使ってはいけないエセ心理学
使ってもいい心理学
妹尾武治/著
出版者 PHP研究所 2016.9
1.概要
(1)うさんくさいのに、なぜか魅了される心理学。人間の成長や
自己向上に関わる俗説を取り上げ、それらが「使ってはいけない
エセ心理学」かどうかを、心理学の最新論文を紹介しながら、科学的
エビデンスを基に明らかにします。
項目ごとに冒頭にQ&Aがあり、その後分かりやすい解説が続きます。
(2)瀬能武治さんいついては先日、下記の心理学的決定論を
未来は決まっており、自分の意志など存在しない(読書感想文もどき)絶望でなく希望 - 中高年michiのサバイバル日記
取り上げました。
これが、非常に面白かったので2冊目です。
前回より、より分かり易い構成です。
2.本文から
Q:右脳を鍛えれば、ひらめくようになるって本当ですか?P46
A:ウソです。
右脳と閃きについては、論理的な因果関係はありません。脳は、
左右が協応して働くことで、初めて正しく機能します。
Q:現時点で、脳に原因がある反社会的行為が存在するって本当
ですか? P71
・脳科学・心理学の進歩は、非常に恐ろしくも考慮に値する法的、
社会的な問題を我々に提起してくる。
・自分の行動は、意識で変化させることが出来ない。意志とは錯
覚でありまやかしである。
そんな可能性が現在の心理学から指摘できる。
・ひらめきたいなら「右脳を鍛える」という曖昧模糊な活動に
お金を払うよりも一冊でも多く読書し、旅に出て、広く見分を
広めることが最善の方法になるだろう。
Q:早期教育によって、子供の頭は必ず良くなるって本当です
か?P142
A:微妙です。
早期教育には一定の効果はありますが、最終的な「頭の良さ」の
7割程度は、実はDNAによって決まるという科学的な報告が
あります。
・金銭的な余裕があればあるほど、高い学歴を生み出すことが
できるようになる
・大人では知能の70~80%程度がDNAによって規定されてし
まう
Q:英語は幼い時から学ばないと見につかないって本当ですか?
P148
A:ウソです。
外国語学習はある年齢になるまでに始めないと見につかないと
いう話(第二言語の臨界期説)は、あくまで科学的仮説です
Q:年を取ると、学ぶことが難しくなるって本当ですか?P157
A:ウソです。
そもそも20代と80代で、脳細胞の数はほとんど同一です。
・老人の脳でも新しい神経のネットワークが活発に形成されて
いることが、近年科学論文で繰り返し報告されている。
・高齢者は「加齢は記憶力を弱める」という思い込みを実験前
に形成されると、その思い込みに自分自身を合わせてしまうよ
うな心理的な働きが無意識のうちに生じる
・人間はステレオタイプを持つと、それに自分自身を合わせて
しまう傾向がある
Q:ハングリー精神を持てば成功しやすくなるって本当です
か? P188
A:本当です。
実際に空腹であることで、人間は自分自身の欲求に素直にな
ります。
・ハングリーになると自信の欲求の充足に専念し、他者の欲求
に対して鈍感になる
・人生の成功者は、ハングリー精神を持っており、そのために
他者に対する寛容さが低下している
Q:遊んでいるくらいの方が、仕事ができるって本当ですか?
P198
A:本当です。
ある種の「のんびり差」を持っている浩の方が、仕事の効率が
高いと証明されています。
・何かアイデアを出したいような仕事の局面では、「遊び」も
重要
・ぼんやりする時間を設けることで、記憶がより定着する
Q:簡単に人生の満足度を上げる方法があるって本当ですか?
P212
A:本当です
それは自己肯定感を高めることです
3.読書中考えたこと
読みながら新発見であったことと、腑に落ちたことを中心とした
引用となります。自分勝手ですよね。本書についてもバランスの
取れた内容紹介とはなっていません。
いや、このブログで書く私の感想文もどきは、すべからくそうで
しょう。
今回私へのエール歌となったのは下記です。同趣旨を随所で読み
ますが、本書でまた、一人応援団が増えた感じ。
年を取ると、学ぶことが難しくなるのは嘘。
そもそも20代と80代で、脳細胞の数はほとんど同一
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