1.プロローグ
マキアヴェッリは、以前からよく読んでいます。
塩野七海さん編集のこの「語録」は、折に触れて、参照しています。
マキアヴェッリ語録
塩野七海 / 著
発行所 株式会社新潮社
特に、解説をつけたりする必要な無いと思います。
私の感想は最後に入れます。
2.お気に入りの抜粋
君主にとって、厳重の上にも厳重に警戒しなければならないこと
は、軽蔑されたり見くびられたりすることである。 君主論 P93
君主にとって最大の悪徳は、憎しみを買うことと軽蔑されること
である。
それゆえに、もしもこの悪徳さえ避けることができれば、君主の
任務は相当な態度まっとうであろうし、他に悪評が立とうとも、
なんら怖れる必要はばくなる。 君主論 P94
危険というものは、それがいまだ芽であるうちに正確に実態を
把握することは、言うは優しいが、行うなると大変に難しいと
いうことである。
それゆえはじめのうちは、あわてて対策に走るよりもじっくり
時間稼ぎをするほうをすすめたい。 政略論 P111
必要に迫まられた際に大胆で果敢であることは、思慮に富むこと
と同じといってよい フィレンツェ史 P115
今までにも幾度も述べてきたように、人の運の善し悪しは、時代
に合わせて行動できるか否かにかかっているのである。
政略論 P134
人間は、運命に乗ることはできても逆らうことはできない。
ならば、絶望するしかすべはないかとなると、そうでもな
いのだ。
運命が何を考えているかは誰にもわからないのだし、どう
いうときに顔を出すかもわからないのだから、運命が微笑
(ほほえむ)のは、誰だって期待できることだからである。
それゆえに、いかに逆境に陥ろうとも、希望は捨ててはなら
ないのである。
政略論 P218
次の二つのことは、絶対に軽視してはならない。
第一は、忍耐と寛容をもってすれば、人間の敵意といえども
溶解できるなどと、思ってはならない。
第二は、報酬や援助を与えれば、敵対関係すらも好転させう
ると、思ってはいけない。 政略論 P229
謙譲の美徳をもってすれば相手の尊大さに勝てると信じる者
は、誤りを犯すはめにおちいる。 政略論 P232
相手を、どんなことにしろ絶望に追いこむようなことは、思慮
のある人のやることではない。
なぜなら、前途に臨みを失った者は、どんな悪い状態を示され
ても、それによって判断を変えるような冷静さを失ってしまう
からである。 フィレンツェ史 P238
人間というものは、危害を加えられると思い込んでいた相手
から親切にされたり恩恵をほどこされたりすると、そうでない
人からの場合よりはずっと恩に感ずるものである。君主論 P249
中くらいの勝利で満足する者は、常に勝者でありつづけるだろう。
反対に、圧勝することしか考えない者は、しばしば、陥(おと)
し穴に放ってしまうことになる。 フィレンツェ史 P260
われわれが常に心しておかねばならないことは、どうすればより
実害が少なくてすむか、ということである。
そして、この取りうる方策のうち、より害の少ない方策を選んで
実行すべきなのだ。
なぜなら、この世の中に、完全無克なことなど、一つとしてあり
えないからである。 政略論 P265
天国へ行くのに最も有効な方法は、地獄へ行く道を熟知すること
である。 手紙 P265
3.最後に感想
マキアヴェッリについては、私はいたるところ取り上げていますし、
このブログでも(まだ半年ほどしか書いていませんが)いくつか言及
しています。
私の年齢で、これから180度考え方が、変わるという可能性は低いで
しょう。
私が、ちゃんとした思考ができないほど衰えたら別ですが、そうで
ない限り、マキアヴェッリとは、つきあっていくと思います。