1.東京都心の空き家
(1)ネットでニュースを見ていたら、東京の世田谷区で空き家5万
戸に上り、そのうち2割以上が市場に流通せず、いうのがありまし
た。
世田谷区の人口比較で「5万戸」をどうみるかですが、タイトルにあ
るように「元に戻す」という発想が問われている気がしました。
世田谷の記事を、もう少し詳しく書きます。
(2)全国で問題となっている空き家。
国の推計によると東京都内にも約81万戸あり、その7割は23区内にあ
る。過疎化とは縁遠い首都圏でも高齢化でさらに空き家の増加が懸念
されるなか、活用につなげる取り組みもある。
この世田谷区の空き家が多い地域は、65歳以上のみの世帯が多く、区
内でも高齢化が特に進んでいる。
不動産価値が高く、若年層の家族は簡単には手を出せないことや、戸
建て中心の低層の住宅街に保つため、都市計画で建物の高さに制限が
定められ、不動産業者もマンション開発などに、慎重になりがちな点
も、空き家の多さに影響しているという。
(3) 総務省の18年の住宅・土地統計調査(抽出調査)によると、
都内の空き家は全住宅の約1割にあたる80万9900戸だった。
都の空き家率は10・6%で全国平均(13・6%)を下回る一方、その数
は突出している。
人口92万人を抱える世田谷区の空き家は昨年11月末5万戸で都内で
最多だ。うち賃貸や売却向けなどを除いた、市場に流通していない
「その他の住宅」に分類される空き家が約1万2千戸に上る。

世田谷区の高級戸建住宅でなく、タワーマンションのイメージです
2.台風19号で甚大な被害 進まぬ復旧 ローカル線が危機
ローカル線廃止に関して、少し書いたことを再度議論します。
(1)要約と私見
要約すると
➀ ローカル線は、現状でも赤字の中、災害対応でもとに戻すのは、
一層お金がかかる
② 費用負担のうち、維持・管理に費用のかかる線路などのインフラ
を「自治体」が保有し、負担安してもらおうという案あり。
③ 鉄道を社会インフラや地域資産としてどう位置づけるか、地域
住民も一緒になって考える必要があり、
公的、三セクがやるにしても、こういった案件は
「事業の採算性」を考慮すべきです。
「元に戻す、現状復帰ありき」の考えはやめよう。
長期視点をもって、事業生産性を考慮し決断しよう。
ということ。
ある事業を行った際の費用負担が、結局が事業者、
地方自治体、
国の3つしかない以上、
地方自治体に資金負担させても、
今後それに見合う税収はどうなのか、ちゃんと回収できるのか、
と思います。
対応策として、たとえば
僻地に住む一人の老人のために、町から自宅までの道を整備
しようという発想から、「その老人に町中に移り住んでもらおう」
という発想へ。
( 結果として
「わが自治体に人の住む地域がだんだん少なく
なっていく」)ことも容認せざるをえない発想です。
3.私が考えたこと
かたや東京都心の空き家問題、もう一方は台風桧垣のローカル線復旧
問題。利害関係者も、予算規模も、解決すべき論点も全く別であり、
同じく論じること自体が無理がある、と感じるのが当たり前です。
私は、奇をてらうわけでなく、「地域社会が生き残るための長期的な
視点が必須」という共通点強く、感じたのでした。
世田谷区の不動産所有者にしても、ローカル線の事業者にしても、
自分の利益を極大化させるために、動こうとするのは、当然です。
ここで、私が「長期的な視点」といったのは、人口動態予測や、社会
情勢、時代の流れ等々を考慮しながら、法律や制度を制定、強化や緩
和、改廃、再構築できる立場の人が、よく考えてほしい、というこ
と。
もちろん、成功であったか失敗であったかは、結論が出るまでに時間
がかかるかもしれない。シナリオを描いた人、制度を動かした人の評
価は当人が「現役」の時は終わっているかもしれない。
それでも、「仕事」として、しっかり考え、実行してほしい、と願う
わけです。