今回取りあげるのは、
「世界のエリートが学んでいる哲学・宗教
の授業」
佐藤優 著
発行書 PHP研究所
前回に続き、佐藤優さん著書は2冊目です。
今回は、 筑波大学の連続講義「哲学的訓練」を紙上で再現した
ものです。
読みやすかったのは事実です。
哲学と宗教が、人間が生きていく上で不可欠な基本原理であることは、私も良く解っていますし、
歴史書を読んでいても、記載してある歴史の当時の現場の、哲学と
宗教の基本感が解らないと、全体の理解にいまいち欠けている部分
があるように感じます。
一方、名前は知っている概念ですが、私自身がよく理解できないこと
が多々あります。
というのは、自分の言葉でうまく表現できないのです。
その概念や事象を、私自分が理解できる言葉で、佐藤さんが要約して
いる文言を見ると、そうだろうな、
本来は「著者の佐藤さんの見解を論破できるくらいにならないと」、
とは思うのですが
勉強も進まず、「日暮れて途遠し」、なかなかうまくいかないもの
です。
いつものように章立てを示すと
第1講 なぜ哲学を学ぶのか
第2講 真理へのアプローチ
第3講 建設的な議論のために
第4講 人間の認識のしかた
第5講 時代の後退ーーー20世紀は18世紀
第6講 「怖れ」と「笑い」について
第7講 閉塞感がもたらすもの
第8講 この世界はどうやってできたのか
第9講 ナショナリズムについて
第10講 神話に囚われる人たち
第11講 信頼の研究
第12講 キリスト教を知らない日本人
第13講 バチカンの世界戦略
第14講 救済のシステム
第16講 「アラブの春」とIS
第17講 物事の本質をつかむ「類比」の思考
それぞれ対話形式でコンパクトかつ解りやすいコメントだし、講義
末尾に「Point」として要約したあり、記憶の定着の一助となります。
さて、私がなるほどと、思った部分を少しピックアップします。
4講
「共同主観性(間主観性)とは、自分と他人との間に共通の認識が
あるから、物事や世界が成り立っているという考え方
廣松渉は他者との関係がモノのように見えてしまう現象を「物象化」
と呼んだ。
この「物象化」により常識が生まれ、社会システムが作り出される。
6講
罰への恐れが、人の行動を固定化させる。
人間は、
7講
ナチズムは優秀なアーリア人を増やしていくという単純な考え方
それに対し、ファシズムは皆で支えあい、仲間を束ねていくとい
う発想
8講
「存在論」がある欧米の人たちは、日本人に比べ世界の成り立ちに
関心が高い。
仏教観では、自然界は(ひとつでなく)多数存在する