仕事に効く教養としての「世界史」
出口治明/著
出版者 祥伝社 2020.6
1.概要
歴史はなぜ中国で発達したのか。神はなぜ生まれ、どうして
宗教はできたのか。
分岐点。ビジネスをしている人に役に立つ、世界と日本を理
解する世界史10の視点を解説しています。
恐らく私のこのブログで、一番言及しているのが、出口治明
さんではないかと思います。
今回も、私のお気に入り部分を、引用する形とします。
2.本文から
いろいろ歴史を知っていると、人々とのコミュニケーション
を取る時の最初のバーが低くなる。だからビジネスをしてい
る人にとっても、歴史は役に立つのです。 P6
連合共和国だった気がします。台湾とか五島列島とか、権力
の及ばない島を根城にして海で暮らしていた人々が自由な共
海上共和国とか呼んだりしています。 P30
世界は常につながっているという事をきちんと理解しようと
思うと、交易が最大のキーワードとなります。 P37
王位を簒奪したが故に、必死にいい政治をしようとする。クビ
ライも永楽帝もそうですね。そうすることで天命は元々俺に
あったんだと歴史に残そうとする。負い目がばねになって善政
を行う。歴史が大事にされて発達した国には、そういうおもし
ろい人々を生みだるところがあると思います。 P61
人間の周囲にあるものを順番に支配していって、具体的なもの
から最後に抽象的な原理までも支配したいと思い始める。
必ずしも神と呼ばなくてもいいのですが、自然界を動かしてい
る原理を突き止めたいという気持ちが、ドメスティケーション
の最終段階になって生まれていたように思います。何者かが自
然界のルールを作っているのではないか。それは誰だろうと、
思い始めた。 P71
諸子百家は必ずしも対立していたのではなく、棲み分けていた
のではないか。老子と講師が対立していたのでなく、それぞれ
テーション、墨家は平和デモ、それを冷ややかにみている知識
人は道家というように、済み分けていたのではないか。そのよう
に見ることもできます。 P110
時には、雄の数が多すぎたり、あるいは体が弱い雄の子供を
生ませても儲からないので、去勢という方法を取り入れます。
従って宦官という発想自体が、遊牧民でなければ生まれない
のです。 P122
これほど手ひどくイスラム軍に負けて苦労しているのに、教
会は税金を払わないで贅沢をしている。教会のおカネをぶんど
って戦費にした方がいい。(中略)
「聖書に帰れ。聖書をちゃんと読め。偶像など拝む必要はない」
これが皇帝の考えです。建前はモーゼに帰れ、本音はお金が欲
しい。 P162
(ローマ教会は)失った北欧、ドイツ、イングランドはもう戻
らない。ルターもイングランドの王様もしぶといし、我々には
武力はないから取り戻すことはできない。代わりに領地を探そ
うという事になりました。そしてコロン(コロンブス)が到達
した新大陸に注目したのです。 P180
彼女(エレアノール)は、自分の子供たちを、人版に父親に
反抗させます。男の子がみんな母親につくので、ヘンリー二
世は素晴らしい女性と結婚して五人も男子を作ったのに、結局
自分のこどもたちろの争いの中で一生を終えてしまいます。P217
「生態系を守ろう」そう発現する人がいます。
しかし、それはちょっとおかしいなと、思うことがあります。
人間の歴史を見ると、外の世界との交易によっていろいろな
ものを持ち込んで豊かな歴史を作ってきたのです。 P238
(元の時代、科挙が中止となり、豊かな江南地方に行って、豪族
の家庭教師にある知識人イメージ)
私は20年も勉強してしましたから、何でも分かります。息子
さんを賢くしますので雇ってください。」 P263
「これまでの慣習を少しづつ改良してい行けば世の中は良く
なる。要するにこれまでやってきたことで上手くいっている
こと変えてはいけない。まずいことが起こったたら、そこだ
けをなおせばいいだろう。」
こういう考え方が、バークやトクヴィルの「保守」の真の意味
だと思うのです。したがって、理性を信じる人間が頭で考える
ことが正しと慢心した人工国家に対する反動として、近代的な
保守主義が生まれたのではないか。 P323
3.今回もいつもの感想
学者や官僚、ジャーナリスト出身でなく、民間企業の現場を
知る出口治明さんの視点には全部、彼の考えかたの多くには
賛同するところです。
現在日本の引用でまた締めます。
中高年の人は、21世紀の日本は不況で、ひどい時代だとか、
失われた30年とか言ったりしますが、それは戦後の夢のよう
な時代を標準に考えているからです。無私kr今のような状況
が、世界史から見た自然な姿なのかもしれません。
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