敗戦記「その23」も同じイラスト
昨年1月10日から 「読書感想文もどき」に至らなかった「敗戦記」
というのをアップしていますが、今回23回目です。
私の現在形として、本を読める環境というのは、変わっていません。
ありがたいことです。
イラストもあえて、同じものを使用、趣旨も同じで、硬軟とり交ぜ、
読者への何らかの参考となればと・・・
1.転生する文明
服部英二/著
出版者 藤原書店 2019.6
「文明は、時空を変えて生き続ける」には同感です。
著者は、 ユネスコ「世界遺産」の仕掛け人であり、「文明間の対話」
を発信しています。世界100か国を踏破するなかで出会った数々の文
明の移行と転生の姿を描いています。
3ケ所程引用します。
日本語は世界的に独自の言語という論が一時あったが、そんなこと
は無く、アルタイ山脈でトルコ語と結ばれているのだ。アルタイ語
族の一つツングース系が日本語の文法の基礎を作った。(中略)
日本語とトルコ語は文法構造を一にしている。トルコ人が日本人に
抱く、あの特殊な親密感は、日露戦争での勝利やケマル・アタチュ
ルクを感動させた明治維新、また和歌山・串本の住民のやさしさを
世界に示したエルトゥールル号の救出活動だけではない、もっと遠
く血の中に潜む親密感なのだ。 P33
(以下は要約)
私はいわゆる「弥生人に関しても、プロト雲南人が最有力だと考え
ている。発祥地の長江中流域を漢族に奪われた彼等は、長江の上流
と下流に分かれて逃げたはずだ。
海流で海流の右寄りに船があれば九州につく(左寄りなら今の韓国)。
日本に至った稲作は、長江中領域を起源とするにしても、それが陸路
シナ大陸を北上し、迂回して朝鮮半島の北から南下した証拠はなく、
またそのような長旅の必要性もなかった。 P172
日本という国は世界各地からもたらされた処分化を、余すところなく
取り入れ、習合していった。この国自体が「世界文明の正倉院」とい
った性格を帯びているのである。(中略)
世界が再び分断と保護主義に向かいつつある今、このブラックホール
の正倉院はメッセージを発するべき時を迎えている、と私はいいたい。
P319-320
2.経済成長の日本史
古代から近世の超長期GDP推計730-1874
高島正憲/著
出版者 名古屋大学出版会 2017.11
奈良時代から近代初頭にいたる日本列島経済の展開を一望。
最貧国水準を抜け出し、1人あたりGDPが着実な上昇に転じていく
過程を、災害・飢饉・環境・都市化なども視野に解明する、と言
った概要です。
色々なデータをより客観的に分析し、推論重ねた真面目な論文集
かと思いますが、源氏のワタsに散って「面白かった」か否かとい
うと、あまりいい返事は、できません。
3.賢慮の世界史 国民の知力が国を守る
佐藤優/著 岡部伸/著
出版者 PHP研究所 2021.3
概要は、
大国間交渉と分析のプロが語り合うインテリジェンス対話です。
佐藤さんは、ご案内のように、元外務省で現在作家。
岡部さんは産経新聞の出身のようです。いずれもモスクワ駐在
経験あり、です。
歴史的観点から困難な時代を生きる実践知を伝授する、との一般
的解説はその通りで、実務経験の無い「学者」とは一味違うところ。
第4章 アメリカの混乱と日本外交 佐藤さんコメントに以下が
あります。
本質を認識をしていない点です。
思想に流された結果、外交上のリアリズムを
欠くようなことがあれば、アメリカおよび同盟国の将来も危うい
と、言わざるを得ない。 P145
私見とは、違うところがあるのですが、それを含めて、素直に見解
を聞くことも重要です。
4.肉とすっぽん 日本ソウルミート紀行
平松洋子/著
出版者 文藝春秋 2020.7
うまい肉が生まれる現場にはソウルがある! 害獣を地域の恵みに変え
た島根県美郷町モデル、馬肉文化を守り抜いた熊本の挑戦等を紹介。
それぞれの土地で培われた「知恵と技」を紹介。“食の未来図”をまる
ごと味わうノンフィクション。
個人的に、よく知る肉は出身地でもある熊本の馬肉でした。
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