中高年michiのサバイバル日記

世の中のこと、身の回りのこと、本のこと、還暦の中高年がざっくばらんに書きつける日記

スケール (読書感想文もどき)生命、都市、経済をめぐる普遍的法則を少し理解

スケール 下

生命、都市、経済をめぐる普遍的法則

ジョフリー・ウェスト/著  

山形浩生/訳  森本正史/訳  

出版者    早川書房 2020.10

1.概要

イノベーションはどこから生まれるのか? 生命に関わる問題から都市

という奇妙な有機体の謎、企業や経済活動まで、理論物理学者が、

エピソードや小話とともに、様々な現象を貫く普遍的法則を解き明

かす、という概要です。

正直ベース、今回も難しく、私の頭で、7割がたの理解といったと

ころでしょうか。 

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都市と生命体、経済、企業の普遍的法則

2. 本文から

人間は良い面ばかりを見て、悪い事から目を背ける」のに非常に長け

ている。とりわけそれが、おカネと物質的な幸福に関係しているとき

はなおさらだ。

都市サイズの増大によって得られる個人的便宜に加えて、系統的な規

模の経済で生じる、非常に大きな集合的便益もある。都市サイズ増大

に伴う、この個人的便益の増大と、集団としての便益の体系的増大の

着目すべき結合が、世界中の絶え間ない都市化拡大を支える力になっ

ている。  P53

 

(都市システムの同一性)

そもそも私たち人間はみな、ほとんど同じ遺伝子と全般的な社会史を

共有している。(中略) みなかなり最近になって、移動狩猟採集民

から大部分が定住共同体になったばかりだ。都市スケーリング則の驚

くべき普遍性が示す根本的な共通性は、人間社会ネットワークの構造

と力学はほぼどこでも同じということだ。  P54

 

都市は人々の相互交流の表現で、これは人間の神経ネットワークに、

ひいては脳の構造と組織にコード化されているのだ。おしろいこと

に、ひょっとしてこれは単なる比喩にとどまらない。物理的、社会経

済的な流れが表された都市の地図には、脳の神経ネットワークの幾何

学と流れが、非線形的に表現されているということになるのだ。 P87

 

本書の一貫した主要テーマは、エネルギーと資源のインプットと変換

が無ければ、何も成長しない、ということだ。これは個別生命体であ

ろうがコミュニティであろうが、生物システムの成長を定量的に理解

するために提示した普遍的理論の基本原則だ。 P161

 

富の創造とイノベーションを含む、成長の根底にある社会代謝へのす

べての社会経済的貢献が、共通指数1.15の古典的な超線形べき乗数に

従っておおむね同じようにスケールすることだ。すべての構成要素が

このようにスケールすることで、都市の総社会代謝率も同様に指数

1.15で超線形的にスケールする。これがスケーリング的視点の素晴ら

しいところだーーー成長の軌跡を研究するために、都市代謝への個々

の貢献の詳細をする必要はない。 P165

 

生物を支配する線形未満スケーリングと規模の経済は、安定して有限

の成長とライフ・ベースの原則をもたらすが、社会経済活動を支配す

る超線形スケーリングと規模の経済の増大は、無限の成長とライフ・

ベースの加速をもたらす。   P166

 

おおきなちがいがあるにもかかわらず、スケーリングのメガネ越しに

いた時、企業と生命体の成長と死が似ているーーそして都市とは似て

いないーーことに驚かずにはいられない。企業は驚くほど生物的で、

進化論的視点から見るとその「死」は「創造的破壊」と「適者生存」

がもたらす革新的活力を生み出すための重要な要素だ。すべての生命

体が未知の新しいものが栄えるために死ななければならないのと同様

に、すべての企業は新しい革新的な変化が花開くために消えるか変形

しなければならない。  P199

 

企業が都市のように超線形ではなく線形未満でスケールするという事

実は、イノベーションとアイデア創造よりも規模の経済が優る典型例

だということを示唆している。 P205

   
(本のタイトルについて)
「生命体、都市、経済、そして企業における、成長、イノベーション
持続可能性、そしてライフ・ペースの普遍的法則」と決めた。 P258

 

 3.改めて感じたこと。

 (1)まずは長い、本文の引用

 人は一生同じ専門技術を使って同じ仕事で働き続けるものと無意識

うちに考えていた。これはもう当てはまらない。
今や人は、特に発展途上国と先進国では通常大きなイノベーション
感覚よりもずっと長く生きる。今日労働人口に加わった若者は、キャ
リアの持続性を中断させる可能性が非常に高い大きな変化を、生涯の
うちに何度か経験すると予想される。  P226
(2)改めて感じたこと
私は「若者」でありませんが、昔の惰性で生き残れる「知的たくわえ」
がなく、競馬でいう「先行・逃げ切れず」といったところ。

 「キャリアの持続性を中断させる可能性が非常に高い大きな変化」は

 確かに、感じてはいます。

このままでは、ジリ貧となるのもよく解かっています。しかしながら

変化の前に立ちすくみ、一歩踏みさせないところです。