中高年michiのサバイバル日記

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哲学の解剖図巻(読書感想文もどき) 編年体でなく思索展開で整理

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哲学の解剖図鑑

哲学の解剖図鑑
「知」の歴史がマルわかり

小須田健/著  

エクスナレッジ 2019.10

 1.私が哲学に対して思うこと 

読書の中で、哲学は好きな分野の一つです。

以前からそうです

もはや、「なんだか賢そうとか、ものを考えていそうとか」、

外に対して見得を張りたい、お年頃ごろでもありません。

ではなぜだろうと、それこそ自分勝手に考えるになにか、

自分が今まで読んできて哲学の理論体系を解っていそうな気が

していて、

また、賢い先人の考え方を学ぶと何かいいことがありそうな気

がする、

と思っていることでしょうか。

  「解る」についてですが

理論物理学近代経済学だと、数式の意味が理解が出来なければ

解っていないことが明白になりますが、

哲学の場合、日常用語レベルの日本語も多用しますので、厳密で

あるべき言葉の定義をいい加減にして、解ったふりができます。

もちろん、誰か外部の人に理解度をチェックしてもらうことは、

過去も現在もありません。

要は「解ったふり」、自分の脳を騙しているんですね。

この「解っていそうな、気がする」が大変曲者で

別の本を読んでいて「何も解っていないんじゃないか、と気づい

て愕然」とすること多々です

 あくまで私の個人的見解ですが、政治や経済(特に金融)

 歴史にくらべて、「解っていそうで解っていない」ことが多い

のが哲学です。

そのため、意識的に全体を俯瞰した入門書、概要書は、割とよく

読むのですが、それでも私に理解できるかの程度はさまざまです。

諦観は大切です。

解らないことは解らないし、それは死ぬまで続くのでしょうが、

仕方ないことです。

本書「哲学解剖図鑑」は、私には、理解できてよかったものです。

  2.「哲学の解剖図鑑」の概要

一般的な哲学入門書は、古代から時間を追って、現在に至るまでの様々な哲学者の考えをコンパクトにまとめた「編年体スタイル」が

大半です。

一方本書は、

身近に思われる出来事含め、これまでの哲学で、どのような思索

が繰り広げられたかを、概略的に紹介しています。

例えば、「自由」について、ジョン・ロック、ジャンポール・サル

トル、エーリッヒ・フロムも3人のそれぞれのとらえ方をしてきた

かを紹介します。

目次と、それぞれの検討課題を挙げていて、全体像となると思い

ます。

 冒頭、「5分で学ぶ哲学史」として、4時代に分けて説明し、

哲学の時系列的把握をサポートしています。

 1.世界のしくみを知るために生まれた古代哲学

 2.哲学と神学の融合をめざした中世哲学

 3.これまでの常識をくつがえした近代哲学

 4.社会状況に寄り添う現代哲学

  全体の構成は

1章 身近なギモンを考える

  題材は、「時間」「学校」「性」「自由」「身体」

2章 言葉を考える

  題材は、「自分」「理解」「色」「言葉」

3章 人生を考える

  題材は、「人生」「幸福」「仕事」「快」「死」

4章 正義を考える

  題材は、「正義」「自己犠牲」「殺人」「戦争」「法」

5章 社会と世界を考える

  題材は、「お金」「世界」「進歩」「歴史」「ヨーロッパ論」

6章 「本当のこと」を考える

  題材は、「ドクサ」「心理」「確実性」「科学論」「知覚」

 7章 神と芸術を考える

  題材は、「神」「芸術」「思考」「哲学」

 3.個人的な好みでピックアップ

上記の論点から、個人的な趣味でいくつかピックアップし、

まとめてみます。

➀「時間」

アウグスティヌス:ひととのかかわりのなかで、過去・未来が生

まれる

フッサール:記憶と予測によって時間意識がつくられる

ベルグソン:空間化された時間は時間でなく、時間の本質は持続で

ある

 

②「理解」

デカルト:方法論的懐疑論は人間同士の相互理解へ至る道

ウィトゲンシュタイン:正しい言葉だけを用いれば、コミュニケ

ーションの問題はなくなる

ガダマー:コミュニケーションはつねに途中から始まり、どこまで

も途上にとどまる。完璧は相互理解はない。

 

③「死」

ブッダ:死の苦痛から逃れるには執着を捨てて解脱せよ

ソクラテス:死は夢ひとつ見ない熟睡した夜のようなもの

ハイデガー:一回きりの死と主体的に向きあって生きる

 

④「戦争」

カント:戦争は根絶できない、折りあうことが大切

クラウゼヴィッツ:戦争は他の手段をもってする政治の継続

カール・シュミット:人間の根本は悪人、敵に対抗するため戦争

は必要

  

⑤「歴史」

ヘーゲル:歴史は自由の意識が発展する過程

マルクス:あらゆる人間のいとなみは物資的な土台に支えられて

いる。ヘーゲルはモノを無視している点で「逆立ちしている」

カッシーラー:歴史に客観的真理はない、シンボルの記述だ

 

今日は私見を冒頭に書いたので、まとめは無し、これで終わり

ます。