中高年michiのサバイバル日記

世の中のこと、身の回りのこと、本のこと、還暦の中高年がざっくばらんに書きつける日記

科学でツッコむ日本の歴史(読書感想文もどき) いくつも疑問点が解けました

信長もビックリ!?科学でツッコむ日本の歴史

だから教科書にのらなかった

著者       平林純/著  

出版者    集英社 2018.11

1.概要

「はじめに」に記載のあるのように、科学の視点で歴史を書いた本

はなかなか見つけることができません。

大学院理学研究科修了で、サイエンスライターの著者による力作と

言えましょう。

昔、中学、高校生徒のころふと疑問に思っても「教科書に載らない」

ことがたくさんありました。

社会人となり、歴史書含め多方面の切り口からいろいろ読み広げて

いくうち、解決した問題も多々ありました。

本書は5章構成、全35話で「ビックリ」を記載

 1.イメージをくつがえす

 2.スゴすぎる舞台裏

 3.ヤバすぎる異彩

 4.ざんねんな現実

 5.どんでん返し

なお、平均的な読者の「受け」は無視し、私が知らなかった、面白

かったという観点から、記載させてもらいます。悪しからず。 

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日本全国を歩いて測量した伊能忠敬のイメージです。

2.ピックアップ

1.毛利元就の息子は9人いて、長男は元就より早死。

「三本の矢」伝説は、現実とはかなり違う。

 

2.忍者の水の上を歩く術「水蜘蛛」は、最大15キロしか、浮か

 べられない。大人は、無理である。

(別件)忍者のトレードマーク黒装束はウソ。農民や武士の中に

 混じって区別できないようなごく普通の格好で、目立つことなく、

 敵に紛れ込んだ。

 

3.「陰陽師安倍晴明のパワーの源泉は、彼が天文・気象の学者

 だったから。

 

4.源の義経の「一ノ谷の戦い」での逆落とし

昔の日本で馬と言えば、古墳時代にモンゴルからやってきた、身長

は低いけれど力強い体つきの小さな種類のもの。

サラブレットと比べると、急な坂にも強かった。

 

5. 曲亭馬琴『兎園詳説』に描かれたUFOみたいなナゾの円盤船

いったいどこからやってきた?

場所は茨木県の舎利浜(銚子半島)

フィリピンや台湾近くの海で船が難破して、黒潮に乗って流れ着

いたという可能性。

ナゾの船に乗っていたのは、「背が高くてピンクの肌をした、髪

の毛が赤い女性。」との記載あり。

日本尾南出難破した船に乗っていたヨーロッパ女性が、銚子半島

に流れついた、と考えるのが正しそうです。

 

6.五代将軍・徳川綱吉の寝室近くにが、大地震時に逃げ込む

地震の間」がつくられていた。

地震の間」は地面に固定せず、地面の揺れを建物に伝えない

 ように するというあたりは、現在の高層ビルの地震対策と

全く同じです。 

 

7.海上の扇を射抜いた那須の与一

 ①矢を当てることが不可能でない距離(約75メートル)に近

 づいた。

 ②与一は「動くものを弓矢で落とす」のが得意だった。

 

8.参勤交代はお金がかかるので、大名は皆、急いだ。

 最速の参勤交代は、加賀藩4代目前田光高で、500キロメートル

 を一 週間で走り抜けた。

 

9.剣士が峰打をすると、ほぼ間違いなく殺人事件を起こします。

 峰打ちは科学的にも、歴史的にもあり得ない。

 

10.金を一番使ったのは、京都の金閣寺でも、名古屋城のシャチ

 ホコ でもなく奈良東大寺の大仏 金の重量440キログラム、現在

 の金額にして22億円

 

11.織田信長の時代、弓と鉄砲の使いてが、一対一で勝負したとした

 ら「勝つのはきっと、弓を持った武士」

 当時の鉄砲は、サッカーの「無回転シュート」と同じ理屈で、ま

 っすぐ飛ばなかった。

 

12.薩摩藩の参勤交代メンバーをしのぐ、一番歩いた人は,江戸時代

 後期、7年かけて日本全国を測量して、精密な日本地図を作り上げた

 伊能忠敬

 

13.明治政府は、明治6年に払う給料を「13か月分」から「12か月文」へ

 と節約するため、カレンダーを外国に合わせた。

 シナリオライター大隈重信

 

3.ふと思うこと 

先日、ユーラシア中央部の政治情勢の変化で、いままで覗けなかった

旧ソ連や、モンゴル地域ほかから貴重な資料が公開され、いままで

中華一辺倒の歴史資料に厚みが出てきて別の観点からの分析が出来る、

との趣旨を読んだことがあります。 確か出口治明さんではないかと。

切り口は違いますが、本書のように「科学的」観点からみると、納得

する点が多々あります。

たとえば私が、土木建築関係に不案内なため、普段は関心が薄いので

すが、江戸城の「地震の間」の話は、聴くとなるほどと思います。

また、一つ、賢くなった感じです。