中高年michiのサバイバル日記

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「消えゆくトレーディングフロア コロナ後も在宅勤務で」 という記事から思うこと 転機だった

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トレードしている個人投資家のイメージ


1.証券会社のトレーディングという業務

2020/6/8 2:00日本経済新聞 電子版なのですが

「消えゆくトレーディングフロア コロナ後も在宅勤務で」

 という記事がありました。

消えゆくトレーディングフロア コロナ後も在宅勤務で :日本経済新聞

容易に想定される話であり、業界や当該業務に特に「思い入れ」が

ない場合、「アタリマエ記事」の印象でしょう。

しかしながら、リアルによる主題されていると思えて、少し、引用

させてもらいます。

(1)記事趣旨は以下の通り

 ・大きな部屋のトレーディングフロアにずらりと並んだ端末と人間

 新型コロナウイルスの感染拡大で、そんな証券会社のトレーダーの

 働き方が一変している。

・3月以降、在宅勤務を余儀なくされ、今もなお多くが継続する。

・分かったのは、当初は在宅では困難と思われたトレーディング業務

 が問題なくこなせるという事実だ。

・在宅で生産性が上がったとの見方も多い。

・コロナ収束後もトレーダーたちの働き方は元には戻らず、証券各社

 が都心の一等地に構える広大なトレーディングフロアは不要にな

 る可能性がある。

(2)証券会社のトレーダー観点

 ・結論は、「在宅でも支障なく(トレーディング業務が)こなせ

  る」 ようだ。

・従来は

  会社のトレーディングフロアでは4枚のコンピューターのモニター

 画面に映し出されるマーケットのデータやニュースをくまなく

 チェックし、 机を並べるチームのメンバーたちと声を掛け合って

 注文をこなしてきた。

・ 現在彼は、

 会社とほぼ同等の装備で在宅勤務をこなす

  チームのメンバーが隣にいなくても、ビジネス用チャットやビデオ

 会議システムなどを使ってリアルタイムでコミュニケーションを交

 わせる。

 顧客との間で通信がダウンしても、他のメンバーが即座にカバー

 してくれる。

トレーダー本人の感想

「スペースの制約でモニターの数が1枚少ないのにはちょっとストレ

スを感じるが、それ以外はおおむね支障なく仕事をこなすことができ

る」

「在宅で仕事の質は落とさない一方、生活の質は改善した」

(3)組織(証券会社)の視点

・フロアの勤務人数は平時の15%となった

 野村証券では、大手町本社が入るアーバンネット大手町ビル

(東京・ 千代田)の3~4階を打ち抜いた巨大な株式トレーディング

フロアに、

 300人を超える社員たちがずらりと机を並べて働いてきた。

・2月下旬、野村は社会や社員の安全を高めるためだけでなく、コロ

 ナ禍に動揺するマーケットに流動性を与え続けるためには、多少

 無理 があってもトレーダーを在宅勤務に移行させるしか選択肢が

 ないと判断して準備を進めた

・出社するのは、自己勘定取引や複雑な店頭デリバティブ(金融派生

商品)取引の執行など、在宅ではどうしても難しい業務を手掛ける

約3割の社員に絞った。

その出社組も半数の社員は都内の別の場所に設けたバックアップ

オフィスに勤務地を変え、大手町のトレーディングフロアは平時の

15%の社員しか出社しないようにした。

 他の大手や外資系も同様の動きのようだ。

(4)相手方(お客さん)のほうは?

証券会社に注文を出す機関投資家も状況は同じだ。

野村証券が4月10~14日に株、債券、為替を運用する100人超の

機関投資家にアンケート調査したところ、完全に在宅勤務に移行

した人は27%、週に数日だけやチーム内の一部だけという部分導入

を含めると、全体の93%が在宅勤務に移行していた。

(5)社内の評価と今後の想定 

・在宅のほうが生産性高く、なっている(後述)

・(足元でなく)その先はどうか。

 証券各社は「長期的にみてもコロナ前に戻ることはない」と口を

 そろえる。

「トレーダーの在宅勤務が想定していた以上に機能することが今回

 わかった。

 働き方の選択肢として、在宅勤務は残していく」と話す。

・背景には、通勤時間がなくなることで在宅のトレーダーの生産性

が上がったという認識がある。

「在宅比率が高まった後のほうがむしろ社員のパフォーマンスは良く

なっている。

セールス担当の社員が通勤に使っていた時間を活用して新たな提案

資料を作成し、大きな注文の獲得につなげた例もあった」。

 「コロナの影響で企業の決算説明会や対面取材がビデオ会議に置き

換わり、出張や移動にかけてきた時間を別に生かせる。

調査対象企業数を増やすことが可能になり、多くがこのまま在宅

勤務を積極的に活用したいと言っている」。

「在宅勤務には、これまで無意識に続けてきたムダな仕事をあぶり

出す効果があった」

 (6)人材の育成は難しく

もちろんデメリットもある。

「在宅勤務では難しいことがひとつだけある。人材の育成だ。」

2.今後をにらむと

(1)電子化時代の必然かと思われる。

電子化の流れは、以前から継続して続いてきたが

99年4月に東証は立会場を廃止。

取引所の注文処理は完全に電子化され、物理的な場としての株式

市場は事実上消滅した。

今では投資家の発注と証券会社の執行も多くがコンピューターで

自動化され、株式取引の大半は全く人の手を介さない電子空間内の

データ処理になっている。

 (2)タイミングの問題

・フィジカルな場だった20世紀の株式市場の記憶を辛うじて残す証券

会社の巨大なトレーディングフロアがいずれ消えるのは、電子化の歴

の延長線上でおきる時代の必然だろう。

今回のコロナ禍は、そのタイミングを少し早めただけにすぎない。

3.感想と私見

誰しも、かつて自分が知っている業界や業務の変遷には、関心がある

でしょう。

上記記事もそうですが、いろんな変革の中で、今回の問題が起こり、

結果として、変化を速めているとの分析には同感です。

確り取材している様子です。

上記記事で、「今回のコロナ禍は、そのタイミングを少し早めただけ

にすぎない。」とありますが、いろんな業界でも言えます。

おそらく、将来の人簿とが、歴史とて現時点を振り返ると、

「あの頃が転機だった」という事象は、いくつも出てきそうに、

思います。