中高年michiのサバイバル日記

世の中のこと、身の回りのこと、本のこと、還暦の中高年がざっくばらんに書きつける日記

出口治明さん的モノの見方、世界史の10人から 「何もしないリーダー」を評価する眼

1.先日は、クビライを一人取り上げました

参照は「世界史の10人  出口治明/著    文藝春秋 2015.10」

本日は少し視点を変え、歴史上の人物を材料に、「出口治明さん

的モノの見方」が現れれている部分を、特に取り上げます。

なぜ、取り上げるかは、私が気に入っているから。

僭越ながら、私の考え方に非常に近い点が多々あるからからです。

 

f:id:xmichi0:20200209220121j:plain

出口治明さんについては、いつものこの本棚イラスト

2.引用

バイバルスは歴史オタクであって、「過去を知らずして勝利なし」

という考え方を持っていました。暇さえあれば歴史の本をひもとい

ていたといいます。

十字軍とモンゴル帝国を相手に戦わなければならなかったのです

から、「昔のことを知らなければ、戦争にも勝てないぞ」と思っ

ていたのでしょう。  P40

 

わずか五十年ばかりの生涯とはいえ、バイバルスの成し遂げたこと

の意義は大きい。戦闘能力、決断力、知性、戦略性。そしてカリス

マ性までも兼ね備え、死後も長く語り継がれた波乱万丈の名リーダ

ー。

日本では知名度の低いバイバルスですが、もっと多くの人に知られ

ていい存在ではないでしょうか。  P44

 

なによりのバーブルの真骨頂は、その人間性と生き方にあります。

彼が残した『バーブル・マーナ』は古今東西を通じ、自叙伝の最高

傑作のひとつで、君主の手記としてはカエサルの『ガリア戦記』と

並ぶ名作でしょう。とりわけ描写が的確で、生き生きとしている。

(中略)バーブルの描写によって、色彩や音、匂いまでもが蘇って

きそうで、往時の背顔を克明に知ることができるのです。 P92

 

(シェール・シャーが行政能力を発揮して国の仕組みを構築した

という解釈に対して)

これは、王朝が違っても、誰かがやらなけれならないことでした。

中国で、秦の始皇帝が国家のグランドデザインを定めたおかげで

漢ができ、隋の文帝が汗をかいてくれたおかげで、唐の太宗・李世民

武則天長安の春を用意することができた、というように。P100

 

(アリエノールのこと)

こうした強い意志をもってやりたいことをやり遂げたのは、ロマ

ンチストだったからこそだろうと、私は思っています。年をとって

も夢見る気持ちがなければ、人は保守的に傾きがちです。 P174 

 

ローマ皇帝アントニウスピウスについて)

考えようによっては、治世二十三年で一度も首都ローマを離れなく

ても、帝国がきちんと機能し、みんなが繁栄を謳歌していたという

ことは、素晴らしい名君以外の何者でもありません。何もしなくて

も市民がおいしいご飯を食べられるなら、リーダーは何もすべき

ではない。

エリザベス一世はドラマチックな生まれで、一か八かのアルマダ

戦いに象徴されるような波乱万丈の生涯を送っていますが、実はこ

アントニウス・ピウス型のリーダーだったような気がします。

p235

 

ナポレオン三世の二十年にわたる政治に一貫しているのは、「国民主

権+帝政+社会主義」をミックスした皇帝民主主義です。この三要素

はそれぞれ少しずつ相矛盾するものですが、それを懸命に何とかまと

めて実現しようとした。彼の一筋縄ではいかない複雑な性格とも相ま

って評価が割れるところですが、素直に業績を眺めれば、近代的な知

性を持ったひとりの立派な政治家ではなかったか。

そして何よりも、今に残るあの美しいパリの街を作った、その一点

だけでもナポレオン三世を評価していいと私は思うのです。 P286

 

3.私の感想

アントニウス・ピウス、エリザベス一世の「何もしなくても市民

おいしいご飯を食べられるなら、リーダーは何もすべきではない。」

について、ひとこと。

「実績主義」とか「話題性」を突き詰めていくと、要は「目立って」

「印象に残る」ということでしょう。

私がキライな言葉ですが「体よくアピールする」ということでしょ

う。

むろん現実にには「アピール」は重要。

米国大統領選に限らず、選挙は有権者に「アピール」しないと、始ま

らない。マスメディアは、目立つ、関心を引くニュースを中心にしな

いと商売にならない。

「歴史が評価する」というとかっこいいですが、一般人は、現世であ

る程度評価されないと、ご飯が食べられません。厳しい現実です。