中高年michiのサバイバル日記

世の中のこと、身の回りのこと、本のこと、還暦の中高年がざっくばらんに書きつける日記

『純粋理性批判』を噛み砕く(読書感想文もどき) 結局、自分の「好奇心」に行きつきました。

 『純粋理性批判』を噛み砕く

  中島義道/著  

出版者    講談社 2010.8

1.概要

「わからなさ」の代名詞といわれる「カントの思索」に体当たり的に

正面から向き合い、解説しています。

本書では、「難しい外見をしていても、実はとても易しいカント」と

して「純粋理性批判」の一部を正確に読み解く作業を通して考える、

作業を繰りかえしています。

かなり丁寧の読んだのですが、私にはやはり、中島さんの解説を理解

することも、難しかったのが正直な印象。

著者の中島義道さんを少し紹介 をすると         

1946年福岡県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修

了。

2009年電気通信大学教授を退官。

「哲学者」ですが、通り一遍の紹介ではなく、別の本で読んだ極度の

偏食とそれへの彼の見解も私には、面白かった。

なお、「どうせ死んでしまうのに、なぜいま死んではいけないの?」

(出版者    角川書店 2008.11)について

2021年1月7日のこのブログで紹介しています。

どうせ死んでしまうのに、なぜいま死んではいけないのか? 中島さんの力強いメッセージ - 中高年michiのサバイバル日記

 

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イマ二エル・カントのイラストです。

 2.本文から

「抽象的な概念をできるだけ具体的な概念に置き換えて読むこと」

です。この部分においては、まず「可能な経験が被らざるをえない

制限」を具体的に「時間・空間」だと見抜くことが大切です。 P56

 

「なお、篠田さんは””Antithetik"を「矛盾論」と訳していますが、

これ以上ないほどまずい訳です。「矛盾ではない」ことを論じて

いる節のタイトルを、「矛盾論」と訳すとは、どういう神経

の持ち主か測りかねます。  P100

  

完全にはわからないのですが、カントはおおよそ次のようなこと

を言いたいのではないか? P112

 

 ビッグバンの直前が無だとすると、なぜその無にビッグバンほど

の有を生む力があったのでしょうか?

いや、ビッグバンの前は時間さえてなかったのだから(まさに「空

虚な時間」)、「1秒前」と言うことすらできないと答えられるか

もしれませんが、ビッグバンがある時に「あった」のなら、やはり

「その前は無だった」というほかないのではないか?

でなければ、世界が「生ずる」ことなく、世界は永遠の昔からあっ

たはずでしょうから。

こうして、われわれは世界が時間的に有限である時に(それは時間

でないとしても、今から150億年と測定できる限りでは時間です)、

絶対的に開始するということを理解することはできない。 P146

  

カントの認識論が二百三十年にわたって風雪に耐えて生き延びてい

るのは、それ自体として論理に破綻がないからではありません。

見方によっては破綻だらけの認識論ながら、「世界」とは何か」

「時間」とは何か、「自我」とは何か、真摯に思索していれば必ず

ぶち当たるアポリア(行き詰り)を小手先で回避せず、それとまと

もに格闘しているその姿に永遠の価値があるからだと思います。 

P149

 

「世界全体はいまどれくらいのスピードで運動しているのか?」と

問うても、そもそも外側からそれを測る視点が取れないのですから、

問い自身が無意味だというわけです。これはかなりわかりやすい議

論ではないでしょうか。 P169

 

カントの文章において難解に見えるものの相当数が、それ自体の意

味は解るのだけど、むしろいままでの文脈とどう続くのかがわから

ないというものが多い。(中略)

それを理解するには、広東お独特な思考法になれることや、現代と

は異なる当時の哲学風土(議論の仕方や暗黙に全治としていること)

などを知る方法があるのですが、それを何らかの仕方で習得してしま

えば、意外なほど簡単でもあるのです。 P249 

  

数学や物理学なら一握りの専門家にしかわからないほど難しくても

全然文句を言わないのに、哲学は難しくあってはならないと信じて

いるのではないでしょうか?しかしこれは、大いなる誤解です。

(中略)

館との主張している事柄そのものが、想像を絶して難しいわけでは

ない。噛み砕けば、ほとんど誰にでもわかること、しかしそのまま

噛み砕かなければほとんどられにもわからない厄介な代物、この隔

たりの大きさが問題なのです。 P342

 

3.改めて感想

 よく解からないものの読書に相当の時価を費やしていることが、私

にはよくあります。はて、私は何をやってるのだろうか、と思うこ

ともしばしばですが、どうも、直接的に、誰それに多大な迷惑をかけ

ているとは思えず、まっ、いいか、となります。

おそらく、理由の一つは、解らないものを何とか知りたい、という

「好奇心」なのでしょうか。 

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