中高年michiのサバイバル日記

世の中のこと、身の回りのこと、本のこと、還暦の中高年がざっくばらんに書きつける日記

世界史の10人(読書感想文もどき) 今回はクビライに限定 真のグローバルリーダー

世界史の10人

 出口治明/著  

出版者    文藝春秋 2015.10

1.概要

また、出口治明さんです。

初版を読んだので、もう4年前ですか。

クビライを紹介したかったので・・・・

カバーの裏の文章が、またとても良かったので、それを冒頭に引用

し、概要とします。

人間の脳みそが変わらない限り、過去と同じようなことは

起こりうる。つまり、歴史は未来の問題の解決に役に立つ

のです。

増して、現代のように日本画が世界と緊密にリンクしてい

ると、「それ、外国であった話でしょ?」とは決して言え

ません。

将来、何が起こるかは誰にもわからないけれど、世界史は

必ず役に立つ。教材は過去にしかないからです。

 目次を書くと

1.世界史のカギはユーラシア大草原にあり

      バイバルス、クビライ、バーブ

2.東も西も「五胡十六国

     武則天王安石

3.「ゲルマン民族」はいなかった?

    アリエノール、フェデリーコ二世

4.ヨーロッパはいつ誕生したのか

     エリザベス一世、エカチェリーナ二世、ナポレオン三世

 

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出口さん著作には、この本だなイラスト

2.クビライからの引用 

五代目はグローバルなビジネスパーソン

(クビライの母親は)ネストリウス派キリスト教徒だったのです。

ネストリウス派は、イエスは人の子として生まれ、神格を帯びて三位

一体となった、だからイエスの中で神格と人格が独立しているという

考え方です。

中国では景教と呼ばれました。  P58-59

 

モンゴル貴族とはいえペルシャ出身の38歳のバヤンを、南宋攻略とい

うクリライの一世一代の大背悪戦い総司令官として起用し、また、バ

ヤンもそれによく応えた。ここに、クビライの出自にとらわれない人

材登用の柔軟性が見て取れます。 P66

 

軍人は反乱の火種としては官僚より厄介です。そこでクビライは次々

と周辺アジア諸国の攻略に乗り出します。つまり、失業軍人を植民に

送り込む目的で戦いを始め、その一環として第二次元寇弘安の役

(1281年)を企てたのではないか。 P67

 

クビライの経済政策では「銀の大循環」に天才的なひらめきが感じら

れます。 P73

クビライの経済政策は、マネーサプライを大幅に増やして、すなわち

キャッシュを持たない商人にファイナンスをして銀を大量に循環させ

ることで、みんながハッピーになるというものでした。それが可能だ

ったのは、世界中に人が欲しがるものが、中国には山ほどあったから

こそといえるでしょう。 p74

 

「塩引」と呼ばれる一種の高額紙幣を発行しました。(中略)

紙幣そのものは宋の時代からありましたが、それを本格的に使ったの

はクビライが初めてです。この高額紙幣である塩引と普通の紙幣と銀

とによって、マネーフローはすべて賄われました。 P74

 

モンゴル人は大出版事業を行い、孔子の一族を一番大切にした政権で

もあるのです。孔子の一族は退嬰的な明の時代になって嘆いていま

す。P77

 

クビライは身をもってグローバリゼーションを体験した人だといえる

でしょう。ただ、彼の前半生がよくわかっていないので

、彼がどこでその世界感覚を身に着けたのかはっきりしない。

ほんとうに謎に満ちた、稀有な人物だと思います。 P77

 

3.「おわりに」引用と、私のコメント

ドメスティケーションとは、人間が獲物をもとめて地球上に広がって

いったグレート・ジャーニーの時代を終えて、定住して周囲を支配し

ようと考え始めた時期・現象を指します。

植物を支配するのが農耕、動物を支配するのが牧畜、金属を支配する

のが冶金、そのうち自然界の摂理をも支配したくなって、神という概

念を生み出すのです。 P291

(michiコメント)

いろんな人が発言しますが、「ヒトが神を生み出す」表現は、好きな

フレーズ。

各地の神話の類似性と相違点を理解するとき、人間の「変わらない」

部分と「多様性」部分の多様性を感じます。

個人的には、遺伝形質より自然環境の影響に重きを置いて、考えてい

ます。

 

歴史学」の歴史は、歴史を書く人や書く民族によって自分たちに都

合よく歴史がつくられてきたことを物語っています。(中略)

世界の歴史があらゆる国の研究者に開放され、イデオロギーにとらわ

れない自由な世界へと更新されつつあります。  P292

 (michiコメント)

 同感です。

自然科学の解釈世界は、私が子供のころに比べてずいぶん変わりまし

た。

「歴史」も、今後大きく変わり、というか、より「実態」に近づいて

くることを、願っています。 

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