昨年1月10日から 「読書感想文もどき」に至らなかった「敗戦記」
というのをアップしていますが、今回17回目です。
私の現在形として、本を読める環境というのは、変わっていません。
ありがたいことです。
イラストもあえて、同じものを使用、趣旨も同じで、硬軟とり交ぜ、
読者への何らかの参考となればと・・・
1.日本批評大全
渡部直己/編著
出版者 河出書房新社 2017.1
「日本小説技術史」の著者である批評家・渡部直己が、江戸後期から
蓮實重彦、柄谷行人まで、近現代の批評70編を精選し解題したもの。
日本批評の全貌を俯瞰・総括する、個人編集による批評集成です
渡部直己の批評もさることながら、原文を読むのに難儀で、どれも
手ごわい印象です。
小林秀雄の「様々なる意匠」
批評とは竟に己の夢を懐疑的に語ることではないのか!(P274)
は、じっくり読んだのは、実は今回が初めて、です。
しかしながら、3度ほど読みましたが、理解が及ばず、また跳ね返え
されてしまいました。
私の一生のうちに、どこまで理解が進むのかな?
2. 図鑑哲学 人生を変える100の話
トム・ジャクソン/著
高橋昌一郎/監訳 屋代菜海/訳
出版者 ニュートンプレス 2020.11
「我思う、ゆえに我あり」「人は女に生まれない、女になるのだ」。
人生観が変わる哲学のさまざまな考え方を、カラー図版とともに
わかりやすく紹介しています。
重要なキーワードはコラムで詳説し、偉大な哲学者たちの人生も紹介
しています。
100話というのは、区切りがいいもの。
古代から近代はともかく、現在哲学は、著者・者により取り上げ方や
整理の仕方に個性が出やすいところ。
自分のレベルで解るものを、複数読むべきでしょう。
3.世界を見る (ちくま哲学の森 2)
出版者 筑摩書房 2011.10
項目の一部をあげると
地球儀 / リンゲルナッツ著 ; 板倉鞆音訳
歴史の効用と楽しみ / E.H.ノーマン著; 大窪愿二訳
最も必要なものだけの国家 / 田中美知太郎著
『パンセ』の一句を主題とする変奏曲/ヴァレリー著; 安井源治訳
哲学革命 / ハイネ著 ; 伊東勉訳
哲学の正しい方法 / ヴィトゲンシュタイン著 ; 坂井秀寿訳
内容は、 哲学者の論文、批評家のエッセイ、文学者の随想、生活者
の意見等々、あらゆるジャンルから、秀れた日本語によるわかりや
すく示唆に富んだ文章だけを集めたアンソロジー・文庫版です。
内容がよく解らない分からないけれど、理解は不十分で終わるだろう
けど、そこそも短いアンソロジーだし、年末年始、いくつか読めるだ
ろう、といった私にありがちなノリでした。
読み進めると、想定通り、 どらも難解、ハードな時間管理となりま
した。
そのなかで、井上ひさしのあとがき「支配人物語」は、相対的に読み
易く、ユーモアがありながら下品さ無しで、しっくりくる短文でした。
引用は、
哲学の正しい方法(ヴィトゲンシュタイン)から、とします。
「わたくしを理解する読者は 、わたくしの書物を通り抜け、その上に
立ち、それを見おろす高みにたっさいたとき、ついにその無意味なこ
とを悟るにいたる。まさにかかる方便によって、わたくしの書物か解
明をおこなおうとする。
読者はこの書物を乗り越えなければならない。そのとき彼は、世界を
正しく見るのだ。
語りえぬものについては、沈黙しなければならない。 (P388)
4.考えるヒント
小林秀雄/著
出版者 文藝春秋 2013.5
戦後の混乱する思想界に衝撃を与えた「私の人生観」、柳田国男が目
指した学問世界の意義を正確に読み解き、現代知識人の盲点を鋭く
ついた「信ずることと知ること」など、知の巨人・小林秀雄の歴史的
名講演を収録。
高校生の時は「読まされていた」小林秀雄ですが、今になると、シャ
バでの長い経験もあり、「解る部分」も出てきました。
難しいのは相変わらずですが、講演録であるだけに、取っつきやすい
部分はあります。
一部引用します。
僕の言うような考え方は、矛盾しているのではないかとい
うかも知れないが、世の中を矛盾なく渡ろうとするという
考え方の方がよほどお目出度い考えではありませんか。
そしてお目出度い事だと、本当に腹に這入れば、矛盾も
決して矛盾でないのであります。
(考えるヒント3 P326 「自分と文学」から)
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