本年1月10日から 「読書感想文もどき」に至らなかった「敗戦記」と
いうのをアップしていますが、今回5回目です。
イラストもあえて、同じものを使用、趣旨も同じで、硬軟とり交ぜ、
当ブログ読者への何らかの参考となればと・・・
吉本隆明/著
出版者 河出書房新社 1986.4
今回も、いまいち、しっくりきません。「敗戦記」ですね。
通説的な解説は、
共同幻想論とは、幻想としての国家の成立を描いた国家論である。
著作当時の国家は、社会契約説やレーニン的な国家論が一般的
つまり、国家とはルール体系であり、機能性を重視したシステム
と理解した。
これに対し、吉本は、国家とは共同の幻想であると説く。
人間は、詩や文学を創るように、国家と言うフィクションを空想
し、創造したとする。
私見は、「古事記・遠野物語から、共同幻想という国家観を導きたい
ようだが、古事記・遠野物語が貨幣経済の存在感の薄い場所・時代を
舞台にしているから経済的な範疇を捨象しているように見えるだけ」
と思える。
白い城
オルハン・パムク/著
宮下遼/訳 宮下志朗/訳
出版者 藤原書店 2009.12
17世紀、オスマン帝国の海賊に囚われ、イスタンブルで奴隷となっ
たヴェネツィア人の「わたし」。
医学的知識によって辛うじて生き延びた彼は、奇妙に自分と酷似した
用紙のトルコ人学者に買い取られるところから、話がはじまります。
哲学的な小説であり、「なぜ自分は自分なのか」という問い、自分私
という人間の存在すら不確かになるような、話しでした。
なお、作中のペスト蔓延のシーンは、「コロナ禍」の欧州よりはるか
に激しいシーンが、なぜかリアルに浮かびました
なお、著者は、1952年イスタンブル生まれ、
2006年度ノーベル文学賞受賞、です。
世界を変えた預言者の生涯
原タイトル:Muhammad
カレン・アームストロング/著
徳永里砂/訳
出版者 国書刊行会 2016.1
内容事項
宗教学者カレン・アームストロングが描く、預言者ムハンマドの生
涯です。
「ムハンマドが天の啓示を受け、イスラム教を広げました」と要約す
ると、それだけでしょうが、何事も「ことをなす」には、膨大な時間
と、苦悩の連続、幾多の幸運が重なり合って、と陳腐ながらいつも感
じることを、今回も深く感じました。
ムハンマドの生涯に寄り添いながら、ジハード、一夫多妻、女性のス
カーフ着用といった概念も説明しています。
イスラームに関する基本的知識も理解できることになります。
社会の現実と経済学
21世紀に向けて考える
出版者 岩波書店 1994.12
もう四半世紀前ですがシンポジウムの記録です。
「ソクラテス似」の宇沢弘文さんに惹かれて思わず手に取ったもの。
経済学は社会の現実が提起する深刻な諸課題に応えることができる
のか、と言う大問題を議論。
まず、宇沢さんと宮本さんが基調報告。
不況からの脱出、経済成長、都市化と工業化、ありうべき社会等々
沢山の論点あり。
内橋さんと佐和さんは、別の書き物で少し知っていました。
岩井克人/著
出版者 筑摩書房 1992.6
不均衡動学の大家岩井克人さんが一般向けに書いたエッセイ集。
感想として「どれもきわめて秀逸。目から鱗が落ちる。」と書きたい
ところだが、今回も、理解不十分、まさに「敗戦記」と言ったとこ
ろ。
表題の「ヴェニスの商人の資本論」タイトルは、「著者の妻である
水村美苗からアイディアを示された執筆に至った」とは了解なるも
「ヴェニスの商人」も「資本」のことも、悲しいかな充分理解でき
ていません。
エッセイは、「ヴェニスの商人」が構成されてる『資本主義』のほか、
『貨幣と媒介』、『不均衡動学』、『書物』に分かれ、それぞれ3から
5本の小論文ですが、どれも私には理解するのの骨が折れました。
古代ギリシア人の生活文化
J.P.マハフィー/著
遠藤光/訳 遠藤輝代/訳
出版者 八潮出版社 1991.12
古代史の権威マハフィー教授が簡潔にして興味深く、しかも要を得た
内容で古代ギリシア人の生活全般を紹介した名著。
初版は1876年だそうです。
目次は以下の通り 基礎的な理解が進みます。
第1章 ギリシア国民の一般的特色
第2章 人間と財産
第3章 家庭でのギリシア人
第4章 ギリシア市民の公共生活
第5章 ギリシア宗教と法律
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