昨年1月10日から 「読書感想文もどき」に至らなかった「敗戦記」
というのをアップしていますが、今回24回目です。
私の現在形として、本を読める環境というのは、変わっていません。
ありがたいことです。
イラストもあえて、同じものを使用、趣旨も同じで、硬軟とり交ぜ、
読者への何らかの参考となればと・・・
1.麻薬と人間 100年の物語
薬物への認識を変える衝撃の真実
ヨハン・ハリ/著
福井昌子/訳
出版者 作品社 2021.2
(1)「麻薬戦争」とは、米国流の「麻薬撲滅のための戦争」の
ことです。
100年におよぶ「麻薬戦争」の歴史をたどり、「麻薬の危険性」
の科学的根拠についても、専門家たちの検証を紹介しています。
主に20世紀の薬物規制とその影響についてまとめた内容です。
私が感じたのは、まず「乾いた文章」であること。普段私が全く
読まない感覚の文体でした。
(2)薬物依存についての解決法で
依存者を逮捕、隔離するのではなく、薬物を合法化することで
あり、生活を立て直す援助が必要だと、実例を示して説明して
いるのはなるほど、でした。
なお、マリファナ合法化の根拠について
「大麻は他の薬物より無害だから」という発想と「有害だけど、
規制することの方が害が大きいから」を比較し後者の姿勢を、
本書はとっています。
ミクロの視点も持ちつつも、社会全体への影響をマクロに論じて
いるところは、説得力ありです。
2.スケール 上 生命、都市、経済をめぐる普遍的法則
ジョフリー・ウェスト/著
山形浩生/訳 森本正史/訳
出版者 早川書房 2020.10
世界を支配する隠された秩序とは? 生命に関わる問題から都市とい
しいエピソードや小話とともに、様々な現象を貫く普遍的法則を
解き明かす。
スケール (読書感想文もどき)生命、都市、経済をめぐる普遍的法則を少し理解 - 中高年michiのサバイバル日記
実は、今年の3月26日に、下巻中心にまとめています。
今回は上巻を読み込みました。
全体像からひとつ引用します。
動物、植物、生態系、都市、企業のほぼすべての測定可能な特徴は
大きさや規模と共に定量的にスケーリングする。(中略)
この驚異的な規則性の存在は、これらの全く違う非常に複雑な現象
全ての根底に共通の概念的枠組みがあること、そして動物、植物、
人間の社会行動、都市、企業の動態、成長、まとまりが、実は似た
ような 一般化した「法則」に従っていることを強く示唆している。
P15
3.核武装論
当たり前の話をしようではないか
西部邁/著
出版者 講談社 2007.3
「唯一の被爆国」という自己欺瞞をただす。「非核三原則」には嗤いを。
日本の核武装に現実味を感じていないのは日本人だけ。
蔓延する偽善的な平和主義に抗して老師ニシベが語る「核」への天下の
正論、というのが一般的説明です。
ある紹介から、手にしました。
この手の本は、激しい国際政治情勢の素、直ぐ陳腐化しそうですが、
2007年3月ですから、もう14年も前の本ですが、全く古さを感じさ
せません。副題にあるように「当たり前」の議論が今頃飛鳥な気
がします。
なるほど、数少ない「理論を極めた戦後保守の論客」なんですね。
末尾から、一つだけ、引用します。
危機におけるトレランスが国民精神のバランスを保証し、その
感覚こそが技術文明の根底を支えるものとしての精神文化の精髄
なのだと思えば、この危機を渡り続けることに大きな意義を見出
すこともできるるはずです。 P266
4. 占星術殺人事件
島田荘司/[著]
出版者 講談社 2013.8
密室で殺された画家が遺した手記には、6人の処女の肉体から
完璧な女を創る計画が書かれていた。
その後、彼の6人の娘たちが行方不明となり肉体の一部を切り
取られた形で発見される。迷宮入りした猟奇殺人のトリック
とは?というのが一般的解説。
本格推理もの、の範疇でしょうか。
もう30年近く前読んだのですが、ふと気になって読み返して
みました。
私は推理小説マニアではないし、自分の推理が「当たった」という
ことも、ありません。二度、三度と同じ推理小説を読み返し、伏線
を味わう、といったこともありません。
推理という組み立てやエピソード、知識にまつわるところが面白く、
この話を皮切りに島田庄司氏のものは、昔ほとんど読んだ思い出が
あります。
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