中高年michiのサバイバル日記

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「思想家たちの100の名言」(読書感想文もどき) 時代を超えて生き残ったから名言

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思想家たちの100の名言

思想家たちの100の名言
ロランス・ドヴィレール/著

久保田剛史/訳  

白水社 2019.4

 1.概要

本書は、古代ギリシアから21世紀初頭まで約2500年にわたる代表的

な思想家たちの名言をとりあげ、独自の切り口で解説したものです。

見開きで各1ページ相当でしょうか。

100の名言は、哲学者のみならず、神学者や社会思想家などによる

もので、「彼らはそれぞれ文体をもっており<みな美文家なのだ>

」と著者は述べています。

 本書に沿って大まかな時代の流れを掴んでも、そのときの気分

に合ったものを選んで読んでもよいような構成になっています。

訳者あとがきからを援用して特徴を列挙すると

 ・バランス感覚あり 

  軽視されがちな、キリスト教と西洋哲学の設定を明示、

  現在思想において、アメリカやドイツの思想家も取り上げ

  ている

・多角的な視点あり

  神の存在、外界の認識、真理の概念、心身の関係などの抽象的な

  問題に限らず、 欲望、労働、文明社会、自由、幸福といった

  人間生活を取り巻くさまざまな問題に、独自の見解を示してきた

 ・著者の含蓄ある解説やウイットに富んだ語り口

  思想家たちの教えや言葉を一層味わい深いものにしている

 といったところでしょうか。

 いつものように、私が気に入って部分をピックアップし、

著者の解説を書きます。

  2.ピックアップ

 ・「汝自身を知れ」 ソクラテス

 おのれの限界を受け入れよという意味ではなく
 自己の内面にある神的なものを認識せよ、と働きかけるもの 
 (P21)
 
・「陽があたらないからどいてくれ」 ディオゲネス
 この横柄で「シニカルな」言葉は、願い事をかなえてやろうと
 いうアレクサンドロス大王の申し出に「日光浴をしていた」
 ディオゲネスが答えた返事   (P26)
 
・「人間は生まれつき社会的動物である」 アリストテレス 
(P30)
 
・「はじめに言があった」 ヨハネ  (P46)
 
・「人間は酔っ払いのように、どの道を通ったら家に帰れるか
  を知らない」 ポエティウス
  この言葉の出展は、中世の時代に最も読まれ、
  最も注釈を付された作品の一つである。
 「すべての人間は幸福に憧れている。しかし、神の知恵や真の
 哲学が明らかにされないかぎり、ほとんどの人間は、
 幸福とは何かを知らない。
 われわれは現世において、まるで異郷生活を送っているか
 のように、安楽を見出すことができずに、失望している。」
 (P58)
 
・「真理とは、ものと知性との合致である」 トマス・アクィナス
  真理は思考と現実の一致、すなわちわれわれの表象と実際の
  存在物との符合から生じる。 (P64)
 
・「愛されるよりも恐れられる方が、はるかに安全である」 
 この作品が目指していたのは、政治特有の合理性について分析
 し、君主に求められる資質を明らかにすること。
  国家の諸原理を定めるべきものは、道徳性でも宗教でもない。
 (国家の)主たる目的は、正義ではなく権力の獲得とその維持
 にあるからだ。 (P71)
 
・「私は何を知っているのか(ク・セ-ジュ?)」 モンテーニュ
  徹底した懐疑主義は、疑いさえも疑うことを求める。
 それは知を捨て去ることではなく、絶えず変化して矛盾をはらむ
 現実を固定しようとはせず、自らの知の能力を見定めることで
 ある。
  文庫クセジュの名前の由来でもある、モンテーニュ
  「私は何を知っているのか(ク・セ・ジュ)です。)
 
・「私は考える、ゆえに私は存在する(コギト・エルゴ・スム)」 
  たんなる「私」を知全体の出発点において人物は、デカルト
  以前には誰もいなかった (P75)
 
・「人間は、<考える葦>である。」 パスカル
 考えるということが、自己の弱さを思い知ることであり、まさに
 そのことによって、自己の偉大さをあらわすことにもなる、
 いう意味  (P86)
 
・「あるものが善であるのは、そもそも私がそれを欲するから
  である。」 スピノザ
   道徳や政治や宗教の価値観を作り上げているのは欲望である。
  有徳な者とは、自己の本性に従って行動し、自己の本性を最大限
  に活用する人物である。  (P94)
 
・「この世界は<あらゆる可能な世界のうちで最善なる世界>
  である。」  ライプニッツ
  理性は多様なものを一様化するという理由でしばしば批判される
 がライプニッツはこうした批判に対して、理性はむしろ多様性
 を望むことを示している  (P101)
 
・「人間は生まれながらにして自由であるが、いたるところで
  鉄鎖につながれている。」  ルソー
   唯一の解決策は、服従と自由が一致すること、すなわち法と
  主権者への服従が、各人にとっての独立の保障となるように
  すること、これこそが社会契約論の目的。 (P108)
 
 ・「人間は形而上学的な動物である。」 ショーペンハウアー
  ショーペンハウアーの哲学が説く基本的真理によれば、人間は
 自分の意志ではなく、種の意志に従属しており、種の意志は種
 全体の保存と繁栄に向かうべく人間において本能的に働く。
 従って意志は自由なものではない。   (P121)
 
 ・「人生は苦悩と退屈のあいだを、振り子のように左右に揺れ
  動く」  ショーペンハウアー
   われわれは、自分を不幸にする原因さえなくなれば幸福が味
  わえるだろうと思う。
  ところが、苦悩がなくなったときにあらわれるのは、満足で
  なく退屈であり、幸福の条件は、苦悩ともに消える。
  (P122)
 
・「宗教は民衆のアヘンである。」 マルクス
  宗教は癒しの力を利用し、来るべき幸福という空約束をすること
 で、人びとの意識を眠らせ、真の幸福は現世において成就しなけ
 ればならないという切迫感を取り除く。
(処方箋として)
 人間が宗教的幻想を捨てるにはこうした幻想が必要とされる世界
 を変えなければならない。 (P124)
 
・「神は死んだ」 ニーチェ
  宗教はキリスト教の神とともに死にはしない。
 宗教は真理への渇望として生き続け無神論においても巧妙な
 形態をとりながら生き残る。
 現代人にとっての信条(社会主義進歩史観、科学主義、万人
 のための幸福など)も神なき宗教の一形態にすぎないのである。
 
・「人間とはつい最近の発明品にすぎない」 ミシェル・フーコー
  人間という概念御誕生をもたらした個々の認識論的条件は、
 いずれ消滅するであろう。 (P146)
 
3.まとめと私見
 いつものように、ピックアップで取り上げるのは、全体のバランス等
を考えているのではなく、私が何とか理解できて割と気に言っている
文言です。
全く私の主観です。
ニーチェあたりでしょうか。
気に入っていつといっても、「ほんとに理解しているのか?」と詰
められると、窮してしまいますが・・・・。
先人について、幾多の専門家の見解の相違を読み比べて、自分なり
に納得できれば、それで了解、と言った、いい加減なスタンスの私
でもあります。