中高年michiのサバイバル日記

世の中のこと、身の回りのこと、本のこと、還暦の中高年がざっくばらんに書きつける日記

人間の道理(読書感想文もどき)曾野綾子さんのメッセージです しっくりきます

人間の道理

曾野綾子/著  

出版者    河出書房新社 2020.10

1.概要と私的所感

平穏だけを望んで生きることはできない、ウイルスを回避しすぎるこ

とが本質ではない、社会が決めたルールに同調する必要はない、生き

延びることは知性と関係ない、「自分は不幸」という固定観念をな

くす等々、彼女のメッセージ集は、私がうなづくことばかり。

所感めいたことを書くと、、、 

そんなに難しいことを、言っているわけでもない。僭越ながら、同じ

趣旨のことが自分にも書けそう。

とはいえ、こういううまい表現は自分にはできないな・・・・

 私は、たまに「しっくりくる」とか「ほどんど同意見」ということ

を、使います。

 ふと、思い出すだけでも、昔は竹内宏、邱永漢らがいました。司馬遼

太郎、堺屋太一もそうです。

 最近よく引用する出口治明さんほか、曽野綾子さんもその一人。

若いころの彼女の小説をよく読んでいるわけではありません。

キリスト教一神教的考え方とは、私は一線を画しています。

しかしながら、この10年くらい、彼女がお年を召されてからの

エッセイ等は、出版物としては、割と読んでいます。

「ウマが合う」という表現でしょうか。 

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今回の曽野さんは、お気に入りの本棚イラスト

2.本文から

人間は常にいささかの悪をしながら、時にはかなりの善をなすことも

できる。自分の内部におけるこの善悪の配分の時に必ず起きる、一抹

の不純さの自覚が、人間を作るのである。  P29

 

一方で人が死に、一方で運のいい人が生き残る。この非情で筋道の通

らない、決して平等とは言えない結末を、私は骨身にしみて感じた。

その結果、私は戦後人間は平等だなどという美辞麗句が人々の間に

浸透した時も、決してそんなことを信じなかった。  P32

 

農業の世界には、「みんな平等」も「みんな幸福」ということもあり

得ない。自然保護などと言って、森を守りさえすれば、すべての生き

物が、動物も植物もすべて、生きとし生けるものすべてが声明を全う

できるなどと言うことは無い。(中略) 一人の落後者も出ないよう

に、とか、「一人の人間の命は地球より重い」などと言うことは考え

られない。  P43

 

「徳性を有する」とは、どういうことか。
規定するのはむずかしいですが、一つの目安は、どんなことにも意味
を見出し、どれだけ人生をおもしろがれるか、ということだろうと思
います。  P76
 
動物的平等化を人間的に馴らす方法が「遠慮」だと思います。  P80
 
人は適当な時に死ぬ義務がある。ごく自然にこの世を辞退するのだ。
それで初めて私たちは人間らしい尊厳を保った、いい生涯を送ったこ
とになる。  P103
 
現実に、「衆賢」という言葉が出来なかったのは、決した偶然ではあ
るまい。無責任な行動しか取らない人の中で、自分を保ち続けること
ができる人物はほんの少しだから、「衆」は常に愚であった。そして
我々は、誰もが衆の一人なのだ、ということを、間違いなく肝に銘ず
べきなのである。 P117
 
相手が、いい人でも正直な人でもないだろう、と反射的に思うこと
は、日本以外の土地では実に有効な身を守る手段であり、柔軟性でも
あった。
(中略)私はまず用心し、はじめから相手を部分的にしか信ぜず、従
って裏切られても騙されても怒ることはなくなった。 P123
 
忍耐さえ続けば、人は必ずそれなりの成功を収める。金は幸せのすべ
てではないが、財産もまた大きな投機や投資でできるものではないと
いうことを、私は長い間人生を眺めさせてもらって知った。
その代わり、成功のたった一つの鍵は、忍耐なのである。  P134
 
 諦めることも成熟の一つなのだとこの頃になって思う。しかしその場
合も充分に爽やかに諦めることが出来た、という自覚は必要だ。
つまりそれまで、自分なりに考え、努力し、もうぎりぎりの線までや
りましたという自分への報告書はあったほうがいいだろう。 P152
 
他人に理解されようと思うから無理が出るのだ。理解されなくても、
現実はほとんど変わらない。 P164
 
私はこの世に「安心して暮らせる」状態などないこと、生きることは
運と努力の相互作用の結果であること、従って人生に予測などという
ことは全く不可能であることしかしそれゆえに人生は驚きに満ち、
生き続けていれば、びっくりすることおもしろいことだらけだと、
謙虚に容認できるようになった。  P174
 
 3.再度、短文コメント

 人は、結局現在の自分に、受け入れられるものしか、受け入れない、

という当たり前のことを、感じた一冊でした。 

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