中高年michiのサバイバル日記

世の中のこと、身の回りのこと、本のこと、還暦の中高年がざっくばらんに書きつける日記

読書感想文もどきに至らなかった「敗戦記その12」 今回もまた多数紹介

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敗戦記「その12」も同じイラスト

 

本年1月10日から 「読書感想文もどき」に至らなかった「敗戦記」

というのをアップしていますが、今回12回目です。

イラストもあえて、同じものを使用、趣旨も同じで、硬軟とり交ぜ、 

読者への何らかの参考となればと・・・

  1.実存主義とは何か

    増補新装版   J-P.サルトル/著  

伊吹武彦/他訳  

出版者    人文書院 1996.2

これも、敗戦記の典型です。

読んできて、字面は、追えます。また、サルトルが反論に応える

くだりで、引用するハイデッカーやルソーの、行動は、他で読ん

で知っています。

では、本書の理論を読み込み、理解・咀嚼できたかというと・・

気力が続かないんですね。

また、出口さんの引用で、お茶を濁します。

サルトル実存主義無神論実存主義と呼ばれていま

す。

もしも神が存在するとすれば、世界を創造し、世界の本質

や人間の本質を決定するのは神です。

しかし神が存在しないとすれば、人間の赤ちゃんは、まず

物体としてこの世に現れます。

そして成長するに従って、人間はさまざまなことを学び

人間の本質について、あれこれと考え始めます。

このようにして人間は、「自由な実存として存在している

」とサルトルは考えました。

出口治明:哲学と宗教全史P435)

 

2.ウイルスの世紀

なぜ繰り返し出現するのか

山内一也/[著]  

出版者    みすず書房 2020.8

20世紀後半以降、人間社会に次々と出現した新ウイルスを「エマージ

ングウイルス」という。

新型コロナウイルス(COVID-19)をはじめ、数々のエマージングウイル

ス事例を通じてウイルスと人間社会の関係を俯瞰しています。

著者は易しく書いているのであろうが、私の前提知識ではやはり難し

い。

末尾の「ウイルスとともに生きる」から少し引用。

野生動物と共存していくということは、彼らの保有するウイルスとも

共生する必要があるということを意味している。野生動物の生息域に

ヒトが入り込む機会が多い現代社会では、野生動物を自然宿主とする

さまざまなウイルスから、いかに感染を防ぐかがもとめられることに

なるだろう。新型コロナウイルスは、二十一世紀がウイルスとの共生

の道をさぐる時代に行ったことを、われわれに見せつけているのであ

る。 P232

 

3. グローバル経済の歴史

シリーズ名           有斐閣アルマ      Basic

河崎信樹/著  村上衛/著  山本千映/著  

出版者    有斐閣 2020.8

 地球規模での交流や相互依存関係は、どのような世界から始まり、

いかに広がり深まってきたのか。

グローバル経済の総合的な歴史を学べる形となっています。

 

終章のグローバル化の行方から引用します。

グローバル化と新たな課題 3つ

1.プラットフォーム・ビジネスの問題

    規制対象の巨大企業自体がグローバルに活動しているが

    ゆえに、それに対する規制もグローバルにならざるを得

    ない

2.地球環境にかかわる問題

   地球温暖化、大気・水質汚染

3.感染症の問題

  ビジネスや観光などを目的とした人の国際的な移動が活発化

先は読めない 4つの方向性のどれか?

 ・世界各国が協力して課題に取り組む

 ・1930年代に逆戻り

 ・グローバル化が適切な形で制御

 ・多くの課題を解決できないまま加速    P362-364

 

4. イブン・バットゥータと境域への旅

『大旅行記』をめぐる新研究

著者       家島彦一/著  

出版者    名古屋大学出版会 2017.2

イブン・バットゥータの「大旅行記」を完訳した著者が、イブン・

バットゥータ研究の基礎知識を整理し、記録が伝える「海域」と

「陸域」の関連性や違いを分析しています。

私を含む、平均的な日本人にとって、この時代は「世界史の考察」

の弱い部分ですよね。教科書で昔習ったが、どうもヨーロッパ史

国史ほど全体が頭の中でリンクしにくい部分委思います。

14世紀の初めにモロッコで生を受けたイスラームの法官、イブン・

バットゥータは、なぜ30年に及ぶ大旅行を達成し得たのか。

その背景が、問題となります。

要因は、モンゴル世界帝国による平和(パクス・モンゴリカ)と

イスラーム世界の安定した権力(デリー・スルタン朝、エジプトの

マムルーク朝マグリブマリーン朝など)により、インド洋海域

世界とユーラシア大陸を相互に結ぶ国際的な交易ネットワークが、

1つの世界システムとして成立していたことが挙げられます。

 

5.イスラエル諜報機関暗殺作戦全史 下

原タイトル:Rise and kill first

ロネン・バーグマン/著  

小谷賢/監訳  山田美明/訳  長尾莉紗/訳  飯塚久道/訳  

出版者    早川書房 2020.6

イスラエルの情報機関の工作員、指導者、活動手段、作戦審議、

成功、失敗、および倫理的代償について、その実情を描き出し

ています。

すさまじいモノです。

私は渦中にあるのでなく、単に一読者であり、身の危険を知らず、

気楽なものです。

今回読んだのは、下巻だけですが、十分堪能。。

 以前、フレデリック・フォーサイスものを読んでいました。

オデッサファイル」や「ジャッカルの日」ほか、大抵のもの

を日本語訳で、読みました。

こちらの「イスラエル諜報機関暗殺作戦全史」は、完全ノンフィ

クションでしょうが。フォーサイス著作(これもノンフィクシ

ョン?)の読後感と、同じ疑問を感じました。

よく、調べているが、一般人に情報公開して問題ないのか?

著者(家族含む)は、身の危険をどう制御・回避しているのか?

時間が経過し「現在進行形のホット情報」でなく「歴史上の出来事」

だから問題なし、ということなのでしょうか。

 最後に解説から引用

「我々日本人の感覚からしても、暗殺行為は到底受け入れられるよう

な話ではないか、国民の安全を確保するためにはここまでやらざるを

得ない国もあるということである。」P365