中高年michiのサバイバル日記

世の中のこと、身の回りのこと、本のこと、還暦の中高年がざっくばらんに書きつける日記

読書感想文もどきに至らなかった「敗戦記その20」 今回は、アイン・ランド中心

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敗戦記「その20」も同じイラスト

昨年1月10日から 「読書感想文もどき」に至らなかった「敗戦記」

というのをアップしていますが、今回20回目です。

私の現在形として、本を読める環境というのは、変わっていません。

ありがたいことです。

イラストもあえて、同じものを使用、趣旨も同じで、硬軟とり交ぜ、 

読者への何らかの参考となればと・・・

  

1. 利休の死

戦国時代小説集

  井上靖/著  

出版者    中央公論新社 2021.1

天正10年(1582)、武田が滅び、信長は本能寺で倒れ、それに代わっ

た光秀が討たれ、天下は秀吉の手中へと動き出す。

桶狭間の戦いから天目山の戦い、利休の死まで、戦国乱世の30年を

11篇の短篇で描いた小説集です。

内容タイトル      

桶狭間  篝火   平蜘蛛の釜  信康自刃 天正十年元旦

天目山の雲  信松尼記  森蘭丸  幽鬼  佐治与九郎覚書

利休の死

 引用を一つ。

利休は「死」という一語だけを、冷たい響きで、はっきりと聞い

たのであった。何十年の長い間、秀吉と利休との間に置かれ続けた

緊張は、この時、張り切った糸がいつかは当然切れねばならぬよう

に、ぷつんと切れたのである。

いつか戸外にには風が出ているのか、縁先の竹の葉ずれの

音が、利休に心には、しみ入るように寧ろある爽やかさで

聞こえていた。 P283

michiコメント:

日本人である私には、死を命ぜられて、紆余曲折は経ても「爽やか」

という感情にたどり着くことが解りますが、アイヴァン・モリスの

「高貴なる敗北」にあるように、育った精神文化が違うと、相当理解

に苦しむと思われます。

 

2.肩をすくめるアトラス

原タイトル:Atlas shrugged

アイン・ランド/著  

脇坂あゆみ/訳

出版者    ビジネス社 2004.10

自由と規範という現代世界が抱える先鋭的ジレンマに熱い斧を打

ち込み、アメリカ人に多大な影響を与えた小説です。

リバタリアニズムの古典として、紹介されて手にとって見ました。

とにかく分厚い。

資本主義経済が社会主義政策の導入によって衰退していく様子を、

全産業に関わる鉄道を中心に据えて具体的に描いています。

 1088 からの60ページにわたるジョン・ゴールの演説です。

正直、読破に骨が折れます。

長い演説で思い浮かぶのは、タキトゥス「戦史」のペリクレス

シェイクスピアジュリアス・シーザー」のアント二ウス、ドスト

エフスキー「カラマーゾフンの「カラマーゾフの兄弟」のイワン。 

どれも内容は定かではありませんが、影響力に圧倒されたことを、

覚えています。

  翻訳者の脇坂あゆみさんの、コメントを紹介します。 

筆者もアイン・ランドの『肩をすくめるアトラス』を

読むまでは、登場人物の一人エディー・ウィラーズの

ように、なにか高尚なすごいものが日常の生活や労

働とは別にあると漠然とおもっていた。

だが切ない結末を迎えてはじめて彼が悟るように、

1200ページを読み終えるころには、「仕事をして暮

らしていくこと」の中にこそ、人間の中で最上のもの、

守るべきものがあると気づかされた。

第3部から、一部引用します。

 

 今裁かれているのは人間ではなく、責められるべきは人間の本性

ではない。いま終焉をむかえたのは諸君の道徳律だ。  P1090

 

人間である諸君にとって、『生きるべきか死ぬべきか』という問

いは、『考えるべきか考えざるべきか』という問いと同義なのだ。

 P1091

 

己の人生とその愛によってーー私は誓う――私は決して他人のため

に生きることはなく、他人に私のために生きることを求めない。

P1153

  (私が読んでいるのは古い版で、楽天では3巻分冊の紹介です。)

  

 3.水源

原タイトル:The fountainhead

アイン・ランド/著  

藤森かよこ/訳  

出版者    ビジネス社 2004.7

一般的な書評は、以下の通り

建築家のサクセス・ストーリーでもあり恋人達の物語でもあり、

ホモソーシャルな男同士の絆と愛憎を描く一種のゲイ・ストーリ

ーでもある。

帝国ホテルも手掛けたフランク・ロイド・ライトがモデルだそう

です。しかし何よりもこの小説は政治思想小説である。

上記の肩をすくめるアトラス同様、米国の大ロングセラー小説です。

 

自我とは、悪の同義語であると、人々は教えられてきました。

無私こそ、自分がないことこそ、これこそが美徳の理想だと教え

られてきました。しかし、創造者は絶対的な意味において、自己

中心主義者です。無私の人間、自分がない人間というのは、自ら

考えず、感じず、行動しない人間です。考え、感じ、行動する事

こそが、自分、自己の機能なのですから。 P1011

 

人間は自己犠牲を選ぶか、支配を選ぶか、どちらかだ、という

ものではないのです。人間は、自立を選ぶか、依存を選ぶか、

なのです。

つまり、創造者の規則を選ぶか、セコハン人間の規則を選ぶか、

の問題なのです。これが、基本的問題です。  P1012

 

 (なお、「水源」が楽天に出てこなかったので割愛します)

 

4.トランプの最後通牒 墓穴を掘った習近平

藤井厳喜/著  坂東忠信/著  

出版者    ワック 2020.9

「超限戦」を仕掛ける習近平中国を警戒せよ!

藤井厳喜坂東忠信武漢ウイルスや、中共の超限戦の乗り越え

方、ポストコロナ時代の日本、中国を本気で潰しにかかるアメリ

について語り合います。

 

この手の本は、解り易いのが一番です。

藤井厳喜さんは、youtubeでよく見ますが、立場が明確であり話も

わかりやすい。2020年9月の出版ですが、当時トランプが、民主党

のバイデンに負けるとは、まさか思っていなかったでしょう。

いや、不正選挙であり、現在でも負けていないとの見解でしょう。

 

本文から

(新型コロナについて、武漢市は)

統計上、無症状なら感染していても、確定感染例に入れないように

しているという。P113

無症状でも、日本流のPCR基準で陽性性と出たら、すべて「感

染者」とカウントし、メディアが報道する日本、これでは国際比

はできませんね。