敗戦記「その22」も同じイラスト
昨年1月10日から 「読書感想文もどき」に至らなかった「敗戦記」
というのをアップしていますが、今回22回目です。
私の現在形として、本を読める環境というのは、変わっていません。
ありがたいことです。
イラストもあえて、同じものを使用、趣旨も同じで、硬軟とり交ぜ、
読者への何らかの参考となればと・・・
1.深層日本論
ヤマト少数民族という視座
工藤隆/著
出版者 新潮社 2019.5
今なお無文字文化の名残を残す中国少数民族に、在りし日の日本
の姿を見た著者が、古事記、万葉集(和歌)、伊勢神宮、大嘗祭を
めぐって、本当の“日本古来”とは何かを、遙か古代にまで遡って
解説します。
一つ引用します。「日本文化の何を誇り、何を制御するか」P237
長江以南の少数民族は、国家を作らず、あるいは作ったとして
も弱小であっただけでなく陸続きであったゆえに、漢族の侵攻を
受けで国家体制を維持できなかった。
一方で古代の日本は、大陸との間に海の防御壁があったおかげで、
大陸国家からの直接の侵略を受けなかった。しかし国家の樹立や
運営の実用的かつリアリズム型の知識だけは大陸から学ぶことが
できた。
その結果、リアリズムとは逆方向の、もともと持っていたアミニ
ズム系文化や歌垣文化圏の恋愛文化といった文化的資源も濃厚に
残すことになった。
日本はこの、外来のリアリズム型の知識と、それとは逆方向の少数
民族(原型生存型民族)的文化資質を抱え込んで、およそ1400年間
<国家>としての体裁を維持して21世紀まで至っている。
この時アミニズム系文化や歌垣文化圏の恋歌文化といった文化的
資質は、ほとんどDNAのように現在日本文化の基層に生き続け
ている。
2.1日1ページ、読むだけで身につく
日本の教養365
毎日の習慣が1年後の自分をつくる
齋藤孝/監修
出版者 文響社 2020.10
自然、歴史、文学、科学、芸術、伝統文化、哲学思想。1週間
で7分野。見開きで、通読なら1回分5分もかからないでしょう。
齋藤さんなりの「日本を知るために必要な知識」を1年分収録
しています。もちろん私の関心事も濃淡ありますが、365話は
一つの整理になります。
結果として、斎藤さん日本を手に取ることも多いですが、どれ
も読みやすいです。
伝える内容はもちろん大事ですが、相手のレベルを想定して
「解り易く」とは、同じくらい大切と、いつも思います。
二つ引用します。
「37 歴史 卑弥呼」
卑弥呼が死ぬと、直径100数十メートルの円形と思われる巨大な
墓が作られ、奴婢100人以上が一緒に葬られた。古墳時代にはこ
れが埴輪に取って代わられるが、卑弥呼の時代には生きた人間が
殉葬者となった。
「361 科学・技術 湯川秀樹」
1907年地質学者・京都帝大教授の息子として生まれた湯川秀偉
あまりにも無口な子供だったため父親から疎んじられ、兄弟の
中でも能力を低く見られていたという。
3.カラスをだます
塚原直樹/著
出版者 NHK出版 2021.2
「カラス語」研究者にしてカラス対策専門ベンチャー創業者が、
長年の鳴き声研究のエッセンスから科学的な追い払い方まで、
豊富な事例とともに楽しく解説。
「カラスはなぜ黒い?」等の疑問にも詳しく答えています。
4.「そろそろ、お酒やめようかな」と
思ったときに読む本
垣渕洋一/著
青春出版社 2020.12
「お酒をやめると快眠・クリアな思考・時間が手に入る」との
フレーズ
アルコール外来の専門医が、お酒との正しいつきあい方や知っ
ておきたい「危険なサイン」、飲酒時の体の変化などを解説し、
禁酒が続く仕組みの作り方を徹底指南する、とあります。
『断酒をして、「飲んでいれば幸せ」だった状態から「シラフ
の方が幸せ」という生き方へ転換すること』というのがありま
した。
私見は、「飲んでいる状態」と「シラフの状態」の双方が幸せで
あればそれでいいと思っています。
私は「楽しみは自分で勝手に創り出していくべき」と考える方で、
アルコールはそのいち要素のようです。
5.暗黙知の次元
The tacit dimension./の翻訳
マイケル・ポランニー/著
高橋勇夫/訳
出版者 筑摩書房 2003.12
「人間には、言語の背後にあって言語化されない知がある。
「暗黙知」、それは人間の日常的な知覚・学習・行動を可能に
するだけではない。暗黙知は生を更新し、知を更新する、とい
うところまでは、何とか解ります。 しかしその後も、また難しい。
到達点のひとつとして
「暗黙知によって開かれる思考が、新しい社会と倫理を展望する。」
と、ある解説にありますが、私はついに到達せずじまいでした。
ただし、
末尾の、知を更新し続けられない社会は「無責任で、利己的で、
明らかに無秩序」であり、さあどうするかという問いかけで結ば
れるていて、結論が出ていないのは解ります。
残された時間で、残念ながら、私は知の探究者になれそうにない
というのが正直な感想。
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