経済を読む力
「2020年代」を生き抜く新常識
著者 大前研一/著
出版者 小学館 2019.12
経済に関する27のテーマについて、彼独特の新たな視点と問題の
読み解き方を、質問に答えるかたちで提示しています。
今回は目次別列挙でなく、各テーマに抜粋を埋め込むスタイルと
します。
「はじめに」
ケインズ理論は、閉鎖経済を前提としている
対する常識は通用しない P21
第一部
新聞ではわからない「株価と為替と景気」の新常識
ない。 P37
ハイパーインフレへの備えは、
①資源国通貨によるタンス預金
②金または金に準ずるコモディティ
③稼ぐ力の取得 P44
公的マネーによって買い支えられているが、 今後の成長を見込める
企業が少ないため、株価が上がらない。 P53
1800兆円の個人金融資産が消費に向かうようにすることがら日 本の
経済政策の基本。
「心理経済学」こそが、いま求められている成長戦略の要 P62
「元気なうちにお金を使って人生を楽しもう」という心理にして
" 死に金"をマーケットに出てくるように仕向けるのが、 真の景気
刺激策 P69
GDPが目標になり得ない時代だからこそ、個人個人の付加価値
= 「稼ぐ力」が重要 P76
五輪景気で沸くのは、インフラ投資が功を奏する新興国だけ
良くなるどころか、五輪後は大きく落ち込んだ P84
中国人による日本の不動産投資は減少し、価格は下落傾向。
ミニバブル崩壊後が不動産購入の狙い目。 P86
年金の"流入量"を増やすには、移民を増やすか、 制度そのもの
を変えるしかない。 P95
成熟国家の実情に合わせた制度改革とは
「資産税」の導入 P102
第2部
新しい「世界経済」と「日本経済」への視点
自国第一主義の蔓延や神風ドローンの脅威は、世界を再び「協調」
へと向かわせる。 P113
(米国大統領、ドナルド・トランプ氏を評して)
実は彼はビジネスの知識がなく、 勘だけで売ったり買ったりして
運よく生き残ってきた不動産事業者 でしかない。 P114
アメリカの「プア・ホワイト」は国内での競争に負けた人々。
彼らを救済するには、 巨大IT企業に応分の負担をさせる必要が
ある。 P120
今の韓国は、イノベーションが起こりにくい硬直した社会構造
であることに加え、 自分たちの抱える問題をすべて日本のせいにし
てきたメンタリティを変えなければ、「中進国のジレンマ」 から抜
け出すのは、難しい P138
ジョンソン首相がブレクジットを強行したら、 連合王国は分裂に向
かう。
現実となるだろう。 P144
誰かが所有しているモノや空間を複数の人間で共有する「 シェア
エコノミー」や、空いているモノや空間を活用する「アイドルエコ
ノミー」は新ビジネスの主流になる。 P159
著者が考えるフィンテックの「4つの原理」
➀価値があるものは何でも貨幣と置き換えて考えられる。
②価値は時間の関数である。
とができる。
④以上の3つの原理を実行するために必要な”信用”を( サイバー
空間で)提供するものが、国家や金融機関に取って代わる。
P163
貨幣に依存しないスマの経済は、 銀行などの従来の金融機関の
業務を侵食していく。
れば、ビジネスチャンスは拡大する。 P171
自動運転の無人タクシーが、 交通委インフラを根本から変えて
いくだろう P180
第3部
「2020年代」のための成長戦略
超高齢社会や人口減は、 ビジネスにとってマイナス要因だけで
はない。
「空きリソース(=アイドル)」を活用すれば”商い無限” となる。
P194
”新たな日本”を発見してもらうために、 観光ルートや体験スポット
などの情報発信を促しつつ、宿泊施設や移動手段、 飲食店などの
受け入れ態勢を整備・充実させていくべきだ。 P202
単純労働や定型業務の場合は、残業時間規制が必要だ。
しかし、クリエイティブな仕事は時間で測れない。
それを時間で縛るような規制は、亡国への一歩となる。 P211
クリエイティブな非定型業務に集中し た企業とAIに置き換えれない
スキルを身に着けた個人がシンギ ュラリティ時代の勝者となるのだ。
間接業務の生産性改革が特に遅れた日本では、 この目線で先行した
企業と個人に大きなチャンスが待っている。 P217
政府の「望ましい電源構成」は絵に描いた餅。
速やかにロシアからのエネルギー輸入や電力消費の30%削減に
取り組むべきである。 P224
莫大な「富」が生まれる。 P236
”資産を家族でなく国家に相続する”というコンセプトで、富裕層
から国への「資産寄付制度」を創設する。 P242
北方領土問題は、もっと大局的な視点で考えるべき。
ロシアとの関係強化により得られる経済的メリットは計り知れ
ないほど大きい。 P252
まとめ
大前研一さんの著書も、一通り読んでいますが、このブログで取り
上げるのは、はじめてです。
昔読んだ「世界が見える日本が見える」をふと思い出し、調べてい
たら文庫本で1989年とありました。
もう四半世紀以上前なんですね。
彼は未だ、現役バリバリ、さすがです。
容積率緩和とか、資産課税とか、当時からの一貫した主張も、盛り込
まれていますが、フィンテック、シェアエコノミーはじめ、当然アッ
プデイトされています。
今回も、一つの考え方の整理となりました。
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