中高年michiのサバイバル日記

世の中のこと、身の回りのこと、本のこと、還暦の中高年がざっくばらんに書きつける日記

自分の価値(読書感想文もどき)また曾野綾子さんのメッセージを取り上げます

自分の価値

曽野綾子/著  

出版者    扶桑社 2020.9

1.概要と私的所感

(1)まず、一般的紹介を書くと

こうあらねばならない、という生活はしない。弱さは財産であり、

幸運である。ものごとはすべて変化する-。不安や不満を抱えて

模索する人に向けて、力強く前進できる言葉を、これまでの著作

から抜粋して紹介する。

となります。

 (2) 私は、たまに「しっくりくる」とか「ほどんど同意見」ということを、使います。

 ふと、思い出すだけでも、昔は竹内宏、邱永漢らがいました。司馬

遼太郎、堺屋太一もそうです。

 最近よく引用する出口治明さんほか、曽野綾子さんもその一人。

若いころの彼女の小説をよく読んでいるわけではありません。

キリスト教一神教的考え方とは、私は一線を画しています。

しかしながら、この10年くらい、彼女がお年を召されてからの

エッセイ等は、出版物としては、割と読んでいます。

「ウマが合う」という表現でしょうか。 

 

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曽野綾子さんのエッセイもこの本棚イラスト

2.本文から

子供も中年も読書をしなければ人間にならない。テレビやインター

ネットの知識と読書のもたらす知識とは質が違う。さらに日本語の

文章を毎日書き、よく人と語らなければならない。その訓練をした

人だけが将来、自由で開放された人生を送るのである。  P32

「『群れない』生き方」

 

哲学者のエピクテトスが言ったことですが、「老年期こそ、実は学

ぶのに最適な年月なのだ」と。引退してからの時間、さらに老年期

に入ってからの時間、したいことが何でもできる自由を得ている。

人に期待されないということは自由ということでしょう。

いくらでも積極的に学べるのですから、暇をつぶしているのは時間

の無駄ですね。勉強する楽しさというのは、魂を満たしていくもの

だと思います。  P34  「死という最後の未来」

 

一人で遊べる習慣を作ることである。

年をとると、友人も一人一人減っていく。いても、どこか身体が悪

くなったりして、ともに遊べる人は減ってしまう。

誰はいなくとも、ある日、見知らぬ町を一人で見に行くような孤独

に強い人間になっていかねばならない。 P35 「完本 戒老録」

 

かつて地球が生成してから、どれだけの数の人間が生まれたか知

らないのだが、そのすべての人が死んだ。だから地球のすべての

土地が、たぶん誰かの埋葬の地なのである。

私たちは、死者の墓の上に生まれ、そこで育てられ、そこで終焉

の時を迎える。それ以外の運命を生きる人はいない。

 P58  「人間の愚かさについて」

  

私には他人の好みは計りかねるが、最大の成功は、自分と他人を

殺さないことだろう。なぜなら、人生の意義の第一は、与えられた

生活を文字通り全うすることで、その長さや質を自分で決めては

いけないものなのである。それは思い上がりというものだ。 

 P59 「死生観」 

 

若い時は、いい人か悪い人か、好きか嫌いか、であった。しかし

今では、どんな変った人も、面白い、会えてよかったと思う。

退屈な人は一つのグループだけで、「権力欲の強い人」と「有名人

に近づきたがる人」だけである。

他の人はどんな癖も楽しく思える。  P83  『群れない』生き方

 

外界の変化に耐えるのは、鍛え抜かれた肉体があるからだと信じたい

思いは誰にもあるのだが、精神力こそが肉体を支える基本で、それ故

に人間は危険を脱することが出来るのだ、という構図は、あまり描か

れて居ない。 P111   「人生の引き際」

 

高齢になるということは、途方もない解放をあたえるものだ。良くも

悪くも先が長くない。良いことにもさして執着せず、悪いことにも深

く傷つかない。こういう幸福な高齢者世代が日本には実に多くいる、

ということだ。  P131 「死正論」

 

人生で仕事と呼ばれて収入を得るには、すべてのつらさに何年も耐え

自分で工夫することが昔から条件だった。(中略)

しかし誰でもできる平凡な仕事には楽しさがない。人は生来好きなこ

とをして稼ぐことが、幸福になる秘訣なのである。

P158  「不幸は人生の財産」

 

自分の考えに正しい理論があるように、反対の考えにも正しい理論が

ある。そこをきちんとわきまえて、自分の正しさを他人に押し付ける

ことなく、一人一人が自分の信じるところに従って行動する。

それが大人というものでしょう。

P182   「幸せは弱さにある」

 

人間の努力がなくていいわけではない。しかし努力で何事もなし得

るというわけでもない。」そう思えることが、一人前の大人の状態

だ、と私は思ってきた。  P208  「人間にとって成熟とはなにか」

 

 3.最後に

  先輩の至言に、何も加筆はありません。

余り若い人が読んでも、ピンとこないのは、それは致しかたありません。 

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