレント・シーキングを禁止し、積極投資を行うことで、
情報技術産業の活性化、オートメーション化や再生可能エネルギー
100%への道を切り拓くことができる。
②AIの暴走を防ぐために、普遍的倫理を「人間とは何か」を定義する
ヒューマニズムに基礎づけなければならない。
③市場や国家の完全な廃棄を目指す古い社会主義とは違って、ポスト
キャピタリズムは、市場や国家の存続する余地のあるハイブリッド
モデルである。  P331

 

3.最後に

偉そうに、「自分の考えと違う」と書いていますが、半分は私の理解

力の問題で、彼らの主張を、首尾一貫、整理した形で理解できていな

いからかと思います。

それは、ある面重大ですが、仕方がありません。

自然科学のみならず、あらゆる分野で、私の歯が立たないものに、

一度はくらいついては、撃沈されていることの、繰り返しです。