昨年1月10日から 「読書感想文もどき」に至らなかった「敗戦記」
というのをアップしていますが、今回16回目です。
私の現在形として、本を読める環境というのは、変わっていません。
ありがたいことです。
イラストもあえて、同じものを使用、趣旨も同じで、硬軟とり交ぜ、
読者への何らかの参考となればと・・・
1.学問芸術論
シリーズ名 岩波文庫 33-623-5
ルソー/著
前川貞次郎/訳
出版者 岩波書店 1990.5
一七五○年,無名のルソー(一七一二―七八)を一躍有名にした
デビュー作.学問芸術の発達と徳の衰退の関係,学問芸術の起原
と結果を論じたこの論文には,学問より徳の重視,奢侈と不平等
への嫌悪,原始状態の賛美等ルソーの諸思想の特色が萌芽的な形
であらわれており,ルソー全著作の出発点を示す重要な論文と
いえよう.
ルソーはいう、「学問、文学、芸術は、政府や法律ほど専制的
ではありませんが、恐らくいっそう強力に、人間を縛っている
鉄鎖を花輪で飾り、人生の目的と思われる人間の生まれながら
の自由の感情を押し殺し、人間に隷従状態を好ませるようにし、
いわゆる文化人を作り上げました」(前川貞次郎訳、以下同じ)
2. 私とあなたのあいだ
いま、この国で生きるということ
温又柔/著 木村友祐/著
出版者 明石書店 2020.10
自分はここにいる、と誰もが言い始めることができるはず。
みな本来、対等な存在なのだから。私たちが声をもつとき、
歴史のなにかが変わるだろう-。ふたりの芥川賞候補作家が
交わす、圧巻の往復書簡、というのが一般的解説。
台湾に惹かれる形で広がり、温又柔さんは少し読んでいます。
第6章「国家と家族のあいだ、国家からの関与」の部分で著者
の木村氏と私の見解の大きな相違を感じましたが、「自分と違
った意見」をちゃんと聞く姿勢こそ大切と、感じ入った次第です。
3.言葉である。人間である。 読書術極意
藤沢周/著
出版者 言視舎 2020.10
小説、生々しい社会論、古典作品等々、2013年から2019年まで、時代
と社会の様々な動きの中で社会の深層に測鉛を下ろし、書物を厳選・
紹介していまう。。
選書/書評の達人・藤沢周の「特注の本棚」です。
本との出会いも、生身の人間との出会いも同じ。
著者の藤原周さんのモノの考え方・表現の仕方は、私には「しっく
り」くるものでした。(もちろん個別論点は違いは多々あります)
2015年の部分からひとつ抜粋します。
「だから、あんたは駄目なんだ」と言われて半世紀以上。へそ曲がり
にも言い分はあって、要は同調圧力的なものに、「うん?」となる。
それは本当に面白いのか?それは本当に「いいね!」なのか?と。
ましてネット社会は、死の商人ならぬ「痴」の商人が跋扈し、いつの
まにかこちらの消費行動まで誘導されて、しまいには思索や感性まで
抜き取られてしまう。「検索」も便利には違いないが、そこで安心し
いてしまう自分になったら、終わりだろう。 P86
4.破局のプリズム 再生のヴィジョンのために
西谷修/著
出版者 ぷねうま舎 2014.9
新しい貧困、格差の拡大、金融経済、「帝国」の退潮等を取り上げ、
日々の出来事から世界戦争の予兆まで、思考の現在からグローバルな
欲望の動向まで、ミクロとマクロの2つの次元を貫く視野をもって、
「破局」の実相に迫っています。
時事物は、あとで読むと結果がばれて興ざめもありますが、それは仕
方ないこと。その時点で、しっかり考えたんことでも、未来は読めな
いから。
若干私と考え方は違いますが、傾聴に値する見解と認めます。
一つ引用
5. 狂雲集
シリーズ名 中公クラシックス J1
一休宗純/著 柳田聖山/訳
出版者 中央公論新社 2001.4
戦乱のなかで文化爛熟する室町の世を、風狂の禅僧は痛烈に戯謔す
る。戦後50年、これまでの勧善懲悪・破戒僧一休という解釈はあま
りにも戦後的である。今回の試みは一つの軌道修正である、というの
が、一般的解説ですが、同感です。
(変な感想ですが)原文から、訳文が全く推定できない。
古文読解力のなさを、特に痛感した本でした。
いろんな意味で。古典は難しい。
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