中高年michiのサバイバル日記

世の中のこと、身の回りのこと、本のこと、還暦の中高年がざっくばらんに書きつける日記

学ぶということ(読書感想文もどき) 内田樹、岩井克人各氏にコメント

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学ぶということ

今回の読書感想文もどきは

「学ぶということ」

副題が、「続・中学生からの大学講義 1」とあります。

著者とタイトルを書きますと

内田樹(ウチダ,タツル)   生きる力を高める

岩井克人(イワイ,カツヒト)  おカネとコトバと人間社会 

斎藤環(サイトウ,タマキ)   つながることと認められること 

湯浅誠(ユアサ,マコト)    人の力を引き出す

美馬達哉(ミマ,タツヤ)   リスクで物事を考える 

鹿島茂(カシマ,シゲル)   考える方法

池上彰(イケガミ,アキラ)   学び続ける原動力

発行所は筑摩書房です。

 

内田樹岩井克人ら、知の最前線で活躍する著者らが、「学ぶとい

うこと」をテーマに、若者たちに良質なアドバイスを贈る内容で

あり、それぞれの章の文末に筆者の、読書案内付き、となって

います。

私はとても「若者」とは言えませんが、「生きていて」最前線で

活躍する人の文章の、一つの整理となりました。

  今回は内田樹さんと、岩井克人さんの部分に少しコメントを
入れます。

1.内田さんは、1950年生まれで、思想家、武道家神戸女学院

大学名誉教授です。

内田さんのタイトルは「生きる力を高める」ですが

冒頭の「いつの時代だって事情は同じ。先の見通しなんかさっぱり

立たない。」という見解に私も同調です。

 例えば我々が歴史書を読むとき、往々にしてその後の歴史を学

んで知っており、その知識を基に読んでいる場合が多いですが、

問題の、渦中にある人は常に現在進行形です。

(無論過去の歴史から学んで自分なりに考え、判断している場合

も多いでしょうが)自分で判断するしかないわけです。

 内田さんの話は、集団的自衛権憲法解釈、大学の株式会社化、

グルーバル人材と詳細に流れていきます。

結論として、生きる力を高めるとは、

P50から引用すると

 生きる力は、出会うべきヒトに、本当に必要な出会うべき時

出会う。

聞くべき時に聞くべき言葉を聞き、知るべき時にそれを知って

いる人に出会う。

そういう力となります。

どうやって、出会うかは、自分自身で、模索するしかないわけで

とにかく広い見分をもって、ヒトに会い話を聞く、ということが

必要なのでしょう。

 

2.岩井さんは、経済学者です。

1947年生まれで、東京大学経済学部卒業後、イエール、プリン

ストン、ペンシルバニア、東大等で教え、東大退官後は、

国際基督教大学客員誉教授です。 

 話の流れは

 経済学は「おカネとは何か」を考える学問であり、お金を儲け

るための学問ではない。(P57)

  我々が生きている世界には生命物質とは違った種類の何らかの

実態があり(名づけに困るのですが)これを「社会的実体」

と呼ぶ。

おカネが言葉が、まさにこの社会的実体である(P60)

 おカネも言葉も、価値に物理的根拠はなく、

「皆がおカネだと思って使うから皆がおカネとして使う」

という「自己循環論」が、おカネに価値を与えている(P68)

(みんながそう思っているというプロセスで価値を帯び、意味

を持つ、ということですね。)

 おカネとコトバを使う社会は、非常に不安点で、社会がグロー

バル化すればするほど不安定さが増す。(P73)

 おカネをなくすと、社会は安定するかもしれないが、社会主義

の経験から明らかなように、人間の自由が奪われてしまう。(P75)

 人文社会科学とは、不思議なことを扱う面白い学問である(P76)

と結んでいます。

 

以下は私見です。

 外国為替相場の情報が、一般のTVやネットにリアルタイムに

近い状況で流れる現在は、ほんの20年前と比較しても、隔世の

感がありますが

おカネは、まさに幻想の世界だと感じますね。

北朝鮮ミャンマーの通貨はおろか、中国の人民元にしても

「自己循環論」の中の認識であり、皆が「もうおカネではない」

と感じたらその通貨はもう崩壊ですね。

これは、日本円にも米ドルにも言えることですが・・・・。