昨年1月10日から 「読書感想文もどき」に至らなかった「敗戦記」
というのをアップしていますが、今回25回目です。
私の現在形として、本を読める環境というのは、変わっていません。
ありがたいことです。
イラストもあえて、同じものを使用、趣旨も同じで、硬軟とり交ぜ、
読者への何らかの参考となればと・・
1.読書と日本人
津野海太郎/著
出版者 岩波書店 2016.10
「読書」という行為はいつ頃生まれたのだろうか?
これからも人は本を読み続けるのだろうか?
書き手・読み手・編集者として<読書の黄金時代>を
駆け抜けてきた著者が、読書の過去・現在・未来を読みとく
趣旨の本です。
ス、印刷革命と続く日本人の読書小史部分は、この視点から
歴史を眺めたことがなく、とても面白かった。
三か所ほど、一部引用します。
●こうした教養主義的読書の姿勢にもいつしか乱れが生じ、
教養主義の本来の担い手だったはずの若き知識層の間でも、
なった。
その変化のさまを如実に示すのが電車内での読書光景だっ
たというわけです。
●もう一つ例を挙げておくと、<おそ読み>から<早読み>
への変化、これも二十世紀にはいって私たちの読書に生じ
た特有 のクセと言っていいでしょう。 P168
●どん底からの復活を遂げ、それkら60年代を経て80年代な
かばにいたる四半世紀こそが、今にして思うと、どうやら
<読書の黄金時代>としての二十世紀の真っ盛りということ
になるらしい
紙の本と電子の本選択議論や、本の将来については、私はあまり
関心が 高くありません。
五千年の歴史を持つ本のうちに蓄積された人々の知恵や体験を学
ぶ手段は、映像や音の情報でなく、読書しかないと思うしそれが
達成できれば、紙でもデジタルでも構わない、というところです。
2.ヨハネの黙示録
小河陽/訳
出版者 岩波書店 1996.11
仏教、キリスト教、イスラム教等それも、「原典」に当たったこと
は恥ずかしながら、あまりありません。
私に「信仰のバイアス」はないので、「古典の一つ」として冷静に
読めたつもりです。
写本の図像を眺めるほか、勉強になることがたくさんありました。
訳者の小河さんの解説からヨハネ黙示録執筆意図を引用します。
ローマの支配の象徴である獣とバビロンの、それゆえサタン
それ自身の、最終的敗北と滅亡の一大ドラマを描き出して見せ
ることで、希望の使信を彼らに伝えようとするのである。
それによって、歴史を支配する神に対する信仰と希望とに彼ら
を踏みとどまらせようとする。著者の使信は神の正義の最終的
勝利への強靭な楽観主義に貫かれた神的歴史哲学であり、本書
を貫くテ-マは悪魔的な諸力への復習ではなくて、神の民に示
される神の恵みの摂理である。 P146
3.沈黙の春
レイチェル・カーソン/〔著〕
青樹簗一/訳
出版者 新潮社 2004.6
概要は、自然を破壊し、人体を蝕む化学薬品の危険性に対する認
識がまだ十分でなかった1962年に刊行され、化学薬品乱用の恐ろ
しさを世に訴えた古典です。
水や土壌の汚染、害虫の大発生、そして化学物質による発癌、地
球環境問題が深刻化している今、改めて著者の警告に耳を傾けた
い、との解説もよく聞きます。
私も同書を知ったのは早くて1970年代末です。当時高校を出たば
かりの友人が読んで感動したと話していましたが、結局私は読ま
ずじまい。
その後も何度も、解説を聞きますし、私の環境に対する考えも固
まってきたころになります。
食わず嫌いはいけない。古典・原典に当たろう、との趣旨です。
読み継がれる名著でしょうが私がどう感じたかというと、「傲慢
とヒステリーを避け謙虚に」といういつものことです。
終戦直後の日本人を肌のかゆみから解放してのはDDTの白い粉だ
し、薬剤が(人間が勝手に決めた)有益な生物も害虫も区別なく
被害を及ぼすのは当たり前のこと、です。
4.失敗図鑑
すごい人ほどダメだった!
著者 大野正人/著
出版者 文響社 2018.5
天才ゆえに死にかけたダリ、正直すぎて炎上した与謝野晶子。
世界に名を残した偉人たちの失敗と、彼らがその失敗からどうや
って復活したかを紹介する。
「忘れる・遅れる・噓をつく」子どもによくある失敗対策も掲載
です。
本書は、確か子供のいる方のブログでの紹介だったかと思います。
ターゲットはどのくらいでしょうか。小学校高学年から中学生向き?
感じにルビが振ってあるので、小学校中学年からでも読めるのでは?
還暦過ぎの私が読んでも、解り易くて、過去にしぅた話の記憶の蘇り
含め知識の良い整理になりました。
65歳でケンタッキーフランドチキンを立ち上げた、カーネル・サン
ダースの話を少し。現在でなく20世紀半ばの65歳ですからね。
もちろん、成功者の陰には屍累々であって、たまたま彼が成功した
だけ、とも言えます。
これから未来が開ける子供に対し「それを言っちゃーおしまいだ」
ですが、現実には、どう頑張っても失敗続きで一生を終える人の方
が、多数派でしょう。
ただし、「人は何度でもたち上がれる、人生はやり直せる」と思
って、実行したから「たまたま」成功したわけであって、実行しな
い事には「決して」成功はしない、という厳しい示唆を、リスクを
避けたい自分の年齢では、より強く感じるものです。
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