「全世界史」講義 2
教養に効く!人類5000年史
出口治明/著
出版者 新潮社 2016.1
1.概要
文明の誕生から現代まで、人類5000年の歴史を出口さんが一人で
解説します。
複雑な歴史の流れがわかる、ひとつの要素は、本人が完全に「理解して」
自分だ咀嚼したものを、講義しているからだと思います。
2は、近世・近現代を取り上げ、「産業革命とフランス革命の世紀」
「冷戦の時代」などを解説しています。
実は「冷戦の時代」は、(後半部分は)私にとっては、リアルタイムの
時事問題の継続であって、「歴史」として、捉えていなかった面があり、
ましてや21世紀はそうです。
改めて、勉強になりました。
2.本文からの引用
コルテスもピサロも、少人数で比較的安易にアステカ帝国やインカ
帝国を滅ぼすことが出来ました。その理由に一つに馬と鉄砲があげ
られます。(中略)しかし、最大の武器となったのは、旧大陸の病
原菌でした。 P82
(18世紀の話です)
ネーションステートという求心力の強い新しい国家形態を生み出し
たこと、そして手工業から機械工業へと生産構造を変えた産業革命
を実現したことが、ヨーロッパの世紀を導きました。アジアの老大
国には、この二つが欠けていました。(なくても困りませんでした
が) P155
額の投資をして、大損害を受けたというエピソードが残っていま
す。知性の塊のような物理学者も、儲け話には弱かったようです。
(中略)、歴史の大きな流れの中で見ていくと、やはりインドと
の関係がいちばん大きいのです。 P185
ち込んだことだと言われています。 P188
(以下は引用でなく要約)
関する為替政策の失敗である。大量の金の海外流出。結果とし
クリミヤ戦争にかかるエピソード2つ
①シュリーマンが、:ロシアに武器を売却、財産築く
②ノーベルがダイナマイト発明。稼いだお金が賞基金。
P239
の結果、アメリカは工業国への道を驀進することになります。
P242
(米英との海軍力比率について)
日露戦争の後、賠償金が取れないと言って民主が騒ぎ、日比谷
公園を焼き討ちした事件と同じです。正確な情報を与えられて
いなかってことの悲劇です。国力に比べれば、日本にとって圧
倒的に有利だった海軍軍縮会議の取り決めを、日本はむざむざと
手放してしまったのです。 P296
ビジネス感覚は、優れていました。イデオロギーより利益優先の
人でした。 P315
(ペレストロイカ、グラスノスチ、欧州共通の家、マルタ会談等)
大胆な提案と行動が、大きく影響していたと考えられています。
P364
民主主義にせよ、資本主義・市場経済にせyp、戦後世界のシス
テムにせよ、それらの個々の歪なかけらを指摘するのではなく、
全体として丸く収まってるがどうかを実証的に検証し、丸く収
まっていないのであれば、それらに代わる整合的なシステムの
骨格を示すことが重要ではないでしょうか。 P385
(何度も引用する、私の好きなフレーズ)
将来、世界で何が起こるかは分かりません。しかし、それに備え
る教材は過去にしかないのです。歴史を学ぶ意味は、人間がこれま
でやってきたことを、後からケーススタディとして学べるところに
あります。歴史には、5000年を生きてきた人間の豊穣なケース
(事例)が詰まっています。それを学ぶことが、これからの人生で
いろいろな場面に遭遇したとき、何かの役に立つのではないかと
思います。 P386
3.改めて考えたこと
最初は、反省です。
「書いてあることは一通り知っている。出口さんの解釈を聞きたい」と
僭越に思っていましたが、どうしてどうして知らない話が多々出てきま
した。
「出口さんの解釈」を求めて、読んでいるのは、ほかの著作と同じです。
いわば「出口解釈」の私のお気に入りを、引用して書いているものです
から。
改めて感想的に書くと、エドモンド・バークに倣う「現状改善」(問題点
指摘だけでなく)が大切だと思うし、私自身の小さな小さな行動も、
然り、だと思っています。