中高年michiのサバイバル日記

世の中のこと、身の回りのこと、本のこと、還暦の中高年がざっくばらんに書きつける日記

統計で考える働き方の未来(読書感想文もどき)可能な限り働くことが必須

統計で考える働き方の未来

高齢者が働き続ける国へ

坂本貴志/著  

出版者    筑摩書房 2020.10

1.概要

賃金は増えていないのか。格差は広がっているのか。年金はもつのか

労働の実態、高齢化や格差など日本社会の現状、賃金や社会保障制度

の変遷等を統計データから分析し、労働の未来像を描き出しています。

一つの結論を導き出す際に、当然「解釈」はありますが、数字から逸

脱しないことは、非常に大切であり、というか、事実に基づいて考え

ることは必須ですよね。

こういった当たり前のことが、目立つと思うほうが変なのですが・・。

つまり、いかに事実や数字無私の一方的、扇動的池ばかりが横行して

いることに、気づくのです。  

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「悠々自適」は過去、働く高齢者の方が「普通」の時代

2.本文から引用

多くの人は経済上の理由で年をとっても働かなくてはならないから

働く。これらの統計が指し示しているのは単にそうした事実なので

はないか。 P19

 

現在政府が行っているのは、高齢社員の雇用を企業に押し付けるよ

うな施策だ。この状態が続けば、企業組織はさらに高齢化し、適切

な経験を与えられず職業能力を開発する機会を失った人々が漂流す

ることになる。

少子高齢化のなかで、国とともに高齢化している日本企業。このま

までは厳しい国際競争を生き残っていくことはできない。 P70

 

女性に関しては、非正規雇用だから結婚できない人と、結婚できた

から非正規雇用になった人、この2種類の性質の人が非正規雇用

いう職の中で混在している。  P89

 

そして、多くの女性が就労し、女性の就労化の余地が限られてくる

ようになれば、こうした動きは徐々に女性から比較的体力に余裕の

ある60代から70代前半の高齢者へと移っていくのだろう。  

近い将来、高齢者が働くことを良しとする価値観が急速に広まり、

高齢者があたりまえのように働く社会が否でも応でも実現するは

ずなのだ。  P131

 

将来の年金の支給額は現在の水準から1割から2割程度減る。これ

が将来の私たちの老後の等身大の姿なのである。 P147

 

結局、多額の貯蓄を有する人は別として、将来の年金額が減少した

時の最も有力な対抗策はやはり働き続けることなのだ。 P164

 

最もフリーランスという働き方が向くと考えられる人は高齢者で

ある。 (中略) 仮に仕事が急に途切れたとしても生活が揺らぐこと

は無い。 P191

 

労働力不足の時代に情報技術を用いて効率化をどう進めていくか、

またそれでも労働力が足りない場合に誰を割り当てるか。むしろ

そのことに意識を強めるべきである。 P215

  

現実的に今後も必要とされ続ける現場労働を担うのは高齢者しか

いない。  226

 

保安、運輸、清掃や自動車運転など、現場労働の削減は、これから

もなかな進んでいかないだろう。こうした現場労働は将来も確実に

社会に必要とされる仕事なのである。  P228

 

働く意欲のある人働ける世の中を実現する、こうした言葉はまやか

しだ。高齢者雇用の未来の姿は、このようは言葉で表現される美し

い世界ではないのだ。

現在の高齢者が送っている悠々自適な老後を、未来の高齢者が送る

ことはもはやないのである。  P241

 

高齢になってもこれまでと同じ会社で同じペースで仕事をしなけ

ればならないのが未来だとすれば、それではあまりにも救いがな

い。しかし、日本の将来に思いを回らせば、そのようなことなど

まったく必要とされていないのだ。 P258

 

職業人生の下り坂を味わいながら下る。これこそが将来の日本の

高齢者に必要な考え方だ。 P262

 

これからの日本の労働市場の進むべき道は、日本特有の労働慣行

を基礎に置きながらも、高齢者にはそれ特有の外部労働市場の整

備を進めていくということになるだろう。  P278

 

過去、幾度もの危機を乗り越えてきた日本人が持つ可能性を、私

は信じている。

高齢化社会の課題に先鞭を打ち、就業延長シナリオを軌道に乗

せることができれば、再び日本画世界から称賛される耳朶がやっ

てくるはずだ。  P283

 

3.最後に

 自分の能力・体力に合わせて、自分にできる範囲で、ずっと働こう、

(いや、働かざるを得ない)という事ですね。

著者は1985年馬らとありますから、現在36歳代くらいでしょうか。

自分自身の年代の将来を見据えて、真摯な分析す超過と、非常に

好感の持てた一冊でした。