1.本日の「株式投資の基礎」は、足元市場コメント
とはいえ、6月10日の日経やロイターの記事を基に、書きますので「足元の
ホットな話題渇望」という方からすると、すでに陳腐化している、かもし
れません。
そうはいっても「投資の変わらない原則」はあるはずで、私のブログでは、
投資の原則と言われていること、「先人」のウォーレン・バフェット
の言葉も、取り上げてきました。
本日言いたいことは、再度「需要と供給の話」です。
(1)5月31日アップの「株式投資の基礎第6回」で
〇金利の話として、
金利が下がると、おカネは広範囲にあふれる、その一部は株式市場にも
向かう
〇コロナ影響下の現在の株式市場が、なぜ高いか?
いわいる「政府支出のおカネ」が、米国株式市場にあふれている
と、書いています。
(2)今回、下記の記事で言いたいのは
➀FRBが、資金を大幅に市場に要求し、金利を意図的に下げているのに
呼応し、PERが上がってきている。(米国市場)
(私見ではS&P500の適正PERは、20倍未満、直近の23倍は過熱気味)
②日本の市場のPER13倍は、妥当かと思うが、来期収益予想が、これ
からどう変動するかはわからない。(下に行く可能性も)
以上です。
2.株式相場「コロナバブル」の足音 ヘッジファンドも変心
2020/6/10の日本経済新聞 電子版記事 からです
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60201110Q0A610C2EN1000/?n_cid=NMAIL007_20200611_A
(1)要約
新型コロナウイルスの感染拡大で世界経済に戦後最悪の不況が迫る中、
株式相場は先行きの景気回復期待を頼りに意外高を演じてきた。
さすがに足元は株価上昇に一服感が出ているが、次に相場が動くとすれ
ば上なのか下なのか。
米金融政策の動向次第では、相場がさらに過熱していくとの見方も出
てきた。
さながら不況下の「コロナバブル」の到来だ。
(2)大物ヘッジファンド運用者ドラッケンミラー
「株価上昇が私を謙虚にした。米連邦準備理事会(FRB)を過小評価
していた」。
大物ヘッジファンド運用者のスタンリー・ドラッケンミラー氏は8日、
米CNBCでこう話した。
ドラッケンミラー氏が講演で「(米国経済の)V字回復は空想だ」と
話したのは約1カ月前。
だが3月の安値から米S&P500種株価指数が40%上昇する中、同期間の
同氏のパフォーマンスはプラス3%にとどまっているという。
経験則では、買い遅れた投資家が強気に転じて株を買い始めたタイミ
ングが相場の天井になりやすい。
だが今はそうした経験則が通じにくい金融相場でもある。
市場の関心がFRBの金融緩和スタンスに向かうのは必然だ。
(3)金融緩和は継続せざるを得ないか
➀「パウエルFRB議長は2013年のテーパー・タントラム(金融
緩和縮小をめぐる市場の大混乱)のような事態は招きたくない
はずだ」。
SMBC日興証券の圷正嗣チーフ株式ストラテジストは指摘する。
足元ではPER(株価収益率)が23倍を超えてきた米国株の高い
バリュエーション(投資尺度)は、ひとえに低位の長期金利が
支えている。
13年は当時のバーナンキFRB議長が量的緩和縮小を示唆し、世界
の株価は急落した。その反省からFRBは緩和姿勢を維持するとの
見方が多い。
だが金融緩和の維持は、株価を実力以上に過熱させる危険と隣り
合わせだ。
②米景気は最悪期を脱し、回復局面へと向かい始めているようだ。
ただし、5月の米雇用回復は3~4月の大幅な減少の一部を取り戻した
にすぎない。
失業率はなお大規模な金融緩和が求められる水準だ。
株式市場は景気回復と緩和の併存でバブルが醸成されやすい局面に入る。
圷氏は「景気が底を入れたことが確認できれば、投資家は来期予想
ベースのPERを使うようになる」と指摘する。
TOPIXの予想PERは今期ベースでは約17倍だが、来期ベースでは13倍
台に下がる。
だが、来期どこまで企業業績が回復するのか、現段階では誰にも分か
らないことだ。
株が来期業績の回復を前提に買われていけば、多くの人の目には株価は
バブルと映るに違いない。
3.米最長景気、コロナで終幕 回復の道筋、前例なし
株価変動の大きな要因の一つが、景気動向です。
上記の日経記事では、 雇用統計等の数字を前提に米景気は最悪期を脱し、
回復局面へと向かい始めているようだ。
とのコメントです。
ロイターの違ったコメントを記載しておきます。
新型コロナ:米最長景気、コロナで終幕 回復の道筋、前例なし (写真=ロイター) :日本経済新聞
(1)要約
10年8カ月に及んだ米景気最長の拡大局面は、新型コロナウイルスのパンデミック
(世界的大流行)という過去に例をみない災厄が降りかかり、突然終わりを迎えた。
戦後12回目の後退局面に入り、米当局はコロナ禍がもたらす危機を克服すべく、
財政・金融両面で政策を総動員する。
代償として国や企業の債務は一段と膨張する。
今後も前例のない回復シナリオづくりが迫られる。
(2)やや詳説
➀金融ショックではなくウイルスショックが招いた景気後退だけに、過剰債務
など金融面のゆがみが自然と収まるわけではない。
むしろ米政府とFRBはあらゆる企業の資金繰りを支えようと動いている。
危機回避へやむを得ないとはいえ、企業の債務は一段と膨らむ。
②米株市場は経済活動の再開に沸いたが、「経済が危機前の成長軌道に戻る
には、少なくとも4年かかる」(米運用会社)との声も多い。
企業にとっては経済の正常化が遅れるほど、債務の返済の原資も稼ぎにくく
なる。
③今回の危機対応は大規模な財政出動を伴い、回復シナリオでも財政の役割
が高まりそうだ。
急激な財政悪化は、将来の米金利の上昇リスクやドルの不安定化など、大きな
かく乱要因を抱える。
④景気後退を短期で収束させ、力強い回復に向かうためにも、政策当局のかじ
取りには細心の注意が求められる。