中高年michiのサバイバル日記

世の中のこと、身の回りのこと、本のこと、還暦の中高年がざっくばらんに書きつける日記

読書感想文もどきに至らなかった「敗戦記その8」 今回もまた多数紹介

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敗戦記「その8」も同じイラスト

本年1月10日から 「読書感想文もどき」に至らなかった「敗戦記」と

いうのをアップしていますが、今回8回目です。

イラストもあえて、同じものを使用、趣旨も同じで、硬軟とり交ぜ、

当ブログ読者への何らかの参考となればと・・・

1.失われた鉄道を求めて

著者       宮脇俊三/著  

出版者    文藝春秋 2011.5

 無性に「旅」をしてみたくなり、手に取りました。

若い世代には???かもしれませんが、昔、宮脇さんの「時刻表2万

キロ」は、ある種のブームでした。

本書も私の気にいったスタイルですが、「解説」から文章を借りま

す。

宮脇俊三さんは、自著に決して写真を使わない。本書にみるごと

く、本文中にさしはさまれるのは路線地図と時刻表、そして軽妙なタ

ッチのイラストレーションのみである」

以下の宮脇さんの弁が振るっていますね。

「写真を使うというのは、それは状況説明の一部をゆだねるというこ

とでしょう。それじゃあ書き手が文章力の至らなさを自ら認めている

ようで、物書きとして悔しいじゃありませんか」

 

2.かつお節と日本人

著者       宮内泰介/著  藤林泰/著  

出版者    岩波書店 2013.10

日本の食文化の名脇役かつお節。この300年間に、かつお節の生

産や生産に携わった人びとの生活はどう変わったのか。

現地調査で証言を集め、“かつお節ネットワーク”のダイナミズムを

描く。

私は釣りの思い出のブログをいくつかあげていますが、水産資源の話

は、とても好きです。

クジラや、マグロ、ウナギと言ったグローバルな政治がらみの話から

みじかな自分の食生活に関する分野の視点まで、広範囲に好んでいます。

本書より、お気に入りの引用

「鰹節は、いろいろな顔を持つ。そこにはお互い一見相反するような

側面もある。伝統と革新、ローカルとグローバル、競争と共存、繁栄

と衰退、人のつながり、モノのつながり、カネのつながり。

私たちがいちばん注目したのは、そこに生きる人びとだった。p206」

 

 3.レヴィ=ストロース,光と翳゙

オクタビオ・パス/著   今防人/訳  

出版者    新曜社 1988.2

目次:

1 地質学の隠喩。

  ことばの交易と性の交易:価値、記号、女

2 象徴、暗喩、方程式。立場と意味。

  アジア、アメリカ、ヨーロッパ。

  三つの透明なもの:虹、毒、イタチ。

  精神:何ものでもないある何か。

3 耳ざわりな間奏曲。

  シンデレラと他の閑話の擁護。

  ことばの三角形:神話、叙事詩、詩。

4 質と概念:対と対の組、象と虎。直線と円。進歩の悔恨。

  摂取、改宗、放逐。

  黄金時代の終焉、エクリチュールの開始。

5 慣習的行動と象徴。然りか否か、多いか少ないか。

  人間の無意識と機械の無意識。破壊しあう記号:変容。

  タクシラ。

いやはや、大変な、読後感。

レヴィ=ストロースは、何度か取り上げていますし、ある程度理解し

ていたつもりでしたが、著者オクタビオ・パスの思考に、ついていけ

ない感じでした。

「非常に明晰な文章、するする読めた。

 神話も料理の構造もそれ自体が別の記号を指し示す記号の言語体系

 である、というまとめは明快。」

といった、読みこんだうえでの書評もありましたが、私にはともとて

も・・・。

最後に、訳者の今防人のことばを引用

 「前略)ブッダの沈黙が語っていることは否定でも肯定でもない。

 それは別ことを語り、ここにある以上のことを指している。」

 これが、パスの考える究極の自由、生と死の超越ともいえるだろう

 

4.姜尚中と読む夏目漱石

姜尚中/著  

出版者    岩波書店 2016.1

夏目漱石の作品はこれまでずっと、生きづらくて悩む人たちに心の糧

を与えてきた。

漱石に心酔する著者が、「吾輩は猫である」「三四郎」「それから」

「門」「こころ」を紹介しながら漱石の奥深い魅力を伝えています。

 最近、特に自分と考え方違う方の本もよく読むように、心がけてい

ます。

とはいえ、姜さんと私で違うのは政治思想の話で、彼の漱石分析は気

に入っています。

高校先輩ではありませんが、おなじ熊本県出身でもあります。

さて、「猫」の紹介で『ユーモラスで博覧強記』とあります。

猫は何度か手に取っていますが、「博覧」部分で理解不能が、今でも

多々です。

これから残された私の時間で、どれくらい疑問が解決するかは疑問で

す。

 5.律令国家と隋唐文明

大津透/著  

出版者    岩波書店 2020.2

本書が取り上げた時期は、中国大陸では隋から唐へと王朝が替わり、

朝鮮半島からは戦火が迫るころ。

極度の軍事的緊張のさなか、国土防衛と権力集中への模索から、古代

日本の律令国家は生み出されたと、説きます。

この時期「日本」と言う意識が確立されたとは、他書でもよく聞きま

す。

真摯な、深い文体、著者のいう『一定の学術成果にもとづく、歴史学

の「知」として、読んでいただければと思う。』と言うのが良く解り

ます。

最後に、あとがきから、きつい一言。

  最近、歴史学の(あるいは人文学の「知」が重んじられなくな

  っている。学生と接していても、ウィキペディアの記載と、背後

      に膨大な研究史がある『国史大辞典』(吉川弘文館)記述との差

     異が感じられないようで、学問の危機的状況を感じる。  

 

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