中高年michiのサバイバル日記

世の中のこと、身の回りのこと、本のこと、還暦の中高年がざっくばらんに書きつける日記

マネジメントの文明史(読書感想文もどき) 成功にはイノベーションを起こした組織を買うことか

マネジメントの文明史

ピラミッド建設からGAFAまで

武藤泰明/著

出版者    日経BP日本経済新聞出版本部 2020.10

日経BPマーケティング(発売)

1.概要といきなり感想

(1)一般的な説明は以下の通り

人を動かし目的を達成するマネジメントの仕組みはいつ

誕生したのか?

古代エジプト産業革命からアメリカ企業の繁栄、現代

まで、5000年にわたるマネジメントの進化を追う。

 章立ては

Ⅰ.会社以前 Ⅱ.大航海時代と会社の成立 Ⅲ.英国 Ⅳ.ドイツ

Ⅴ.米国 Ⅵ.個人によるイノベーションと非営利組織の時代 

なっており、Ⅰ章からⅥ章までは特に「深い洞察の経済史をマネ

ジメントの観点から分析」していると思います。

(経営の歴史の認識枠組み

  ①リスクとリターンの観点

  ②国家と企業(経営主体)のせめぎ合い

  ③イノベーション   ) P22

 

(2)著者は「日経ビジネススクールでは会社役員・経営幹部

向けシリーズの代表を務めている。専門はマネジメント」と

あります。またバブル頃の証券会社の幹部研修での講演あり、

とも記載があります。

文章の節々に、深く広い知識の蓄積とともに「現場感覚」へ

の理解を感じます。

私は、いわいるマネジメントや経営学の分野で、「学者や評

論家」の書く文章は、ピンとこないものが多いのですが、嬉し

い「誤算」だったようです。 

f:id:xmichi0:20200209220121j:plain

まず情報の蓄積、次に比較分析

2.本文から

(1)Topics記事が面白かったので引用します。

・アフリカに進出している日本企業の拠点は、ロンドンに置か

れていることが多いと思います。アフリカ、特に、もと植民地

の情報がすべて入ってくるのは、アフリカでなくロンドンな

んです

アフリカのどこかの国に拠点を置いても、アフリカの他の国

の情報は、入ってきません。アフリカを植民地にしていた国は、

主にに英国とフランスです。 (中略)

西アフリカに行くためには、先ずパリに行かなければならない

のだと言えるでしょう。   P169

 

ポーターの競争戦略では「相手がどう動くのか」が重要です

相手の数が少ないのでこのような検討が有効になるということ

です。

これに対して日本企業の特徴は、競争相手が多いことなので

ポーター型の競争戦力 が枠組みとして使いづらい。このことが

示しているのは経営学や経営論というのは

・地域性がある

・普通ではない

ということでしょう。  P300

 

(2)「第42章 GAFAと反トラスト法」 「第43章 大企業

と経営の未来」 から、少し抜粋します。非常に今日的話題です。 

100年ちょっと前の米国でも、おそらく似たような光景(独占の

こと)が見られた。(中略)

ただスタンダード・オイルの時代と決定的な違いは、米国の司法

当局だけでなく欧州や日本でも問題視しているということ。

世界中に顧客と競争相手がいる。そしてこのGAFA4社が顧客

をほぼ独占していくということになるといろいろな問題が顕在化

してくるはずです。  P378

 

巨大になった企業をコントロールできるNGOはどのようなもの

かというと、具体的な姿を浮かべにくい。いずれにせよ、現代の

巨大企業は、米国法(反トラスト法)だけで統制できるものでは

ない、ということです。 P379

 

いずれにせよ、自己資本比率の低下は、会社を脆弱なものにして

しまいましたこのままいくと、資本主義って何なのだろう、では

なくて「何だったのだろう」ということになるのかもしれません。 

P386

 

研究開発にはリスクがあッて、四半期利益を求める投資家との間に

は、深い溝がある。何がそれを埋めていくか

1.A&D

  R&Dではなくて、Aは  Acquisition。   M&AのAです。

  つまり、イノベーションを起こした企業を買う。

  (補足説明すると)

  大企業によって買い取られるイノベーション、あるいは新たな

  アイディアは、それだけではIPOを経て巨大企業へと成長

  していくことが難しい。だから大企業が、自社のイノベーション

  ・プールを少し外へと拡張して事業化していく。

2.CVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル

  要は、大企業がベンチャーキャピタルになること

  少し日本のことを考えるなら、成功した起業家のすくないこ

  の国で、イノベーションを起こせるのは、大企業のCVCかも

  しれません。   P338-390 

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

マネジメントの文明史 ピラミッド建設からGAFAまで [ 武藤 泰明 ]
価格:2640円(税込、送料無料) (2021/2/2時点)

楽天で購入