中高年michiのサバイバル日記

世の中のこと、身の回りのこと、本のこと、還暦の中高年がざっくばらんに書きつける日記

歴史の定説100の噓と誤解(読書感想文もどき)幅広い、多面的な、そして寛容な考え方を持とう

歴史の定説100の噓と誤解

世界と日本の常識に挑む

八幡和郎/著  

出版者    育鵬社 2020.3

扶桑社(発売)

1.概要と著者史観

(1)「日本書紀」の万世一系が「史実」である証拠、室町幕府

江戸幕府より強力、坂本龍馬を殺したのは会津藩ジャンヌ・ダルク

は男系男子継承の守護神等々話題は様々。

著者がこれまでに書籍や論文等で発表してきた世界と日本の歴史につ

いての所感を100テーマ選び、1テーマ2ページで論証しています。

(2)前書きに著者の史観が見えます。長いですが、引用します。

定説が陥っている勘違いの原因は何かというと、「確実な証拠への

過度なこだわり」だと思います。政治・外交・経済の現場では、

100%確かな情報だけでなく、噂まで含めて情報を幅広く集め、知

力・それまでの人生と仕事で得た経験・冷静な分析力、そして職業的

な勘まで総動員していくつもの可能性を想定し、最適な政策ミックス

を複合的に講じますし、そうでないと危険です。

歴史の真実に迫るためにも、同じような視点であるべきだと思います。  

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歴史にはいろんな解釈があるのが、当たり前

2.本文から

 「神武東征」は鎌倉時代以降になって創作された話で、『日本書紀

古事記』には書かれていないというと皆さんコロンブスのタマゴだ

と驚かれます。  (中略)

記紀』には、神武天皇が日向の国で領地を持っていたようには書い

ていませんし、「東征」に最初から参加していたメンバーの名は6人

しか記されておらず大軍を率いた用には読めません。   P12

 

明治になって古代に戻すという名目と実質的には西洋に倣って天皇

終身になりました。しかし、21世紀に入ってスペイン、オランダ、ベ

ルギーなど西洋でも生前の退位が一般化したのを受けて、日本でも

2019年に久々の生前の退位が行われました。  P39

 

もし、平氏の天下が続いて政権が関東に移らなかったら、神戸(福

原)と杭州(臨安)を結ぶ貿易が発展して東アジア経済はダイナミッ

クに発展したかもしれないと思うと惜しい気がします。  P43

 

室町幕府鎌倉幕府江戸幕府に比べて弱体であったと見られていま

すが、それは誤解です。徳川氏が大名に争いをさせえない体制を構築

したのに 対し、足利氏は主語たちの内部対立を煽って、その仲介者

として権威を維持しようとしたのが違うところなのです。  P52

 

秀吉が信長や他の戦国大名が試行していた近代社会の枠組みを体系的

に一気に実現した功績は、西洋史でいえばナポレオンに比肩します。

秀吉の日本は世界の最先進国の一つでした。  P69

 

江戸時代の日本は、多分に「李氏朝鮮化」してしまったのです。もと

もと日本は身分秩序が比較的にゆるやかでした。女性の自由度も高

かったのですが、家康はこうした無秩序を嫌い、「何も変化がない

社会」「農業を通信として無駄なものは作らない経済」を理想にした

ので、朱子学がお気に召したのです。   P82

 

中国語に日本語からの外来語が多いということは、中国人のほうが

よく知っています。古典に出てこない言葉だからすぐに分かるので

す。逆に、日本人は、中国から輸入された漢語だと誤解しています

し、辞典を見ても区別していないのが残念です。  P125

 

ジャンヌダルクが男系男子継承の守護神とは、女系でのフランス王位

継承を狙うイギリス国王の野望を打ち破って独立を守ったこと。

P162

 

大航海時代はインドへの道の探索から始まったのではなく、イベリア

半島におけるイスラム教徒に対するレコンキスタ(国土回復運動)の

延長線上で始まったというのが私の意見です。  P168

 

(ナポレオンが)信教の自由を認めつつ、カトリックを国民大多数の宗

教として位置づけたことで、ローマ教会と若いし、「政教和約」(コ

ンコルダート)を結んだことは、王政復古を遠のかせ、皇帝即位は、

神聖ローマ帝国に代表される中世的ヨーロッパへの死刑宣告でした。

  P179

 

(19世紀末の話) 

フランス革命以降の自由主義・民主主義の進展や、近代科学の発展は

ローマ教会にとって試練でした。宇宙や人間の成り立ちについての教

義が否定されたことも痛手でしたが、教会自身が独自の財産を持ち、

反動的な政権と密着しているという本来の信仰とは関係のないしがら

みも厄介でした。 P192

 

 龍馬を暗殺したのは会津藩出身で幕臣佐々木只三郎だと確定してい

ますし、会津藩幹部だった兄が明治になってから松平容保ないしはそ

の弟の桑名藩主の指示だったことを遺言していますから謎はありませ

ん。 P197

 

(教育勅語について)明治時代にすでに時代遅れと言われたものを道徳

の基本だというのは論外ですが、中国の古典や老舗の家訓とおなじで

間違ったことが書いてあるわけではないので、古典として教えるなら

否定する理由がありません。 P205 

 

 穏健左派やリベラル政党が移民・難民を警戒しない警戒しない理由に

は、移民が彼らの支持者になりやすいこともあります。 P229

  

3.最後に

著者の八幡さんは少し「定説」と違った解釈をしていますが、大きく

ずれているとは、思えません。

「まえがき」にもある、彼の真摯な研究姿勢は好感が持てます。まさ

に、「歴史は解釈」の側面を感じます。

私も、幅広い、多面的な、そして寛容な考え方を持とう、それを継続

しようと肝に銘じています。